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寝子島高校
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雪に落ちた血の色よりも紅い唇がうっそりと笑みのかたちとなる。
階段の半ばに立って眼下の踊り場を見据える琥珀の色した気高い瞳は、けれどほんの僅か、痛ましいような色をも帯びている。
(……本当は)
闇の底に沈んだものを操るかの如く宙に掲げていた繊手をそっと下ろす。制服のスカートにまとわりつく長い黒髪を整える風の動きを見せながら、彼女は賑やかな声が聞こえた階段の下へと視線を向けた。
(あの子達も巻き込みたくはないのだけれど……)
それでも、と今度は階段の踊り場にうずくまる闇を睥睨する。
この島を管理する『魔女』であるところの彼女の目に映るのは、静寂に揺蕩う闇ではなく、瘴気にも似た『澱み』。
死と恐怖の念が元であるそれは、フツウであれば時間と共に薄れ消え去るはずのもの。そうであるのに、三年ほど前から黒音高校周辺に集まり始めた闇は、薄まるどころか月日を追うごとに色濃く凝り始めた。このまま放置すれば、死と恐怖が元であったそれは、死と恐怖をもたらすナニカになり果てる。
島を管理する魔女である己にとって、ナニカの存在の発生を許すことは、『澱み』を作り出すほどに好き勝手な行為をする輩を許すことは、
(許せることではないわね)
まずは『澱み』の原因を探り出さねばならない。そのためには、
(使えるものは使わないと)
「真里亞さん、今の声! 蜜柑さんだよな?!」
階段の上から掛けられた声の主を、女子高生の姿をした『魔女』は肩越しに振り仰ぐ。返事の代わり、黒い睫毛を上下させる。
「……何かあったのでなければいいけれど」
「えっヤダ、怖いこと言わないでッ」
黄色のメッシュを入れた黒髪を震わせ茶目っ気のある仕草で首を振ってから、校則破りの常習犯たる少年はそのくせどこか真摯なまなざしを声の方へと向けた。闇を恐れぬ迷わぬ動作で階段を駆け下りる。
「行こ、真里亞さん!」
「──声が、聞こえるわ」
先に降りた階段の先、左右に伸びる廊下に首を巡らせ足を止める優の傍らを、黒髪をなびかせすり抜ける。闇の先を知っているかのような足取りで、凛と背を伸ばして歩む。
「声?」
「ええ、……ほら、耳を澄ませて」
ス、と廊下の端々、月影に怯えるが如くうずくまる暗闇を白い指で指し示せば、暴かれたことに気づいたかのように闇が身じろいだ。
ぎくりと眉を寄せる優の横顔をちらりと見やり、オカルト好き女子高生であるところの真里亞は紅い唇に淡い笑みをにじませる。
「蜜柑の怯えた顔も愛らしいけれど」
「うわお、ヤメテ真里亞さん」
蜜柑に怖い話をして怖がらせる趣味を持つクラスのマドンナに、優は殊更に怯えて怖がる振りをしてみせる。そうしながら、大股で先に進む。
「こっち?」
「……ええ」
『黒音高の怪人』の謎を解くことにいちばんやる気を見せる優の背中を静かに追いつつ、
(やる気、というよりも執心ね)
『魔女』は月の光を宿す黄金の瞳を細めた。
「あっ、居た! 蜜柑ちゃーん!」
数歩先を進んでいた優の声が弾んだ。
「なんだ、やっぱ七夏も一緒じゃん! お前ら、もう付き合っちゃえよー……って、ン? アレ?」
からかいの言葉をかけながら、廊下の先に立っていたふたりのもとに駆け寄って、優は眉を難し気に寄せる。
「七夏、……じゃナイ? なに君?」
遠目に見たときには間違いなく高校に入って出来た友人に見えたのに、近づいて顔を合わせてみればどこからどう見ても別人な少年は、片方の腕に怯えた様子の蜜柑をしがみつかせたまま、何故だか嬉しそうな笑顔を見せた。
「蜂谷優、宇上真里亞、……」
「エッ、なんでこっちの名前知ってんの?」
「えっ、えーと、……俺、同学年の子の名前、大体覚えてて、……」
蜂谷優の姿かたちそのものな少年からキョトンとした顔でのぞき込まれ、苦しい言い訳をしながら奈津樹は迷う。目の前の彼はPC部の仲間なのだろうか、それともゲーム内のキャラクターなのだろうか。
今の言動から鑑みれば、彼はおそらく『蜂谷優』なのだろうが、
(からかってるわけじゃない、……よね?)
