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- 00月00日生 00歳
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抜き打ち！ 持ち物検査
「……持ち物検査か、別に問題はないな」
つぶやいて、響 蒼留人は傍らを見る。
「わざわざ変なものを学校に持ち込むやつの気が知れない」
ええ、そうですね、と笑顔を作りながら、マーガレット・ライカーは心中穏やかではない。
校門前でたまたま出くわした二人。
前方が詰まっているので、様子を確認したところ――。
（持ち物検査？）
ライカーは心中が波立つ。
（聞いてませんわよ……）
その手をそっと、鞣し皮の光沢を放つ鞄に這わせる。
そのなかには、彼女の愛好する日本文化の精髄、ＢＬ本が潜まされている。
ふつうに結構鞄にヤバイ本とか入れたりしているライカー。それが女子の嗜み、と心のどこかで思ってしまうあたり、彼女はもう立派な腐女子。
（とりあえず、この状況で慌てて方向転換したり、動揺を表に出すのは危険）
油断なくあたりをうかがう。
（とりあえず、響くんが検査を受けている間に何とか打開策を……）
――道に落ちていましたとかどうかしら。女子の欲望がハードコアの、もう表紙からして正気の沙汰とは思えないＢＬ本が、ええ、路上に。
（いけるかしら）
二人の順番が近づく。
心臓がバクバクのライカーをよそに、蒼留人はけだるけに検査を待つ。
そのけだるげな様子が、ふいに切れた。
何か、気づくものがあった。
鞄を開けてみる。
（な、なんだこりゃ？！）
蒼留人の目に飛び込んできた、二つのふくらみ。
いわゆる『おっぱいパッド』である。
むろん彼の私物ではない。
不意に一人の女性の姿が浮かぶ。
あいつなら、こういうものを持ってそうだ。
（姉の仕業か？）
慌てて蒼留人は、バリバリ腐女子でオタクの姉の姿をさがす。
（だが、今日も昨日も、あいつの姿を見ていないし……）
だが、蒼留人の内心の動揺をよそに、順番が迫ってくる。
捨てるか？
いや――捨てたら目立ちすぎる。
奥にしまうか？
いや――風紀委員と目があった。もうごまかし切れぬ。
（南無三）
古風な蒼留人、心中で観念の意を示す。
その時、彼の視界に一人の男が。
――桐島先生だ。
彼についての噂を聞いた。なんでもおっぱいマウスパッドを持っているとか。
彼なら、このブツに興味を示すかもしれない。
女子の風紀委員に見られるよりましだ。
ライカーは、なんだかあせって、心ここにあらずといった様子。
今なら――。
「桐島先生！ これ落ちてました！」
マウスパッドを差し出す。
「俺のじゃないから、返却とかいいです！」
「って響くん！」
おっぱいマウスパッドに反応したライカー、瞬時に我に返る。
「貴方、なんていうものを……あれこそゲーマー御用達、マウスを長時間使ってても腕が疲れない便利グッズ、ただし腕の乗る部分が女性の胸になっている奴……通称おっぱいマウスパッドでは……」
やたら該博な知識を疲労するライカー。
「いや、あの」蒼留人は取り繕う。「落ちてた」
「落ちてた」ライカーがジト目で見つめる。「いや、それ、無理がありすぎますよ、響君」
「ぐっ」
「道に落ちているようなものじゃないですよ」
「ぐぐぐ」
「というか、仮に落ちていたも拾わないですよ、それ……」
「むむむ」
見ると、周囲の風紀委員達が此方をじっと見ている。
目立たないつもりが、思い切り目立ってしまった。
「見なさい、風紀委員の、哀れみすら籠もった、疑いに満ちたまなざしを……」
「ち、違うんだ」慌てて取り繕う。「本当に俺じゃないんだ！」
「み――見損ないましたよ！」
もはや蒼留人の言葉もかけられることなく、口元に手を遣って、顔を青ざめさせるライカー。
「響君！ ふ、不潔ですっ！」
「待ってくれ！」
声も届くことなく、夢破れた少女の哀しみを胸に、ライカーは傷心を癒やすべく校内に向け疾走するが、これは彼女の作戦。
（悪く思わないでください、響君……）
ショックを受けた少女の振りをして、検査の脇を素早くくぐり抜け――。
（やはり道に落ちていた作戦は採らなくて正解……却下で良かったですわ）
自分のものでないと主張するのは正しかったが、ブツがブツだけに唐突さを免れない。タイミングが大事。
むず。
ライカーの腕が掴まれた。
「持ち物検査が」
「いえ、私の鞄の中とか何も入ってません入っていませんから！」
そう言いつつ開かれた鞄には、謎の紙袋。
必死にすがり付くライカー。
「ちがうんです、これはちがうのです！」
「抵抗するのか、仕方ないな……」
桐島先生が近寄ってくる。
「あ、先生……ズボンの後ろが」
「お？」
さりげなく桐島の注意をそらす稀跡。
そのまま逃げようとする蒼留人とライカーだが、依然風紀委員の壁は厚い……。
その時、一人の男が現れた。
つぶやいて、響 蒼留人は傍らを見る。
