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誰かの呻き声が聞こえる。
誰かの悲鳴が聞こえる。
暗闇のそこここから響く苦悶の声に耳を塞ごうとして、
「……っ、」
稲積 柚春
は藍色の瞳を瞬かせた。ひどく重く冷たい指先で、指先よりも冷たい床を掻く。軋む身体を起こせば、それだけで苦しいほどに心臓が轟いた。
周囲に満ちるいくつもの声の中、聞いたことのある声が混ざっている。親しく言葉を交わしたことのあるひとの声が聞こえる。
幾度となく繰り返した引っ越しと転校ばかりの歳月の何か月かを一緒に過ごした友達の声。
暗闇に眼を凝らす。
(……今はどのルートだろう)
ここがゲームの中であることは、VR世界であることは、理解している。そうして、気づけば己が失踪者として囚われていることも。
(地下牢、……学校の地下、かな……?)
何故だかふわふわとする身体を、朦朧とする意識を必死に繋ぎとめる。暗闇に眼を凝らす。ゲームに手を出すよりも先に熟読していたゲームの設定と体験版に散りばめられていた情報を頭になぞる。
(確か、蜂谷君のお姉さんは最初から失踪してて、)
ルートによってはメインの三人も囚われる。
(七原君だけは失踪しないんだよね)
凝ってさえ見える闇に視線を彷徨わせる。見たところ、牢内にはゲームの小冊子で見かけた登場人物の姿は確かめられない。
喉がひどく乾いている。
暗闇に聞こえた聞き覚えのある声の主を、ともかくも探す。
(……でも)
彼女がいるところと寝子島とはひどく離れている。こんなところに、本当に、
「……っ……」
浮かびかけた疑念は、不意に目前に現れた女子の姿に吹き飛んだ。思わず名前を呼ぶ。引っ越しを繰り返すうちに連絡も取れなくなっていたけれど、一時とは言え一緒の学校に通った。休日には一緒に遊んだ。転校するときにはずっと仲良しでいようねと約束を交わした。
「久しぶり、」
あなたもこのゲームに?、と続けようとした声は、
「誰?」
間を置かず返ってきた怪訝な声に萎んで消えた。
「え、誰だっけ?」
「……さあ?」
目の前に次々と現れた何人もの子たちが不思議そうに首をひねる。こちらの顔を見つめては眉を顰める。素知らぬ顔で別の子たちと親し気に話を始める。
身が竦んだ。
(……だって、)
あんなに仲良しだったのに。ずっと友達だよって約束したのに。
胸に滲む言葉はけれど、声にもならない。
心が沈む。
(どうせ)
どれだけ仲良くなっても忘れられる。
いつだって自分はいなくなる。
胸に溢れた言葉はどれも絶望の香りを纏っていて、だから柚春は瞳を伏せる。
(だったら、もう友達なんて……)
(……ここは、どこだ?)
霞む目を繰り返し瞬かせても、瞬けば瞬くほどに頭がふわふわとした酩酊感に包まれてゆく。
(なんで、俺はここに?)
鼻をつく黴臭さも身体に圧し掛かるように深い暗闇も、ふわふわと、くらくらとした気持ち悪さと心地よさにかたちを歪ませてゆく。頭の端に警鐘じみて鳴り響くどんな疑念も思考も、きちんとしたかたちにならずに解けて溶けて消えてゆく。残るのは、
(ああ、)
奇妙な喉の渇き。
身を包む闇の深さに潰され膝を折る。乾いた息を吐きだして、足元に転がる瓶に気が付いた。
暗闇の中にあってぼんやりと燐光を放ってさえ見えるそれを思わず手に取る。瓶の空洞を満たす白い錠剤を目にした途端、悟った。これを含めば、このどうしようもない喉の渇きが癒される。
瓶の蓋を開けようとして、
(ダメだ)
志波 武道
は眼鏡の奥の栗色の瞳を固く閉ざした。
(ダメだ)
そう思うのに、思っているのは確かなのに、手が勝手に動く。誘われるように、周囲の負の気配から逃れるように、瓶の中の錠剤を掌にザラリと載せる。
だってこの闇の中にはきっと自分以外の誰もいない。
冷え切った掌に触れる錠剤の感覚に胸が躍った。助けを求めるように一粒、二粒、口に含む。ダメだ、と思う頭とは裏腹、舌が動く。喉の奥に、体内に薬を取り込む。
瞬間、激しく後悔した。
それと同時、妙な高揚感が身体を包み込む。
(これから、どうなる?)