いつもの
風見鶏 スグリ
ならば、この状況であってもこちらの緊張を緩めようとしてこういう冗談を口にするかもしれない。そうしてケロリとした明るい笑顔を見せてくれるのかもしれない。
目の前の彼が優であるのかスグリであるのか判別つけられずに困って、奈津樹は彼の背後にひっそりと美しい花の佇まいで立つ黒髪の美少女に視線を逃した。寝子祭で見せた完璧な『宇上真里亞』のコスプレ姿そのままの姿をした、
(イナリ、……なのかな)
パソコン部の仲間である
伏見 真
を見つめる。こちらの視線に微塵も動じず神秘的な微笑みでもって返すその行動に、
(どっちだ)
こちらはこちらで真里亞であるのか真であるのか、やっぱり迷う。
(いやでも、イナリだよな)
真里亞としての佇まいが完璧であるが故にそう信じて、奈津樹はそう信じることにした。相変わらず腕にくっついたままの蜜柑の中身はパソコン部の先輩ではなかったけれど、こっちはきっと自分に対するイタズラで真里亞のふりをした真だ。だって目があえば思わせぶりに神秘的な笑みを浮かべる。ナニカ企んでいるようなその笑みは、正に真里亞そのもの。
相変わらず完璧なコスプレ、完璧な女装。
「イナリ」
「?」
「その胸、本物みたい」
元が竹を割ったようなカラリとした男らしい性格であることをよく知っていて、ひょいと手を伸ばす。詰め物の感覚がすると信じ込んでいた指先に触れたのは、
「ッ! ……っっ?!」
「あら、ずいぶん大胆ね」
「うっおぉ、マジか!」
「なっ、……こらー!」
赤面して飛びのく奈津樹に微塵も動じぬ真里亞、大袈裟に驚いてみせる優に、奈津樹の頭も胸も構わずポカポカ叩く蜜柑に。
「流石、文武両道の才女! 反応パーフェクト!」
「うわ、うわわわ、ごめんなさいごめんなさいっ」
ともすれば不穏な空気に染まりそうな場を和ませようとしてか明るい声でひたすら真里亞を賛美しまくる優と、その場に土下座しかねない勢いで謝罪しまくる奈津樹と奈津樹をポカポカする蜜柑とで、その場の空気がふわりと和んだ、そのとき。
パキン、と硬質なものが砕ける音がした。
唇を抑えて小さく笑んでいた真里亞がその微かな音に気付いて、琥珀のまなざしを廊下の闇へと向ける。
足音も、気配すらなく。いつのまにかそこに立っていた銀髪紅眼の少年に、真里亞は極く自然に微笑みかけた。
「今晩は──貴方も、何かを探しているの?」
「……ああ」
短く頷き、サキリは無造作な足取りで四人の前に歩み寄る。一見穏やかな瞳で周囲を見回したかと思うと、鋭い蹴りを廊下の端に置かれた赤い消火器の脇に放つ。パキン、と先程と同じ音が響いた。
「……ここにもあった」
爪先で示すのは、消火器の後ろに隠して設置されていた小さな機械。蹴り壊されたそれは、
「盗聴器か」
「あちこちに仕掛けられてるから、気を付けて」
押し殺した息を吐く優に、サキリは頷く。校舎の何処かに潜む『黒音高の怪人』は、校舎内の状況把握に余念がない。敵が魔法を使うのでなければ、隠しカメラや盗聴器の類は必須。
(敵の目と耳を塞ぐ)
