抜き打ち！　持ち物検査｜リアクション

抜き打ち！　持ち物検査

「やっぱり……」

　手早く回収品を半透明袋に梱包しつつ、稀跡は眉をひそめた。

　冤罪で捕まる人間が多すぎる。

　検査でひっかかる人間も、異常な数だ。

　手早く回収した物品を仕分けするかたわら、デバイスを操作してねこったーで情報を収集する。

（これは、先生にも報告しなくては……）

　あきらかに異様なムードが生まれつつある。

　裁くものと、裁かれるものの二項対立があまりにも際立つと、そこには憎悪しか生まれない。

「先輩、こっちに女の子が逃げていきませんでしたか？」

「あっち」

　稀石はあらぬ方向を示して、こっそり時間稼ぎをする。

　追いかけっこまで始まっている様子だ。

（逃げている生徒なら、単独で接触して、事情を聴ければいいのだけれど……）

「先輩、犬見ませんでしたか」

「あっち」

　とんでもない方向を指さす。

（抜き打ちが基本だとは思うけれど……お互いの信頼を損ねては、元も子もないわ）

　稀跡は、地道に情報を収集しつつ、反撃の様子をうかがう。

「先輩、こっちにとんでもない不良女が」

「あっち」