瞬く。
息をする。
幾度目かの呼吸のあと、
「──ッ……?!」
視界が青く染まった。
口の中に鼻の中に、大量の水が雪崩れ込んだ。顎を上に向ける。雲間に漏れる光のかたちして、輝く水面が見えた。そうする間にも喉に水が流れこむ。肺に水が満ちてゆく。
水の中、自在に動けるはずの身体が、けれど動かなかった。
手は動く。足も動く。それなのに、どれだけ掻いても掌に水が掴めない。どれだけ足を動かしても水を蹴ることができない。
潰れた肺から吹き上がった空気がきらきらと輝きながら遠い水面へ昇る。
伸ばした指先が柔らかな空気に触れるも、身体は暗く蒼い水の底へと引きずり込まれてゆく。胸が痛い。頭が、指先が、引き裂かれるように痛い。
「ぐ……ッ、あ、……」
水の代わりに息を吐きだす。うずくまっているのが水底ではなくコンクリートの床の上であることに気づく。
乱れた息を繰り返す。息ができることを確かめる。瞠った瞳に闇を捉える。
闇の中、誰かの姿を見た。己と同じようにうずくまったり、倒れ伏したりしている、誰か。
(……俺以外にも、生きてる奴がいたのか?)
助けなくては。
そう思った途端、
(……俺はいったい何をしていたんだ!?)
武道は命綱の如く握り締めていた錠剤入りの瓶を躊躇いなく投げ捨てた。壁に当たって砕ける瓶には見向きもせず、
(いま薬何粒飲んだ!?)
喉に指を突っ込む。飲んだ薬を吐き出そうと試みる。
瞼をもたげた。
そのはずなのに、瞼の裏の闇よりも濃い闇が広がっていた。
(え?)
仙藤 蒼
は瞬く。何度も何度も瞬きを繰り返して、己を包むものが見知らぬ真っ暗闇であることに思い至る。
(……ここはうちじゃないの?)
自分の部屋のベッドでは決してない、冷たい石の床から身を起こそうとして、ふわり、眩暈にも似た身体の軽さを覚えた。ふわふわふわり、ぐらり、もう一度床に倒れこんでしまいそうな身体を、両手を突いてどうにか支える。
(酔っぱらう、ってこんな感じ?)
十五の蒼は、酒を口にした覚えなどない。
カラカラに乾いた喉からそっと息を吐き出す。
ここはどこだ。
どうしてこんなところにいる。
疑問符ばかりが浮かぶ頭を軽く振る。少しばかり闇に慣れた目を周囲に巡らせる。
耳鳴りが酷くて頭痛がする。そのくせ、胸のあたりが妙に浮ついている。
キィン、と甲高く響き続ける音のせいで、闇の中に音を拾うことができない。
何か触れるものがありはしまいか、闇雲に床に指先を這わせてみる。冷たい床の上に探り当てたのは、床よりも余程ぬくもりを感じる小さな錠剤。伸ばした指先にいくつも触れた錠剤を掌に掴む。
(もしかしたら)
この妙な感覚はこれのせいなのかもしれない。
そう思うのに、そう思っているはずなのに、錠剤を掴んだ自分の手が自分の口元に近づいてくる。ごくり、乾いた喉が上下する。
(……もっと……)
もっと飲みたい。
激しい衝動に駆られた瞬間、
(これは絶対にヤバいやつだ!)
