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『宮祀青果店』のネーム入り自転車の後部座席に床用洗剤にハタキに雑巾のお掃除セットを詰めたバケツを括り付け、前籠にお土産を入れた鞄を入れて。
「行ってきまーす!」
宮祀 智瑜
は表の店先で青果店の店番をしている祖父母に声を掛ける。
行ってらっしゃいと手を振る祖父に手を振り、気を付けてと微笑む祖母に大きく頷いて、いつものように自転車にまたがる。
前後に荷物をめいっぱい積んでいても、日頃から店の手伝いで野菜の配達をしている智瑜には慣れたもの。危なげない運転で冬景色の参道商店街を駆けてゆく。
「おや、智瑜ちゃん」
「おはようございます!」
「お出かけかい、智瑜ちゃん」
「はい、ちょっとお友達のおうちへ!」
店先でクリスマスツリーの後片付けをしている雑貨屋のおばあちゃんにも、店先の長椅子で煙草を吸っているお土産屋のご隠居にもご挨拶して、智瑜は白い息を吐きながら元気いっぱいペダルをこいで行く。クリスマスの賑わいが去っても、大晦日にお正月に、楽しいことはまたすぐにやって来る。
大晦日からお正月にかけての参道商店街の賑わいを思い、智瑜は唇を小さく綻ばせた。
(うちは大掃除は終わったけど)
手袋をしていても冷える指先に時々息を吐きかける。雪を乗せたまま遠くの海へ流れて行きそうな雲をちらりと仰いで、空の眩しさに夜色の瞳を細める。少し雲は出ているけれど、いいお天気。
(日暮さんたちのところは大丈夫かな?)
大掃除におせちの準備に。初めて寝子島で年越しをするあの家のひとたちは、年末年始の過ごし方を知っているだろうか。
横断歩道の手前で降りたついで、自転車の後ろに乗せた掃除道具入りのバケツを振り返る。様子を見に行ってみようと一応掃除用具は用意してきたけれど、実はこれはただの口実。
(こんちゃんに珠に、日暮さんに夕さん)
ふしぎなご縁で友達になった、ちょっとだけ不思議なひとたちの顔を思い浮かべ、智瑜はふわりと微笑んだ。
猫又川の橋を渡って、シーサイドタウンに入る。いつも通る通学路をちょっと逸れた住宅街の一角に、彼らの家はある。
彼らが住み着くまではお化け屋敷と見紛うほどに荒れ果てていた古民家も、今は古いだけの普通のお家。石塀の前に自転車を停めさせてもらい、掃除道具入りのバケツを片手、鞄を片手に持つ。開かれたままの錆びた鉄扉をくぐり、飛び石を渡って冬枯れの庭を過ぎる。曇り硝子の引き戸の前に立ち、音が鳴るのかどうか怪しい古びたベルを押す。
「だれか来た! こんが出るー!」
家の中にベルが響いたかどうかも分からないうち、家の奥から元気な声が聞こえて、智瑜は思わずくすりと笑った。
「おはようございます!」
「ちゆ!」
声を上げた瞬間に玄関戸がガラリと開いた。裸足で飛び出してきた勢いのまま抱き着いてくる、おかっぱ頭に綿入れ半纏姿の少女を抱きとめる。
「わ、」
ちょっとよろけて踏みとどまって、とりあえずバケツを玄関先に置く。
「おはよう、こんちゃん」
「おはよう、ちゆ」
腰を屈めてぎゅっと抱きしめてやれば、元はこの家に隠れ棲んでいたナニカであった少女は、まるで智瑜の可愛い妹のようにくすぐったそうに嬉しそうに声をあげて笑った。
「おはようさん」
「今日も寒いですねえ」
奥の台所から顔を出す日暮と夕にも挨拶をしつつ、智瑜はこんの半纏の背中からぴょこんと頭を飛び出させる黒猫の珠の頭をふわふわと撫でる。
「学校て今休みやっけ?」
「冬休みなんです。だから今は時々家のお手伝いをするぐらい」
「そないなんあるんやねえ、休みでも家の手伝いして偉いなあ」
