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……アンド・ユア・バード・キャン・シング
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茶髪のウィッグを頭にかぶせ、分厚い眼鏡で顔の印象を変える。
変装の基本だ。基本だけに多用される。基本だけに、効果も高い。
かくして
エレノア・エインズワース
は別人になりすまし、寝子高生ではなく一般ボランティアとして、寝子高の船より一本早い便で島に到着していた。
――ああ、こりゃ想像以上だね。
マスクもしてくるべきだったか。口に、ナイフでえぐった傷のような笑みがこぼれてしまう。
「ようこそ、ボランティアに応募して下さったみなさん! 所長の坂元です」
と名乗って船を出迎えた男は、見事なまでのクズ野郎だったのだ。
満面に笑みを浮かべる理想的なクズ。最悪すぎて最高だ。
坂元が、「困っている人たちに手をさしのべ、社会に貢献したい」だのなんだのという高邁な理想を心から信じているような純粋まっすぐ人間であったとしたら、エレノアはさぞやがっかりしたことだろう。なんだ自分の信じるものに酔っているだけのバカか、と軽蔑したにちがいない。
逆に、この施設を金儲けの手段、一種の貧困ビジネスと位置づける我利我利亡者だったとしても、エレノアはせいぜい半笑いを浮かべる程度だったはずだ。クズはクズだが正直小物だ。特殊詐欺をしている連中に毛が生えた程度にすぎない。
ところがこの坂元は違う。
「正直にねえ、言いますよ。みなさん!」
力の限り熱弁を振るったのである。
「引きこもりとかね、ああいう人間は、言葉は悪いが社会の害だと思いませんか? 教育、労働、納税、みなさんもご存じですね? 国民の三大の義務ですよ! これをね、まーったく果たしていないんですよこの人たちは! この国になんの生産ももたらしていない! ええ、なにひとつっ!」
目をむいて左右を見回す。
「昔の言い方ならごくつぶしですよ! みなさんが汗水垂らして果たしている義務にタダノリし、自分の権利ばかり主張する! 国をむしばむ存在です! これは犯罪です! 衰退しつつある我が国において、一番いては困るタイプの人間なんですよ! わかりますよね、みなさーん!?」
だからこの施設を作り引きこもりたちを矯正しているのだ――そう坂元は言うのである。
集まった市民ボランティアたちは最初、とまどうような視線を交わしあっていた。しかしそのうち、おずおずとうなずく者が出てきた。そればかりか熱心に耳を傾けている者もちらほらとある。
エレノアは腹を抱えて笑い出したい気分だ。
――最高ですね、最高のクズですね!
にわかには反論しづらい内容を並べ立て、ひきこもりなど施設入居者を社会の敵に認定し断罪する。
しかし、冷静に考えれば穴だらけの理論ではないか。
教育が国民の三大義務のひとつだと坂元は言った。だがこれは『教育を受ける』義務ではなく、国や保護者が子どもに教育を『受けさせる』義務だ。まずこの誤用が意図的である。
どさくさにまぎれ、引きこもりが権利ばかり主張していると主張していたがこれも変だ。息を殺して引きこもっている人間に当てはまる内容だろうか。それに、『義務を果たさない限り権利は与えられない』という自己の考えをあたかも客観的な真理であるかのようにかたっている。
引きこもりが『なんの生産ももたらしていない』という主張が事実かどうかは疑わしいし、仮に事実だとしても、それを犯罪だとみなす根拠はなにか。
――これだけ穴ぼこだらけの理屈を、よくもまあ。
エレノアは感心してもいる。
坂元の語り口には独特のリズムがあり、熱意もあるためつい聴き手を引き込んでいたからだ。
いちいち『みなさん』と呼びかけているのは、これは自分の持論ではなく、『みなさん』の共通認識なんですよ、と言いたいからだろう。いざとなったら、決定したのは『みなさん』だとして責任追及を逃れることができるわけだ。おそらくこの男は、自分の言っている言葉を全然信じていないのだろう。ただ煽ることに喜びを見出しているだけだ。
しかしエレノアとしては、いちいち坂元に反論する気などない。むしろ、大いにクズらしくやればいいと思っている。こちらはその様を不条理劇として楽しく鑑賞させてもらうだけだ。
それよりも、あの手紙の主を探すほうを優先したい。
先日、海岸で拾った小瓶のなかの手紙の。
エレノアから少し離れた位置、御剣刀も腕組みして坂元の言葉を聞いていた。
唾棄すべき輩(やから)だ。
そう結論している。
刀はひとつひとつ、坂元の主張にひそむ決めつけやすり替えを特定しているわけではない。
ただ、この男は信用できないと思った。
引きこもりは国をむしばむ存在などと、そう簡単に主張できるのか。福祉施設の所長たるものが、施設入居者に言っていい言葉か。
しかし、尻尾をつかむのは難しいかもしれない――。
刀も一般枠のボランティアとして施設に来ていた。
船窓から見た施設はけっしていいイメージではなかったが、中に入ってみればさらにひどい。ほとんど刑務所だ。監視塔はあるし、ほうぼうにカメラが設置されている。窓という窓には鉄格子がはめられているように見えた。
事前情報を集めそこなったことが悔やまれる。
刀は、ドクトル香川こと
香川 王堂
から情報を得るつもりだった。色々と暗躍していた人物だ。ひょっとしたら木天蓼市とEABのつながりについて、なにか知っているかもと思ったのだ。
その香川が、すでに故人だったとは。
王堂の弟という、自称芸術家アルチュール・ダンボーに話を聞くことはできた。
王堂は少し前に癌で世を去っていた。故人の遺志で葬儀は行わず、遺灰は海に流したという。
紅美という少女の救出は難しくなりそうだ。
刀は当初、施設に潜入しここを非難できる情報を集めるだけ集めて、香川の政治力を使って公表することを考えていた。
団体自体がヤバいという形にならない限り、入居者を連れ出すことは難しい。契約を盾にされれば、いくら正論で訴えても無駄だろう、そう考えたからだ。
しかし香川がすでにいないのであれば、その策は取れそうもない。
まあ、いい。
それなら正攻法を捨てるだけだ。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
推理・サスペンス
冒険
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2020年05月03日
参加申し込みの期限
2020年05月10日 11時00分
アクション投稿の期限
2020年05月10日 11時00分
参加キャラクター一覧
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