火を押し当てられたように、蒼は薬の乗った手を振り回した。バラバラと散らばる音に重なって、ガシャン、と硝子瓶がナニカに叩きつけられて砕けて割れる音がした。耳鳴りを圧して聞こえたその音に、蒼は目を瞠る。
「誰か、」
掠れた声が漏れた。
「そこに誰かいるの?」
自分の声のあまりの小ささに戸惑いながらも闇に視線を巡らせる。
(とにかくここから出なきゃ……)
立ち上がる。ふらつく足元をどうにか堪え、音のした方へと向かう。いるかもしれない誰かを探す。
(とにかく、)
そうしながら、不安に轟く胸を落ち着かせようと震える呼吸を繰り返す。
(とにかく、冷静にならなきゃ)
パニックになってしまえば、逃げるに逃げられない。今までクリアしてきたどんなゲームだってそうだった。
普段からジャンルを問わずいくつもプレイしているゲームを頭になぞって、
(……そういえば)
気が付いた。闇が澱み空気が歪むようなこの雰囲気は、以前寝子祭でプレイしたゲームに似ている気がする。パソコン部のひとたちが自主制作したサスペンスホラーで、確か、
「──『BAROQUE:CODE』」
「ソレダ」
思いがけず近く聞こえた声に思わずぎくりと身を強張らせる蒼の前、闇を振り払うように長身の男子が立った。
「そういやクラスの誰かがこんなシチュの話してたと思って、……ゲーム、だっけ?」
蒼褪めた頬で、それでも武道は明るく笑って見せる。
(動かないと)
同じ怪異に巻き込まれたらしい年下の女子にひらひらと軽く手を振りつつ、武道は薬の残る身体にせめて空気を送り込む。深呼吸を繰り返す。
(だめだな、どーも俺は雰囲気に飲まれやすい)
このまま動かずにいれば、下手をすればまた同じことを繰り返してしまいかねない。助けるべきひとがいるのに、
(それは絶対にダメだ)
だからこそ、武道は殊更に明るく軽く笑う。
「ゲーム、だよね……?」
ふたりの話し声を聞きつけ、柚春がそっと声をあげる。ただのゲームだと思っていた。何かしら最新のVR技術であたかも現実のような映像体験をしているだけなのだと。
(……でも)
それならば、どうしてあんな、心を抉ってくる幻を見た?
暗闇の牢の中で出会ったこのひとたちは、どうしてこんな切羽詰まった雰囲気をしている?
(まさか、……)
ゲームの中に囚われることが現実にあるわけがないと思いはすれど、それでも、今己は、画面越しに見た景色を目前にしている。言葉を交わしたふたりも、これが現実であるような対処を見せている。
「助けに来る子がいるはずだ」
「体験版の初期プレイだと全滅ルート一択だったけど……」
意見を求められ、柚春はもう一度周囲に視線を巡らせる。壁際にふたり、少し離れたところに数人。
「薬さえ抜ければ一緒に脱出できる筈」
小冊子に見た蜂谷優と面差しの似た女性を見つけ、柚春は唇を噛む。知っている失踪者を助ければ最悪のルートから逃れられかもしれないと踏んだものの、目にした彼女は幽鬼の如く痩せ細り、自分の足元に転がる薬を今も黙々と口に運んでいる。
「脱出には大賛成だよー」
壁際に座り込んでもう一人を抱きかかえていた少年、オルカが潜めた声で笑った。ひらり、軽やかな仕草で手を振る。
「助けを呼んでくれたらとっても助かる」
腕の中で身じろぎもしない悠月をちらりと見、オルカはもう一度笑った。
「気を引き付けるくらいは、……できる」
息を吐くより微かな声で悠月が示すのは、鉄格子の向こうでノートパソコンを凝視したまま動かぬ人影。ナニカの時機を図るかのように、彼はキーボードを操作している。
自分たちを捕らえた『犯人』の目がこちらを向いていないことを確かめ、柚春は自分の知る登場人物のもとへと向かう。
「駄目、……それはもう摂取しちゃ駄目です」
蜂谷の姉らしい女性の、骨と皮しかなくなった手を掴むも、恐ろしいほどの力で振りほどかれた。哀しい瞳を伏せたのは一瞬、柚春は女性の傍に転がる錠剤を踏み潰す。