「わざわざ変なものを学校に持ち込むやつの気が知れない」
ええ、そうですね、と笑顔を作りながら、マーガレット・ライカーは心中穏やかではない。
校門前でたまたま出くわした二人。
前方が詰まっているので、様子を確認したところ――。
（持ち物検査？）
ライカーは心中が波立つ。
（聞いてませんわよ……）
その手をそっと、鞣し皮の光沢を放つ鞄に這わせる。
そのなかには、彼女の愛好する日本文化の精髄、ＢＬ本が潜まされている。
ふつうに結構鞄にヤバイ本とか入れたりしているライカー。それが女子の嗜み、と心のどこかで思ってしまうあたり、彼女はもう立派な腐女子。
（とりあえず、この状況で慌てて方向転換したり、動揺を表に出すのは危険）
油断なくあたりをうかがう。
（とりあえず、響くんが検査を受けている間に何とか打開策を……）
――道に落ちていましたとかどうかしら。女子の欲望がハードコアの、もう表紙からして正気の沙汰とは思えないＢＬ本が、ええ、路上に。
（いけるかしら）
二人の順番が近づく。
心臓がバクバクのライカーをよそに、蒼留人はけだるけに検査を待つ。
そのけだるげな様子が、ふいに切れた。
何か、気づくものがあった。
鞄を開けてみる。
（な、なんだこりゃ？！）
蒼留人の目に飛び込んできた、二つのふくらみ。
いわゆる『おっぱいパッド』である。
むろん彼の私物ではない。
不意に一人の女性の姿が浮かぶ。
あいつなら、こういうものを持ってそうだ。
（姉の仕業か？）
慌てて蒼留人は、バリバリ腐女子でオタクの姉の姿をさがす。
（だが、今日も昨日も、あいつの姿を見ていないし……）
だが、蒼留人の内心の動揺をよそに、順番が迫ってくる。
捨てるか？
いや――捨てたら目立ちすぎる。
奥にしまうか？
いや――風紀委員と目があった。もうごまかし切れぬ。
（南無三）
古風な蒼留人、心中で観念の意を示す。
その時、彼の視界に一人の男が。
――桐島先生だ。
彼についての噂を聞いた。なんでもおっぱいマウスパッドを持っているとか。
彼なら、このブツに興味を示すかもしれない。
女子の風紀委員に見られるよりましだ。
ライカーは、なんだかあせって、心ここにあらずといった様子。
今なら――。
「桐島先生！ これ落ちてました！」
マウスパッドを差し出す。
「俺のじゃないから、返却とかいいです！」
「って響くん！」
おっぱいマウスパッドに反応したライカー、瞬時に我に返る。
「貴方、なんていうものを……あれこそゲーマー御用達、マウスを長時間使ってても腕が疲れない便利グッズ、ただし腕の乗る部分が女性の胸になっている奴……通称おっぱいマウスパッドでは……」
やたら該博な知識を疲労するライカー。
「いや、あの」蒼留人は取り繕う。「落ちてた」
「落ちてた」ライカーがジト目で見つめる。「いや、それ、無理がありすぎますよ、響君」
「ぐっ」
「道に落ちているようなものじゃないですよ」
「ぐぐぐ」
「というか、仮に落ちていたも拾わないですよ、それ……」
「むむむ」
見ると、周囲の風紀委員達が此方をじっと見ている。
目立たないつもりが、思い切り目立ってしまった。
「見なさい、風紀委員の、哀れみすら籠もった、疑いに満ちたまなざしを……」
「ち、違うんだ」慌てて取り繕う。「本当に俺じゃないんだ！」
「み――見損ないましたよ！」
もはや蒼留人の言葉もかけられることなく、口元に手を遣って、顔を青ざめさせるライカー。
「響君！ ふ、不潔ですっ！」
「待ってくれ！」
声も届くことなく、夢破れた少女の哀しみを胸に、ライカーは傷心を癒やすべく校内に向け疾走するが、これは彼女の作戦。
（悪く思わないでください、響君……）
ショックを受けた少女の振りをして、検査の脇を素早くくぐり抜け――。
（やはり道に落ちていた作戦は採らなくて正解……却下で良かったですわ）
自分のものでないと主張するのは正しかったが、ブツがブツだけに唐突さを免れない。タイミングが大事。
むず。
ライカーの腕が掴まれた。
「持ち物検査が」
「いえ、私の鞄の中とか何も入ってません入っていませんから！」
そう言いつつ開かれた鞄には、謎の紙袋。
必死にすがり付くライカー。
「ちがうんです、これはちがうのです！」
「抵抗するのか、仕方ないな……」
桐島先生が近寄ってくる。
「あ、先生……ズボンの後ろが」
「お？」
さりげなく桐島の注意をそらす稀跡。
そのまま逃げようとする蒼留人とライカーだが、依然風紀委員の壁は厚い……。
その時、一人の男が現れた。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
-
- 2020年04月10日
- 参加申し込みの期限
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- 2020年04月17日 11時00分
- アクション投稿の期限
-
- 2020年04月17日 11時00分
