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……アンド・ユア・バード・キャン・シング
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意外なほど質素な部屋だった。
革張りのふかふかしたチェアや、大判小判を額縁に入れたものが飾られているかと思っていたのだ。
ところが案内された所長室は、机やパソコンこそ高級品ではあるものの、他には飾り気のない、拍子抜けするほどシンプルな部屋だった。勧められたのもパイプ椅子である。
といっても、書棚にならぶ本が成功者のマネジメント書ばかりなのは少々気になる。
まあ、それはそれとして。
蔵人は所長の坂元と向かい合った。
机の上にはICレコーダー、メモも手にしている。
蛇のような目をした男だ、というのが第一印象だった。
坂元は愛想のいい笑顔だったがその実、目はひとつも笑っていない。
「……と、言うわけでですね坂元所長。この施設のことをまずはイチからお聞かせ願えれば、と。沿革、目的、実績あたりですね」
定番の質問からはじめてたちまち、蔵人は閉口することになる。
坂元は多弁だった。それだけではない。
「わかります? わかりますか? 私はね、こういうバカ、ごくつぶしのバカをね、許せないんですよ! 税金を納めず怠惰を享受する、引きこもりとか社会不適合者はフリーライダーそのものです! 戦後民主主義の害悪ですね。少し前の時代だったらとっくに淘汰されていますよ」
多少は体裁を取り繕うのかと思いきや、坂元は口を極めて施設入居者を罵ったのである。
インターネットの世界でも坂元は強烈な言葉遣いをしていた。蔵人は知っている。歯に衣着せぬ発言が過ぎて、坂元のSNSはしばしば局地的ながら炎上していたようである。だが文字として読むのと、目の前で聞くのとではショックの度合いが違う。
「ずいぶん過激な発言ですが、そのまま書いても……」
「もちろんです! 『バカ』とか『フリーライダー』は太文字で書いて下さい! そのほうが届くんです!」
坂元の発言は炎上しがちだが、その一方で強烈な信奉者も生んでいた。『生ぬるい教育行政に喝! 喝! 喝!』『私の言いたいことをかわりに言ってくれた!』などと絶賛するコメントも一部ながら見られたのである。いつの世にも、過激な発言を喜ぶともがらがいるものだ。
「しかし、社会の厄介者だからといって見殺しにするわけにはいかない。廃物は再利用しないとね。そこで私は、この矯正施設を思いついたわけです」
口が滑ったか問題発言をしている。もっとも、これも坂元なりの計算なのかもしれないが。
いや、違ったようだ。
さすがにまずいと思ったらしい。坂元は急に口調を変えて言った。
「失礼、今の『矯正施設』は消してください。『支援施設』です」
「入稿時に修正しておきます」
「いけません。今、目の前で消して下さい」
執拗だが妙に冷静な口調だ。
蔵人は抵抗せず、
「それでしたら」
とレコーダーを操作して坂元の発言の一部を消去したのだった。
満足した様子で坂元は続きを語った。
「……というわけで、この問題を憂慮した私は前職をなげうち、Education And Build、略して『EAB』を設立したのですよ。設立には有力政治家など、多数の有識者のご賛同、ご援助をいただいています」
蔵人の胸にはもう反発しかなかった。名詞と動詞がごっちゃになっている『PDCAサイクル』などという言葉なみに、このEABという名前にもなんら共感するものはない。
(※)
そもそも蔵人は『沿革、目的、実績』を聞かせてほしいと言ったのに、坂元は『目的』ばかりで、あとはせいぜい『沿革』を多少口にしただけだった。『実績』については触れもしない。語れるほどのものがないのだろう。
だが蔵人は、ここに口論するためにきたのではない。できるだけいい笑顔を作って言った。
「いやいや、素晴らしい理念です」
とりあえず誉めておく。しかし言葉には用心した。
――否定的なことも言えないが、あんまり肯定しすぎると私までとっ捕まりかねない。こいつは結構な綱渡りだぞ。
坂元という男には、どこか薄気味の悪いところがある。警戒はしておこう。
「それでは実際の入居者の生活と心境の変化、そちらも直接聞かせていただけるといい記事が書けるかなと……お目にかかれませんかね? 入居者の方に」
すると坂元はまた、妙に愛想のいい口調で言うのである。
「残念ながらそれはできませんね。彼らはデリケートです。外部の方から刺激が与えられることは避けておきたい。そのかわり、うちの職員に施設内を案内させますよ。どうぞ見ていってください」
「いやあ、入居者のお話も……少しでいいんですけどねえ」
坂元は首を縦に振らなかった。
「そろそろ次の客人と話す予定ですので」
その言葉に合わせるように、蔵人の背後のドアが開き、大柄な職員が無言で近づいて来たのである。
これ以上食い下がれない。
「でしたら、案内をお願いしましょう」
蔵人はレコーダーを止めた。
決定的な証拠が必要だ。
EABが拉致や監禁を行っているのが本当なら、ここで坂元を追求したところでどうにもならないだろう。世論か、国家権力か、少なくともどちらかを味方につけるための材料がいる。
いざというときは、机の上に置いたのとは別の、取材カバンに入れたICレコーダーがものを言うだろう。
※PDCAが、『Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)』というサイクルであるとみなされているのと同程度だと思っている。なぜActではなくActionなのか? Education And Buildも、『~Building』ならまだ理解できるが。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
推理・サスペンス
冒険
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2020年05月03日
参加申し込みの期限
2020年05月10日 11時00分
アクション投稿の期限
2020年05月10日 11時00分
参加キャラクター一覧
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