そうして安全な隠れ場所から炙り出す。そうして斃す。それがこの物語に用意された『トゥルーエンド』でないとしても。ゲームを知る者としては出来る限りその地点を目指したくはあるけれど、第一は迷い込んだ人たちの安全確保。
とはいえ、
(数が多い)
見つけ次第壊して回ってはいるものの、全て破壊し尽せているかは怪しい。それに、
(黒幕は理解しているが)
この世界を作り出した誰かが存在するのであれば、黒幕とその誰かが同一人物とは限らない。それどころか神魂の影響であるならば、この世界を作り出したナニカの存在があるのかどうかも怪しい。
(自然消滅する神魂現象なら放っておいて良いけど)
悪魔が関与しているのであれば、新たな犠牲者を出さないためにも真の黒幕を討伐しておきたいところ。
(そのためにもまずは『黒音高の怪人』、だね)
ある程度校舎を巡ってみたところ、少なくとも舞台は元ネタである『BAROQUE:CODE』を忠実に模しているように思えた。であれば、罠や手掛かりの場所も似たように再現されている可能性が高い。
己の名を告げ、四人から名を聞き出す。
四人のうち三人がゲーム内の登場人物、一人が己と同じく迷い込んだ人間。とはいえ、その一人もゲーム開発者のひとり。
(情報源には困らない)
「史越」
「はい」
まずはパソコン部の奈津樹にそっと声を掛けてみる。
「行かない方がいい場所とか、あるかな」
例えばそこに行けば確実に死に至る場所。
例えば特定の時間にならなければ黒幕が現れない場所。
例えば特定のイベントをこなさなければ失踪者たちの居所に辿り着けない場所。
「……うん、大丈夫です」
己の記憶を手繰り寄せるように眼鏡の奥の黒い瞳を伏せながら、奈津樹は唇の端を持ち上げる。それがどこかこの状況を、自身の身に起きていると承知した上で愉しんでいるように見えて、サキリは紅い眼を瞬かせた。
(同類、……)
命がけのスリルに血を湧き立たせる己と、一見大人し気な容姿の奈津樹の性質が同じであるのかもしれないと思い至って、
(うん、まあでも)
それを口にしてしまうのはどうかと口を噤むのも、きっと同じ性質であるがためなのかもしれない。
「怖くない怖くない、みんなと一緒なら怖くない……!」
真里亞の腕に両手で力いっぱいしがみつき、必死な顔で呪文のように繰り返している蜜柑を見やり、サキリは誰にも分からぬほどに微かに笑んだ。
「ねえ、蜜柑」
「っ、な、ななななに、真里亞ちゃん」
「……声が聞こえない? ほら、」
「ひあッ?!」
白い指で廊下の闇を指し示す真里亞の腕をますますぎゅっと抱きしめ、蜜柑は涙目でそれでも言われたままに視線を伸ばす。
「ああ、その怯えた顔……とっても愛らしいわ」
「か、からかわないでよぉ」
「あら、からかってなんかいないわ」
蜜柑の頬を指先に撫でる真里亞をちらりと見てから、その場の誰よりも早く優は大股に一歩を踏み出す。
「優」
己がデザインしたキャラクターの背を追いながら、奈津樹は思わずその横顔を見る。そこにあるのはやっぱり自分が描いたままの横顔で、
(顔がいい!)