「一緒に、……」
逃げましょう、の言葉に彼女は緩く、けれど断固とした表情で首を横に振った。
肩を落とす柚春の隣に蒼が並ぶ。ぎゅっと手を握る。
「ウン、じゃ、やってみよっか」
瞳に尋常ならざる光を宿し、そのくせひどく明るい声で武道が言い放った。オルカと並び、鉄格子の際まで進む。
「どーも、犯人サン!」
どこまでも明るく、地下牢いっぱいに響き渡る声をあげる。
「俺たち捕まえていったい何が目的なの?」
「ねえ、何してるのかなー?」
恐れげもなく無遠慮に掛けられる武道とオルカの声に、こちらに背を向けていた男が振り返った。
あなたは、と声をあげたのは、ゲームを遊んだことのある蒼か柚春か。
実験動物を観察するが如き体温のないまなざしを全身に受けて、武道は殊更に快活に笑って見せる。ひらひらと軽い調子で手招きする。
「こっち来てナニカお話しようZE☆」
(あと一歩、ってところか)
内心を悟られぬように歯を見せて笑った、そのとき。
背後にとんでもない音量の声が響いた。空気を、コンクリートの壁も鉄格子も、何もかもをビリビリと震わせる、それは衰弱しきって身じろぎも出来なかったはずの悠月の声。
思いがけぬ攻撃を受け、男の身体が驚いたように揺らぐ。そこを狙い、オルカが腕を伸ばす。男が纏う白衣の裾を掴む。力任せに引き寄せられ、男の身体が更に傾ぐ。
「ここから出せ!」
男の襟首を武道は掴む。鉄格子が身体に食い込むのも構わず、オルカの動きを悟られぬよう、両手を伸ばす。男の身体を引きずり寄せる。
間近に見た端正な顔が僅かに歪む。
仕方ないな、と男は小さな息を吐いた。
「廃棄しよう」
白衣のポケットから小さな注射器が取り出されるのを視界の端に見た。慣れた手つきで己の手首に刺されようとする針を見た。それでも、武道は男を掴んだ手を離さない。
「っ、……!」
蒼の手が伸びるのと、男がもうひとつ息を吐くのは同時。
──やめろ!
叫んだはずの声が声にならず、武道はその場に膝から崩れる。力の入らぬ身体を、蒼が抱える。華奢な身に懸命に力を籠め、鉄格子から、男の前から離そうとする。
抵抗を見せる蒼にも何かしらの薬剤を投与すべきか男が思案したのか、男が白衣のポケットに手を入れたその直後。
「っ、あぁ、」
端正な顔が急に歪んだ。見えないナニカを振り払おうとするかのように両手を振り回したかと思えば、ナニカの声から逃れるように耳を塞いでうずくまる。
「っあぁああああぁぁア!?」
突如として獣の如き咆哮を始める男を一瞥し、オルカは手にした鍵を握り締める。
「さぁ、行って!」
武道が男を引きずり寄せた隙に奪った牢の鍵を使う。柚春と蒼を外に出す。
「あなたは」
「相棒と待ってる」
力を使い果たして動けぬ悠月を気遣うオルカに、柚春は僅かに逡巡する。置いてゆけば、今は混乱している男が回復した際に何をされるか──
(でも)
立ち止まっていては、誰も救えない。
アロマアクセサリーをつけた手首を反対側の手でぐっと握る。体温に温められたアロマオイルの香りに勇気を奮い立たせる。
「……すぐに戻るよ」
抱いた恐れを身の内に押し込め、小さく頷いて応じる。
「きっと助けを呼んでくるから」
だから生きて待っていて、と掛けられる蒼の声を耳にしながら、けれど武道に応じる力はもうない。
血流に合わせて全身を冒してゆく毒が、胃をひどく締め付ける。喉が焼けただれたように熱を帯びる。
ぼんやりと、思う。
(……水が、のみたい……)
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2020年04月04日
参加申し込みの期限
2020年04月11日 11時00分
アクション投稿の期限
2020年04月11日 11時00分
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