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日日是寝子島
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十二月二十六日。
カーテンの隙間から流れ込んできているのは、夜明け前の蒼紺の色。
瞼に触れる冬の空気に、
城山 水樹
は髪と同じ黒い睫毛を震わせた。白い眉間に小さな皺が寄る。愛しい誰かを探すようにシーツの上を細い指が彷徨って、結局辿り着いたのは自分の瞼の上。
瞼にくっつく睡魔を指先で追い払い、ベッドの中で大きく伸びをする。細い腰に届くほどに伸ばした緩く波打つ髪を片手で軽くまとめ、かたちの良い胸に冬の部屋の空気を満たす。
ぺたりとベッドの上に座り込んだ格好のまま、しばらくぼんやりと自室を見回す。あくびをひとつして、もう一度ぐうっと伸びをする。
手と身体を伸ばしてカーテンを開いても、窓の外には夜がまだ居座っている。
夜明けを拒むような蒼い空気の中に佇んでいるのは、生まれ育った参道商店街のレトロな風景。変わらぬ町のその中、水樹の実家である古書店もまた変わらぬ姿で日々を経ている。
向かいの商店の窓、取り残されたツリーが名残を惜しむがごとくきらきらと電飾の光を煌めかせているのを見つけて、水樹は小さくくすりと微笑んだ。
(……綺麗ね)
思い出すのはイヴの夜。
彼と出会った一年前と同じその日を、今年も同じ場所でふたりで過ごした。
今年も星空よりも煌めくイルミネーションに彩られた星ヶ丘の高級ホテル『ステッラ・デッラ・コリーナ』で過ごした、一年前よりももっとずっと情熱的な一夜が寝起きの頭を過って、思わずベッドに突っ伏す。一瞬のうちに熱を帯びてしまった頬や耳やうなじを冷たい布団に押し付ける。
(大みそかまでは会えないけれど)
職業カメラマンな彼は忙しい。その忙しい合間を縫って木天蓼市のある本土から橋を渡って島まで会いに来てくれることが、水樹にはとても嬉しかった。こちらから逢いに行くこともできるけれど、仕事の邪魔はしたくない。そう思うのは、水樹が現役女子大生でありながら雑誌の専属モデルの仕事をこなしているからだろうか。
とはいえ、大学は冬休み。仕事も年明けまでは休み。ここのところの忙しさを思えば、ぽかりと開いた自由な、自分だけの時間。
(寂しくは、……ないわね、うん)
まだ少し火照る頬を掌でこすりながらベッドを下りる。だって頬にも瞼にもうなじにも、素肌のどこににも、イヴの夜に触れてくれた彼の掌や唇の感覚が残っている。
再度、火を噴きそうなほど熱を帯びる瞼をぎゅっと閉ざす。何度身体を重ねても、逢えない時間があろうとも、愛しい人の存在を感じることができる。それはなんて幸せなことだろう。
幸福感に眠気の吹き飛んだ身体をトレーニングウェアに包み替える。
夜まだ明けきらぬ時間に起きてまず最初にするのは、部屋の中でできる簡単なストレッチ。
寝起きの身体を完全に目覚めさせた後は、顔を洗って髪を結い、ついでに台所でコップ一杯分の水分を補給。最低限の準備をしてから、白み始めた冬空の下に出る。
白い息をふわりと吐き出す。冬晴れの師走の寒さに思わずちょっと笑ってしまったりしながら、ひとけの少ない参道商店街をひと眺め。白く明け始める空もひと眺めしてから、その場で幾度か足踏みの後、地面を蹴って走り出す。自宅のある古書店を起点にして、参道商店街をまずはゆっくりめに一往復。徐々に速度をあげつつもう一往復。
「早いねえ、水樹ちゃん」
「おはようございます」
新聞を取りに出てきた中華料理屋のご隠居に挨拶をしたり、開店準備に取り掛かる喫茶店の女主人に手を振ったりしてもう一往復。身体が十分に温まったところで、商店街の道を抜けだす。何処に向かうとも決めず、足の向くまま気の向くまま、温かな息を吐いて駆ける。
商店街を過ぎ、寝子島街道を渡る。夜の色した海を横目に海岸沿いに走って、寝子電本線の踏切の前で警報機の音に足を緩めた。遮断機に行く手を阻まれ、ならばと方向を変えて脇道に逸れて向かうは寝子島漁港。
漁港に近づくにつれ、行きかう軽トラの数が増えてくる。煌々とライトの灯る魚市場では、今しも競りの真っ最中。
港に停泊した漁船からは水揚げされたばかりの魚が次々に上げられ、発泡スチロールに山積みにされた鱗もピカピカな新鮮な魚が競りにかけられてゆく。
素人には呪文のように聞こえる仲買人たちの声を耳にしながら、水樹は足を速めた。突堤の辺りまで一気に走りこむ。
突堤の先の小さな灯台で踵を返し、次に向かうは寝子島神社。ロードワークでどんなルートを辿っていても、最後に向かう場所は昔から決まっている。
潮と魚の匂いのする風と冬風に踊る波の音を耳に、朝焼けの色に染まる九夜山を仰いでまだまだ走る。冷たい空気に息が切れるのも、身体に疲れと熱が溜まって行くのも、なにもかもが楽しかった。
バスケ部に所属していた高校時代も、こうして毎日のように走りこんでいた。二年生のときに怪我で引退しても、身体を動かすことをつらいとは思えなかった。その頃には習慣になっていたロードワークをやめようとは思わなかった。
