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頭が重かった。
まるで何者かの巨大な掌に押し包まれているかのよう。少しでも身じろぎすれば、首をねじ切られてしまうかのよう。
いつもは自分のどんな動きにも応える手足さえ、別の掌に圧されているかの如く自由に動かない。ゆらゆらと、ふらふらと、光も差さず底知れぬ水底へ、揺蕩うままに引きずり込まれて行くかのよう──
瞼をもたげる。開いても、開いたと分からぬ闇が視界を占めている。泥濘に手足を取られたように体が動かない。
(もう少し)
体と心の重たさに、もうしばらく瞼を閉じて微睡んでいようかと思う。
体にまとわりつく不快な重さは気に食わないけれど、動かずにいればいるだけ、重い身体に身体が慣れる。沈んで潰れて眠り続けてしまうのも、それはそれで、
「いやだ……ッ」
怠惰に圧され鈍る思考を裂いて、声が聞こえた。
(あの声)
沈みかかっていた心を一瞬のうちに引きずり上げる。
聞き間違えるわけもない、あの声。誰よりも何よりも麗しい、愛しい声。それなのに。
(あんな声)
聞こえた声は、闇に絡め捕られたかの如く苦悶に満ちていた。
(Mio Destino)
己の運命であると定めたひとの名を、最強の呪文に似て胸に呟く。
──悠月。
獅子目 悠月
。
(俺の大切な、愛しい相棒)
彼の存在を己の内に認識した途端、思考を覆いつくしていた靄が吹き飛んだ。
そうして、
オルカ・ヴィヴァルディ
は気づく。
己の身が冷たいコンクリートの上に無様に転がっていることに。
眩暈に似てふわふわと歪む瞳に力を籠める。周囲を包み込む闇に眼を凝らして、──暗く冷たい床に広がる赤銅色の髪を見た。
(悠月)
名を口にするよりも先、夕陽の色より美しいはずの赤銅の髪が小さく震える。泥に汚れて乱れ、煌めきを失ったその髪の間に見えたのは、昏く澱んだ榛の瞳。
「やめろ……!」
こちらを見ているようで何も映していないその瞳に、オルカは奥歯を噛みしめる。
(こんな場所もあんな声も、……あんな瞳も)
鋼の鎖に戒められたように重い腕を動かす。皮膚が裂けるのも構わず全身の力を指先に込めて床を掻く。一ミリでも近づこうとする。
(悠月には似合わないでしょ)
周囲を満たす闇に紛れるように何者かの視線を感じるも、今はそれに構っている暇はない。
(Alzati!)
視線には微塵も応じないまま、ただ自分自身に気合を入れる。石像になってしまったかのような体を、砕けても構わぬと強引に動かす。
(……オーディエンスにしては、ねえ)
己に注がれる視線はどこまでも冷たい。まるで実験動物を観察しているかの如き低体温なまなざしに辟易しつつ、冷たい床を這いずる。倒れ伏した悠月の元へじりじりと近づく。
(ここで抱きしめられないなんてさぁ~)
血の滲む指先も、汚れる体もどうでも良かった。そんなことよりも、苦し気な相棒の手を掴んでやりたかった。大丈夫だと耳元で言い聞かせてやりたかった。何度でも何度でも。そうでなければ、
(男としてダメでしょ)
頭が、重かった。
喉がひどく乾いてひりついて、息が詰まった。
どうしようもなく、飢えていた。
(アレが欲しい)
ぼんやりと思って、
(ああ、でも)
ぼんやりと不思議に思う。アレとは何だろう。
伸ばした指先が空を掴む。何も掴めない指先に途方に暮れる。
虚空を掴んだ指の先に、ぼんやりとナニカが見えた。ゆらゆらと蜃気楼じみて近づいてくるそれは、
(……ああ)
──夢だ、と咄嗟に思う。
だっていつの間にか、視界を埋めるほどの観客の姿が見える。
拍手が聞こえる。
歓声が聞こえる。
己と、己の相棒の名を呼んでくれる人々の声が、歌唱ユニット『Re:』の応援をしてくれる人々の声が、重たい頭の中に響いている。
(歌、を)
歌わなくては。
だって待ってくれているひとがいる。耳を傾けてくれるひとがいる。自分のこの声を、パフォーマンスを、好きだと言ってくれるひとがいる。
何百回何千回と練習を繰り返してきた。今も隣に立っているはずの相棒と共に、声を重ねた。動きを重ねた。そうしていくつもの舞台に立った。その度に、きっと誰かの心を捕らえてきた。そのはずだ。だから、
(歌を)
歌いたい。聞いてもらいたい。心を掴みたい。
それなのに、
(歌を……!)
