【ネコミケ冬】ファビュラス！　あつまれネコミケ☆｜リアクション

【ネコミケ冬】ファビュラス！　あつまれネコミケ☆

☆サークル「WHFO」

「久しぶりのネコミケじゃな。さて、今回もわらわの同人誌を販売しようかの」
　斉田珠喪は、寝子島高校に籍を置いていますが休学中で、現在はアメリカに留学しています。
「最近はeスポーツや留学先での学業が忙しくて参加できるか不安であったが、何とか参加できたぞよ」
　日頃日本にいない珠喪ですが、友人に助っ人を頼みなんとかファンの期待に応え同人サークル「WHFO」を率いて参加することができました。
「今回も主力である『天想マリア』の他に『Alchemy短編集』と言う本も販売するぞ」
　天想マリアは珠喪オリジナルのバトルコメディ漫画で、マリアと言う修道女が天狐様と言う謎の存在により強制的に巫女にされた挙句、エクスカリ棒と言うダサい名前のお祓い棒を片手に様々な異変を解決したり時にはドタバタするという内容です。
　Alchemyは珠喪のハンドルネームですが、ファンの間では珠喪はもっぱら「天狐様」と呼ばれていました。

「天狐様、新刊ください！」
「どんなお話ですか？」
　押し寄せるファンに新刊を渡しながら、珠喪は説明します。
「Alchemy短編集は名前の通りの短編集でオムニバス形式で物語が進む」
（基本的にはわらわのオリジナルストーリーではあるが、中にはわらわが見たり聞いたり、はたまた体験した「神魂」による異変をベースにした話もある。もちろん脚色をつけて架空の話として作ってあるが「何処かで見たり聞いた事がある」と思う者もいるであろうな）
　さすがに一般のファンに神魂のことは説明できませんが。
「そしてこの『Alchemy短編集』で最もページを割いたのはゲームが取り柄の少年が友人達やライバル達と切磋琢磨してプロゲーマーになると言う痛快活劇じゃ」
　珠喪は国内外数多のゲーム大会で優勝や上位入賞しています。
　ついにはアメリカの大手企業とスポンサー契約を行い、プロゲーマー「лиса」と言う名で活動する、知る人ぞ知る有名人となったのでした。

「もちろん中身は架空の物語。しかしじゃ、主人公が味わう出来事の大半がわらわがプロゲーマーになるにあたって実際に経験した物ばかりじゃ」
　大会の為に世界中を飛び回りつつ進学の準備もしっかり進めている忙しい珠喪ですが、経験を作品として残したい思いもありました。
「如何に勝ち、如何に負け、如何に負けたかを分析し、如何に次に勝つまでのトレーニングを重ねれば良いか。ただゲームをしていればプロゲーマーになれるのではなくどれほどの苦難が待ち受けているのか」
「つまり、天狐様の自叙伝ということですね」
「ま、そんなところじゃよ」
「ありがとうございます！　心して読ませていただきます！」　

　目を輝かせるファンに説明しながらリクエストに応じて、珠喪はサインや握手をこなしました。
　ちなみにこの短編集は「天狐様の日記」とも呼ばれるようになったのでした。