寝子島神社に至る石段の前、ほんの少し足を止めて息を整える。
(よーい)
どん、と石段を一気に駆け上がる。
最後の段を踏みしめる頃には、いつだって息は激しく乱れていて、身体はくたくたに疲れている。息を整えるしかできなくなっている。何も考えられなくなっている。
北風にさらされていたにも関わらず汗の滲んだ額で境内を歩く。まっすぐに向かった本殿で手を合わせ、帰ろうとした足が止まる。
寝子島神社ならではな狛犬ならぬ狛猫が鎮座している台座のところに、猫がいた。
狛猫と同じポーズで座ってあくびをする白猫に、狛猫の肩によじ登ってみゃうみゃう鳴く子猫と三毛猫に、狛猫の肢の間で香箱を組むサバ猫に。
猫がたくさんいる島ではよくある風景とは言え、その微笑ましさに思わずくすりと笑う水樹に気づいてか、数匹の猫がみゃあみゃあと鳴いて近寄ってきた。砂利に膝をついて手を伸ばせば、人懐っこい猫たちはその手に冷たい鼻先を寄せてくる。
ザラリとした温かな舌に指先を舐められ、くすくすと笑う水樹の膝に別の子猫が前足を掛ける。よじ登ってくる子猫の小さな身体を片手で支え、反対の手でもう一匹の背中を撫でる。
「おはよう」
つやつやでもふもふで温かな猫たちの感触に知らず相好を崩す。ロードワークの距離と歩数計測のためにポケットに入れていたスマホを取り出し、掌に頭を押し付けてくる猫の姿をカメラアプリで撮る。
(なかなか上手く撮れないわね)
流石に本業のひとにはかなわないよね、と小さく笑う。
猫は可愛い。出来るのなら飼いたいくらいではあるけれど、そうは言っても、同居している弟が猫に限らず動物全般にアレルギーを持っている。
何年も前に断念した猫を飼いたいという思いが再燃するも、そこはぐっと押しとどめ、水樹は抱っこした子猫をそっと地面に下ろす。きょとんとした顔をする子猫をもう一撫でして立ち上がる。
「じゃあね」
ひらりと手を振れば、人懐っこいが故に人馴れしている猫たちはそれを理解したかのようににゃあと返事をした。
石段の際まで足元にじゃれつきながらついてきた子猫も、水樹がもう一度じゃあねと手を振るとその場にちょこんと座ってそれ以上はついてこなくなった。
「ただいま」
裏口から家に入ると、ご飯の炊ける匂いがしていた。
あったかい湯気の気配に思わず顔が綻ぶ。
おかえり、と台所から顔を出した母親にもう一度ただいまと告げて、自室から着替えを手に風呂場に向かう。弟はもうどこかに出かけてしまっているようだ。
冷えていた身体が痺れるほど熱いシャワーを全身に浴びて汗を流し、ラフな格好で居間に入れば、母が折よく朝食を用意してくれていた。
炊き立てごはんに海苔、葱と豆腐の味噌汁に、ご近所さんからおすそ分けしてもらったという甘い蜜柑に熱い玄米茶。
昼から店番をお願いね、と言い置いて古書店の開店準備に向かう母を行ってらっしゃいと見送る。
(レジ台のツリー、うちも片付けなくちゃね)
そんなことをぼんやり考えつつ朝ごはんを済ませ、使った食器を洗う。
母は店番、父は朝イチで古書買取の出張、弟はどこかにお出かけ。
自分はひとまず何をしようかと思案して、とりあえず歯を丁寧に磨いてみたり、肌の手入れをしてみたり。
昼まで予定は何にもない。空いた時間を無理に埋める気もない。
なんとなく自室に戻り、なんとなくスケジュール帳を開く。来年からの仕事と学業のスケジュールを確認したり、来年の連休をチェックして、
(来年はふたりでどこ行こう)
恋人と行きたい場所を思い浮かべて、携帯電話や雑誌で情報を調べてみたり。寝子島にも本土にも、ふたりで行きたい場所はたくさんある。もっとも、どこかに行かなくたってふたりで過ごせるのであれば、
(……うん、どこでもいい)
知らず緩む頬を片手でつまむ。彼と過ごすようになってから、ひとりでいても笑うことが増えた気がする。
ファッション誌をチェックしてみたり、今朝寝子島神社で撮ったばかりの猫写真をねこったーに、自撮り画像をNyanstagnyamにアップしてみたり。ひとりをのんびりと楽しむ間に、気づけば母から店番を頼まれた時間になっている。
昼ごはんも買ってくるからね、と出ていく母にお構いなく、と手を振って見送ったあとは、ここのところモデル業や学業の忙しさにかまけて手伝えていなかった古書店の店番。
古本が並ぶ本棚の奥、ひんやりひっそりと静まり返る店の奥のレジ台の脇の椅子に掛け、時々本の埃を払ったりしながら、訪れるお客の相手をする。
師走の終盤とも思えないのんびりした一日を過ごしつつ、水樹はまた、ひとりでくすりと笑う。
(こんな一日も)
悪くない。
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担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2020年05月07日
参加申し込みの期限
2020年05月14日 11時00分
アクション投稿の期限
2020年05月14日 11時00分
参加キャラクター一覧
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