まあ上がり、と黒い眼を細める日暮に明るく笑いかけ、お邪魔しますと玄関に靴を揃える。
休み中にも宿題はあるけれど、少しずつ進めてはいる。だからこうして友達の家に遊びに来たって大丈夫。
(でも)
ちらり、智瑜は思う。
クリスマスに大晦日にお正月、イベント盛り沢山な冬休みくらい、宿題なんて無くても良いのに。
「今日は、大掃除のお手伝いに来ました」
「おおそうじ?」
「もう終わってますか?」
智瑜の問いに日暮と夕は顔を見合わせた。しばらく互いの顔を見やって、ふと思い出したように日暮が手をぽんと合わせる。
「大掃除。ねこ温泉の番頭はんがなんやそないなこと言うとったなあ」
「ここのお家は広いから掃除も大変ですよね」
「大掃除なあ。どうせ暇しとったし、大掃除しよか」
「はい!」
おっとりと笑う日暮に、智瑜はちょっぴり得意げに玄関口に置いていた掃除道具入りのバケツを掲げてみせた。
家中の窓を開けて回る智瑜の後ろを、こどもエプロンをつけたこんがハタキ片手に珠と一緒に駆けてははしゃぐ。
日暮と夕は台所に風呂場に、水場の掃除。
「意外と埃がありますね」
「お二階はあんまりつかってないの」
「そうなの?」
「ときどき、どたんどたんってナニカが落ちる音がするの」
「えっ」
「だいじょうぶ、こんとたまがいるからこわくないよ」
怪談話好きな座敷童が大真面目な顔で語る怖い話にどきどきしつつ、二階の部屋中の埃を落とす。そのあとは埃の落ちた畳の上を丁寧に箒で掃き清める。
智瑜が窓を拭いている間のこんは、廊下の床と畳の雑巾がけ。
「きゅっきゅっきゅー」
「はい、きゅっきゅっきゅー、です」
鼻歌交じりでご機嫌なこんにつられ、智瑜も一緒になって口ずさむ。
背伸びしても届かない高い場所の掃除は日暮に任せて、ついでに箪笥や文机などの家具の移動の力仕事も手伝ってもらう。
「重たいなあ」
「怪我しないでくださいね」
ふたりが家具の移動と掃除をしている間、うっかりちょろちょろしてしまうこんと珠は夕が確保して玄関の掃除に追い立てている。
「なんやおおごとやねえ、大掃除」
作務衣姿に三角巾を巻いて疲れた顔をする日暮に、智瑜は朗らかに笑った。
「年に一回、ピカピカにして綺麗なお家で新しい年を迎えましょう」
手伝いを苦にした様子もなくむしろどこか楽し気な少女に、隙があればごろごろしたい青年は少し反省したらしかった。真面目な顔で大掃除に励む。
最後の仕上げに一階の大部分を占める大広間を掃除して、年末の大掃除はおしまい。
「ぴっかぴかー!」
「つっかれたわー」
エプロンを脱ぎ捨てて畳の上で大の字になるこんと珠の隣に日暮が同じようにごろりと転がる。
「お疲れさまです」
「智瑜さんもお疲れさまです。ほんま、ありがとう」
くすくすと笑う智瑜を、夕が部屋の端にちょこんと据えたかたちの炬燵に招いた。ガスヒーターと電気絨毯も設置され、衝立で区切られた座敷のその一角の空気だけがふわりと暖かい。
蜜柑と淹れたての熱いお茶で智瑜と夕が一服を始めれば、大座敷の真ん中に転がっていた猫と子供がごろごろ転がって炬燵に潜り込んできた。畳の上でうつらうつらし始めていた男は起き上がって茶菓子を取りに台所に向かった。
「日暮さんと夕さんはおせちは作るんですか?」
日暮が台所から持ってきた餅入り最中をお茶と一緒に味わいつつ、青果店の孫娘はお正月のお楽しみを口にする。筑前煮に栗きんとん、蒲鉾に伊達巻、カズノコに黒豆。年に一回のご馳走、おせち料理。
「うちはお祖母ちゃんと一緒に作るんです」
「智瑜のばあちゃん、料理上手やもんねえ。何作るん?」
時々青果店にバイトに入るついで、智瑜の祖父からは余りものの野菜を、祖母からはおかずのお裾分けを貰ったりしている日暮が頷く。
