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自分の体温でぽかぽかあったかい布団の中、ふと目が覚めた。眠気の温かさが集まった指先で、布団から出ていたせいでちょっと冷たい瞼をこする。
もう少しうとうとしていようか、それともそろそろ起きようか。
あったかい布団にくるまったまま、ぼんやりと思案する。
今日はお休み。小学校がお休みなんだから、何をしたっていい。眠気がどこかに行ってしまうまで布団の中でうとうとしたっていいし、何なら布団の中にタブレットを引っ張り込んで動画を視ていたっていい。
半分くらい夢の中でそんな風に考えていて、そういえば、と思い出す。
少し前、──もしかしたら何時間か前、妹に起こされたような気がする。ぱたぱたと布団を叩かれた気がする。行かないの、と聞かれた気もする。
寝ぼけ眼をもう一度こすって、
月影 欠る
はもそもそと起き上がった。
起き上がった途端、子ども部屋の空気の冷たさにもう一度布団を頭から被る。
先に部屋を出て行った妹が開けていったらしいカーテンの向こうから、真っ白なお陽さまの光が流れ込んできているけれど、冬の日差しに含まれる温もりはそんなに多くない。
掛布団の上に置いていたはずなのに床に落ちていた綿入り半纏を布団の中から手を伸ばして拾う。パジャマの上にもこもこ着込んで、冷たい床に爪先を付ける。
(あれー?)
昨日の夜、寝る前にはなかったはずのもこもこスリッパがベッドの脇に置かれていた。気づけばあっちこっちにぽいぽい放り出してそのまま、探すのも面倒くさくなって失くしてしまうから、
(たすかるなー)
寝ぐせがついてなんだかふわふわする朽葉色の髪を片手でふわふわ撫でつけつつ、布団から出した途端に冷たくなる足をもこもこスリッパに突っ込む。
部屋よりも寒い廊下に出て、気が付いた。家の中がとても静かだ。
自分の足音ばかりがぱたぱたと響く廊下をのんびりマイペースに過ぎて、いつもなら家族の誰かしらがいるリビングに向かう。
戸を開くと、ふわり、暖房に温められた乾いた空気が頬を撫でた。
空っぽの部屋を満たしていたエアコンの空気が廊下に逃げだすのをなんとなし見送る。早く閉めて、とかかる声のひとつもないことにぱちりと瞬く。
リビングを満たす昼前の明るい光に起き抜けの瞼を擦り擦り、食卓を見れば、そこにはラップされたごはんと置手紙のメモが置かれていた。
(みんな出かけてるんだなあ)
双子の妹は母親とお買い物で、父親は仕事。状況を知らせる母の字と、行ってきます、と告げる妹の字をぼんやり読んで、欠るは食卓にひとり着く。
(そっか)
ひとりきりのごはんはそれはそれで楽しい。だってテレビも好きなチャンネルを選べる。
お皿に掛けられたラップを外す。冷蔵庫から取ってきた牛乳をコップに注ぐ。いただきます、と手を合わせて口にするのは、おにぎりとだし巻き卵とウィンナーの朝ごはん。
おにぎりを片手に持ってもぐもぐしながら、母親が出掛けに切って行ったエアコンの電源を入れる。そうしてからテレビのリモコンを取る。いつもなら行儀が悪いと言われたりするけれど、今はそういう面倒なことを言われたりもしない。
適当なチャンネルを選んでは変え、選んでは変える。どこの局も情報番組ばかり、しかつめらしい顔したおじさんたちがなんだか難しい話をしているばかり。
(あんまりおもしろいのやってないや)
テレビを消す。ソファの前のローテーブルに置かれたタブレットを持ってきて面白い動画を探してみるか、それとも同じところに置かれたスマートフォンでラジオを聴いてみるか、
(……そういう気分でもないかな)
甘い卵焼きと冷たくなったウィンナーを食べて、牛乳を飲み干す。ごちそうさまと手を合わせ、片付けは後回しにしのんびり窓の外を眺めてみる。
カーテン越しの空は、少し曇りがちではあるけれどぼんやりと日が差している。雲の隙間からところどころ薄青の空も見えていて、だからたぶん、雨や雪の心配はなさそうだ。
窓際の壁に立てかけたギターが目に留まる。父のお古のギターで遊ぶのも悪くないけれど、
(今日は)
外の方が楽しいことがある、気がする。
「さんぽにいこうかな」
今日初めて声に出した自分の言葉に、ふんわりと心が弾んだ。
「うん、それがいいや」
だってソファの上には誰が用意してくれたのかはわからないけれど、欠るの分の上着にマフラーに、お出かけ用の一式が置いてある。この前片方失くしたはずの手袋だって両方きちんと揃っていて、欠るは思わずぱちぱちと瞬いた。片方ずつに分かれているものは、気が付くとあっちこっちにやった挙句、探すのが面倒くさくなってなくしたままにしてしまうのだ。
「たすかるなー」
たぶん家族の誰かが探し出して揃えてくれたのだろう手袋をひと眺めして、あっちこっちにやっちゃうのを改める気はこれっぽっちもない十歳男子は服を着替えに自分の部屋に戻った。適当に服を着替えて、脱いだパジャマは布団の上にぽいぽいと投げだして。リビングに揃えてくれていたお出かけ用一式を身に着ければ、準備はおしまい。