乾いた唇からはどんな声も紡げなかった。乾いた喉から零れたのは、どうしようもなく涸れ果てた、耳障りな声。音楽とは決して言えない悲鳴。どうして、なんで、と喚く、己とも思えぬほどに狼狽しきった呟き。
拍手が途絶える。歓声がどよめきになって、やがては消える。落胆も露わに、人々が背を向ける。誰一人として己を見ようとしなくなる。
唇から掠れた喘ぎが溢れる。
隣を見る。いつだって手を差し伸べてくれたひとを。抱きしめて笑いかけてくれたひとを。声を重ねて歌ってくれたひとを。
そのひとは、──そのひとさえも、己を見てはいなかった。顔を背け、己の傍らから離れようとしていた。
「いやだ……ッ、」
自分のものとも思えぬ哀しい声が乾いた喉から溢れた。血を吐くように叫んで追い縋ろうとして、気が付いた。
肩を誰かに掴まれる。大きな掌。歌をうたって生きてゆきたいと願った己を、気絶するまで激しく打擲した掌。そんなくだらない夢など抱かず堅実に生きろと、お前はこの家を継ぐために生まれてきたのだと罵倒し頬を打ってきた、父の掌。
「やめろ……!」
背に冷たく感じる恐ろしい掌の感覚に、その掌に引きずられて閉じ込められた実家の蔵の暗闇を思い出す。息の詰まる閉塞感に身じろぎもできなくなる。振り払ってしまいたいのに、消し去ってしまいたいのに、心身のすべてを不安が満たしてゆく。どうしようもない渇きが己の身を凍えさせてゆく。
手を、伸ばす。
「……助けて!」
「うん」
悲鳴を上げた唇に、自分の軋んだ声しか聞こえていなかった耳に、あたたかな何かが触れた。冷え切った指先を、あたたかな掌が強く握った。強張った身体をあたたかな身体が抱え込んだ。
倒れ伏して動けなくなった身体を優しく包み込む体温に、覚えがあった。
「……オル、カ?」
「Buongiorno.」
微笑みさえ含んで甘く耳元に囁きかけてくる声を、よく知っていた。
「悠月、目が覚めた?」
「オルカ」
「Si, Mio Destino」
手を握り締める力の強さが、肩を抱きしめる腕のあたたかさが、耳朶に触れる声が、心身を占めていた混乱と緊張を解いてゆく。それと同時、一つの疑問が胸に湧いた。
「……ここは、どこだ?」
「ん~」
身体を満たす不快な倦怠感と夢の残滓がひどく視界をぼやけさせる。思うように動かぬ身体がもどかしくて、オルカの腕の中でもがく。
「わかんないんだよねぇ、それが」
へらっとした調子で首を傾げるオルカの手がひどく優しく背中を撫でて、悠月は気づいた。落ち着いて、と言外に告げられ、自分たち以外の何者かが居ることに思い至る。オルカは、その何者かに聴かれないような声量で話している。
(……確か、)
『Re:』に音楽提供をしてくれてもいる『イナリ』──
伏見 真
が、パソコン部のみんなとゲームを出したから購入してみようと、パソコン部を訪ねたところで記憶が途切れている。
周囲を埋める闇に、闇の中に倒れ伏した数名の人々の姿に、そうしてその闇の向こう、鉄格子の向こう側からこちらを観察している何者かの視線に、
(ああ)
思い至る。
(何時もの)
これが、この島で幾度となく巻き込まれてきた神魂の影響であることに。
「コレは……」
注がれる視線の不快さに、悠月はオルカの腕を掴む。オルカに倣うように、唇の端を持ち上げる。
「見られるのは仕事のうちといっても、愉快じゃないな」
「だよねぇ」
くすり、オルカは笑う。濁ることを知らない海の色した瞳を注意深く周囲に巡らせながら、未だ力を取り戻せていない悠月の身体をきつく抱く。落ち着きはしたものの、先程までの取り乱しようは酷かった。指先にも頬にも体温は戻っておらず、まだ本調子でないことは容易に想像がつく。
(一緒に逃げるのは簡単じゃなさそうだけど)
諦めるなどという選択肢は、
(……ないよねぇ)
こんなくだらない場所に悠月をひとり放っていくつもりは毛頭ない。だからと言って諦める気もそれ以上にない。
逸る心を悠月の体温に落ち着かせつつ、オルカは暗闇に瞳を凝らす。
無粋な鉄格子の向こうに居るのはおそらくは一人。眩しいほどに光を放つノートパソコンが置かれたテーブルの前に泰然と座している。薄く照らし出された白衣の背格好から見て、どうやら男であるらしい。ズボンの腰に下げている鍵が牢の鍵であるらしいが、この状況で奪うは難い。
教室の大きさほどの牢の中には、見える限りでは自分たち以外に数人。苦し気に呻いている者、身じろぎもしていない者、──中には、生きているのかそうでないのか分からない者もいる。異臭を放つその人の傍にも、壁にもたれて俯いた誰かの傍にも、散乱するナニカ。自分たちの周りにも散らばるそれは、白い錠剤に薄汚れた注射器、得体の知れない液体に満たされた瓶。
理由も分からぬままそれに手を伸ばしたくなって、異常なほどの渇きと飢えを覚えて、オルカは苦しい息を吐いた。己や悠月の身に異常を起こさせたそれを手にする代わり、悠月をきつくかき抱く。
(影を泳いで鍵を見つけるくらいできれば最高なんだどね~)
己の身に宿るろっこんが使えれば、おそらく脱出はそう難くないはず。だが、
(ん~)
目覚めてからこちら、ろっこんを発動出来る気がしない。
(まあ、せめて呑まれない様にしなくちゃね~)
鼻先に触れる悠月の赤銅の髪が小さく震えた。
「悠月」
「……大丈夫だ」
己と同じ衝動に駆られてか、地面に転がる錠剤に伸びかけていた悠月の指先が止まる。細かく震えるその手は、何の迷いもなく己の手をきつく掴んだ。
「悠月、苦しい?」
「……お前が満たしてくれるから」
腕の中で悠月が微笑む気配がして、だからオルカは、湧き上がったはずの飢えを、渇きを、完全に忘れた。
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シルバーシナリオ(150)
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3人まで
シナリオジャンル
学校生活
推理・サスペンス
ホラー
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2020年04月04日
参加申し込みの期限
2020年04月11日 11時00分
アクション投稿の期限
2020年04月11日 11時00分
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