何度見てもついついやっぱり同じ思いを抱いてしまうのは、これはもう致し方がない絵描きの性。
「史越」
子を追う親の足取りで優の背中を追いかけて行ってしまいそうな奈津樹の隣にサキリは並ぶ。潜めた声で問うのは、向かう先の危険の有無。
(このゲームは薬物による幻覚幻聴が多かった)
真里亞が聞いたという声は、敵が仕掛けた罠である可能性はないだろうか。向かった先で無味無臭の毒ガスでも撒かれてしまえば敢え無く全滅もあり得る。
(密閉された空間は危険度が高い)
窓を開けることは可能だろうか、と手近な窓に触れようとして、壁の隙間に隠しこまれた盗聴器に気が付いた。つまづく振りをして踏み潰す。
「今は、大丈夫だ」
記憶を辿るために黙していた奈津樹が小さく呟いた。
「声も、……この声は、大丈夫」
囁く奈津樹の声とは別に、誰かの声が耳朶を掻く。差し伸べられる手を拒絶するような、怯えて泣きじゃくるような、誰かの声──
「っ、こ、こわくないこわくない」
「ええ、そうね」
「皆と一緒だもん」
「ええ、……そうよね」
背に蜜柑と真里亞の声を聞きながら、サキリは耳の奥に別の誰かの声を聞く。地の底から響くような、地の底へと引きずり込もとでもするかのような、誰かの声。
──たすけて、
──こっちにおいで
──いや、いやいやいやいや
「ここから聞こえる」
闇を押しのけるように先へ先へと進んでいた優の足が止まったのは、別棟へと続く廊下のその手前。引き戸に塞がれた道の前で、優は周囲に鋭い視線を巡らせる。神経を張り詰めさせ耳を澄ませるその横顔は、ひどく固い。
「誰の声が聞きたいのかしら」
「誰、って、……」
真里亞の声に、優はますます顔を強張らせた。一触即発な雰囲気をぶち壊したのは、
「やだよぉ、怖、うううん、怖くない怖くな……っふにゃあ?!」
真里亞の腕にしがみついてめそめそしていた蜜柑。自分の足に自分の足を引っかけ体勢を崩し、転ぶまいと手近な掃除用具入れを掴もうとして失敗し、真里亞も巻き添えにしてその場に倒れこむ。ぐらり、ふたりの上に倒れかけた掃除用具ロッカーは、
「っと、危ない危ない」
優がぐいと立て直した。
「ヤダもー真里亞さん、オレまで怖がらせてどーすんのよー」
へらへらと笑いかけた声が凍った。聞こえていながらもどこか遠かった声が、
──たすけて、お願い、おねがいします、
すぐ耳元で聞こえている。
目前にあるのは無機質なロッカー。それは理解している。けれど。
冷たいロッカーを掴む両手に力が籠る。ぎ、と軋む縦長のロッカーを力任せに床へと投げる。
「きゃ……?!」
「あら」
それぞれに声を上げる少女たちの前、サキリと奈津樹が立った。ふたりの視線が向かっているのは、ロッカーの下。何もないフツウの床に見えるそこに、優は躊躇うこともなく膝をつく。埃まみれの床に掌を這わせる。
「なんっか、歪んでる、ような」
「そうだね」
優が転がしたロッカーをサキリは足で蹴って動かす。廊下の隅に仕掛けられていた監視カメラの鏡面をさりげなく塞ぐ。
「気を付けて」
「ああ」
奈津樹の言葉に小さく頷き返し、床の歪みに指をこじ入れる。
「……誘導されてるみたいで気に食わねぇけど」
巧妙に危険を避けるように歩かされた気がする。
ここまでの道を知る誰かに知らぬ間に導かれた気がする。
そうして、もしかすると逆に逃げ場のない死地へ誘い込まれているのかもしれないけれど、──それでも、
「家族だけじゃなくダチまでいなくなるなんて、まっぴらごめんだ」
優は低く囁く。
この先にどんな危険が待ち受けているとしても、先に進まぬ理由にはならない。
「優君、それって、」
這う格好で優の隣に並んだ蜜柑が同じように床の隙間に両手の指を押し込もうとする。剥がれそうな床板を持ち上げようとする。
「……『三年前の連続失踪事件』」
背後で真里亞が静かな息を吐いた。見えない力を使って少し疲れたようなその声と言葉に、優は眉間に深い皺を刻む。
「まあ、察しがついてるんなら……」
固く力の籠っていた背から僅かに強張りが失せた。
家出だと片付けられた姉が失踪事件に関わっていた可能性があること、だからこそ真相を解き明かしたいのだということ。
いつになく真剣な表情を見せて語る優に、蜜柑はどこか泣き出しそうな表情で頷いた。
「きっと、見つけようね」
「……ありがとな」
闇の中で笑いあうふたりの前、銀の髪をした少年が音もなく立った。
「爪が剥げるよ」
穏やかな声で言うなり、どこからか肉厚のナイフを取り出す。一切の迷いのない動作で、床の歪にナイフの先を突き立てる。
月影差す闇よりも尚深い、闇の底への道を強引に拓く。
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2020年04月04日
参加申し込みの期限
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