食器の後片付けもエアコンの電源をオフにすることもきれいさっぱり忘れて、欠るはわくわくと玄関に出る。靴の爪先をとんとんしながら扉を開けて、
「あ」
前に玄関の鍵を閉めずに出かけて、お母さんに叱られたことを思い出した。叱られるのは面倒くさい。上着のポケットに誰かが入れてくれていた鍵を取り出し、今日はきちんと鍵をかける。
よし、と外に向き合う。薄雲の向こう、ぼんやりと柔らかなお陽さまの光が見えた。のんびり照らすお陽さまと、ふわふわ寄せる風の緩さのおかげか、外は思ったよりもあったかい。
外の道に出るよりも先、手袋を外す。この気温なら、手袋はいらないかも。
外した手袋をポケットにぎゅうぎゅう押し込んで、軽い足取りで歩き始めた途端、昼前の路地の真ん中、のびのびと寝そべって日向ぼっこに勤しむ黒猫を見つけた。
「ねこー」
きらり、紺色の瞳が輝く。
上着の裾をぱたぱた揺らして嬉しそうに近づいてくる少年に、猫は温かいアスファルトに横たえてた頭をひょいと上げた。興味なさそうにもう一度こてんと倒れて、けれど少年の手が触れそうになる直前にのそりと起き上がる。
「あれ、行っちゃうのかあ」
ぐうっと伸びをしたかと思えば、身軽な動作で傍らの塀に飛び乗る猫を目で追い、欠るは小さく首を傾げた。なんとなく猫の後を追いかけて、かと思えば空を過る鳥の影に足を止める。
雲の向こうに隠れていても眩しいお陽さまの光を額の上にかざした両手で遮りつつ、鳥の行方を探す。鳥が飛んで行ったのは来た道を戻る方向だけれど、構わずくるりと踵を返す。薄青と鈍色が混ざり合う冬空を仰いで進む。元来た道を辿って、今度はさっきとは反対の方向に曲がってみる。
気ままなお散歩のお供は、思いつくままの鼻歌。
灰色の雲に紅色の花びらを凛と広げる山茶花の垣根の脇を過ぎ、赤と緑の葉っぱが鮮やかなポインセチアの鉢が並ぶ路地を横切る。冬の空気を彩る色に惹かれ、思わずスマホで写真を撮ろうとしたけれど、
(んー?)
ポケットの中にスマホは見つからない。どうやら家に置いてきたみたい。
(あ、)
ポケットを探った指先が外に出るよりも先、欠るの意識は撮りたかった写真よりも道の先に広がる水平線に奪われた。
(海だ)
自然と早くなる足取りで、海に続く路地から堤防道路へ出る。堤防に沿った遊歩道を辿り、大きな階段状になった堤防をよいしょよいしょと身体ぜんぶを使って砂浜まで降りる。
夏に大きなイベントがあったときはひとがいっぱいいたけれど、
(いまはぜんぜんいない)
ひとけの無い冬の海にぐるりと首を巡らせる。びゅわびゅわと吹き寄せる風にちょっぴり首をすくめながら、夏の賑わいとはまた別の雰囲気を見せる冬の砂浜を歩いてみる。
(たしかあのへんにトンネルをつくった……)
あっちに大きくて賑やかなステージがあった、こっちにはひとがたくさん歩く通路があった、と妹と一緒に遊んだ夏のことをつらつらと思い出す。
かき氷を食べた。
カニを見つけた。
(あの時のカニ、どうしてるかなあ)
すぐに砂が入ってジャリジャリする靴を片方ずつ脱いで砂を出していて、ふと不思議になった。砂のトンネルを作ったあたりを見つめてみるけれど、冷たい砂の上を歩いているのは自分ひとり。
(生きてるかなあ)
冬の海の匂いを運んで、ぶわり、風が行き過ぎる。
額の髪を巻き上げる風の冷たさに、思わず頬をぎゅっとすぼめる。気づいてみればお陽さまは大分傾いて、さっき道すがらに見た山茶花の花の色を帯びている。
知らぬ間に冷たくなっていた指先をポケットに入れる。出がけに突っ込んだはずの手袋を探すも、見つかったのは片方だけ。
(もう見つからないかなあ)
物をなくすのは慣れたもの。よくあることだからそんなに気にはならないけれど、でもそれで怒られるのは、
(ちょっとやだな)
なんといっても面倒くさい。まあでも、
(さむいし、そろそろ帰ろ)
それに、いっぱい歩いた気もする。
片方だけの手袋を片手だけにはめて、落ちてゆくお陽さまに見送られて帰路につく。茜の色と青紫の色が混ざり始める夕空には、金色に輝く一番星。
(帰ったら、まっくらかも)
お出かけしていた母と妹もそろそろ帰ってきている頃だろうか。もしかすると、父も。
(まあ、いいか)
こうしてひとりでお散歩するのも慣れたもの。妹はもしかしたら心配しているかもしれないけれど、一番星がきらきら光る冬の空はとっても綺麗で、慌てて帰るのももったいない。
海風に帰りなさいと背中を押されてもどこ吹く風、欠るは一番星よりもきらきら光る瞳で自分の町を眺めやる。
(帰りにも、なんかおもしろいことがあったらいいな)
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2020年05月07日
参加申し込みの期限
2020年05月14日 11時00分
アクション投稿の期限
2020年05月14日 11時00分
参加キャラクター一覧
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