「煮豆とか昆布巻きとか」
「にまめ! あまい?」
「はい、ふっくら甘い煮豆です」
真剣な表情で蜜柑の皮を剥いていたこんが顔を上げて聞く。そのこんの口に剥いた蜜柑の一房を入れてやりつつ、智瑜は微笑んだ。
「お祖父ちゃんはお蕎麦を打つって張り切ってます」
「……蕎麦と日本酒……」
熱い茶をすすり、少女の姿をしながらも元は妙齢の女性であったらしい夕がどこかうっとりとした風に呟く。呟いてから、智瑜の丸めた瞳に気づき、内緒よとばかり唇に人差し指を立てた。
少女の姿した夕の妙な色っぽさに思わず赤くなった頬を掌でこすり、智瑜は話を逸らす。
「正月に向けて食材が高くなってるから早めに買わないと」
「せやねん、最近なんや色々高なっとんなあ思うて。けど、季節の美味いもん食べるんもこっち来てからの楽しみのひとつやし」
「うちなら従業員割引で少し安く購入できますよ」
「ほんま? そらありがたい」
炬燵に入ってお茶菓子と熱いお茶をお供に、みんなでのんびり何でもない話をする。クリスマスが終わるとお正月の準備で一気にバタバタし始めるけれど、炬燵に入っているときくらいはのんびりするのも悪くない。
「そうそう」
炬燵布団から小さな頭だけを出し、仰向け万歳な猫らしからぬ体勢でくつろぐ珠の顎をそっと撫でて、智瑜は思い出した。忘れるところでした、と玄関に置いたままの鞄を取って戻る。中から取り出すのは、商店街のクリスマス商戦の折の福引で引き当てた『にゃんこグッズ』。サンタクロースの顔が印刷された袋の中に入っているのは、猫じゃらしに猫缶にと、正に猫まっしぐらな逸品の数々。
「珠にどうぞ」
「いつもおおきに」
日暮が礼を言うより早く、炬燵から珠が飛び出した。猫缶に抱き着いたかと思えば、猫じゃらしの先に飛び掛かる。
猫じゃらしで珠と遊んでやりつつ、智瑜はもうひとつ、ふと思い出した。
「そういえばあの招待券っていつまで使えるんでしょうか?」
口にするのは、ハロウィンに催された星ヶ丘の『ねこの庭』のパーティで景品にもらった『ねこ温泉郷ご招待券』。見るからに手作りな『招待券』に書かれていたつたない子供の文字は、間違いなくこんの字だった。日暮と夕も『招待券』の正体に気づいている風だった。
智瑜の視線を受け、夕とこんは顔を見合わせる。そうしてから、ふたり揃ってくすくす笑い、唇に人差し指を立てた。
「温泉にもゆっくり浸かりたいですね」
働くのも楽しかったですけど、と智瑜は猫による猫のための温泉郷のことを思ってくすくすと笑う。猫だらけの温泉郷は、きっとまた行きたい場所のひとつ。こんが何か楽しいことを企んでいるのであれば、なおさらのこと。
「気長に待ってますね」
けれど先の楽しみは先に取っておいて、今日は今日のいちにちをめいっぱいに楽しもう。だって大掃除はおしまい、こんと珠は遊ぼう遊ぼうと全身で抱き着いてくるし、日暮と夕は炬燵でなんでもない話をしては笑いあい、お菓子やお茶を勧めてきてくれるもの。
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阿瀬春
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ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2020年05月07日
参加申し込みの期限
2020年05月14日 11時00分
アクション投稿の期限
2020年05月14日 11時00分
参加キャラクター一覧
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