～紫色の輪舞曲～　寝子島町役場襲撃、魔界化を解消せよ！｜リアクション

～紫色の輪舞曲～　寝子島町役場襲撃、魔界化を解消せよ！

　ディガードの消失から時間が立たずに寝子島町役場の魔界化は解け、損傷した箇所も皆の働きによって元通りに戻された。
　戦った者達はちーあの送迎により、自らの居場所へと帰っていく。
　体を休める者、次の戦いを予見し体を鍛え直そうとする者、安堵し家路につく者と様々であった。
　だがそんな皆から離れ、役場の屋上で見つめ合う男女がいた。
　金髪を振り乱し紅潮した顔で御剣を抱き締めているのはツクヨである。
　
「あひゃはっ刀ぁ……貴方のここはぁ、何を考えているんでしょうねぇ……？」
「言わなくても、わかるだろうけど……俺も男だ、ツクヨ……お前のそんな顔見たら……我慢なんて、できねぇよっ」
「ふふっ、でしょうねぇ？　あひゃはっ……じゃあ、たーっぷり、教えてくださいねぇ？　刀の色んな所を――――」

　二人は――――しばらくの間、屋上から出てくることはなかった。

　自宅に戻り、湯を浴びて火照った体のまま桜と冬華はベッドにもつれ込む。お互いに唇を交わしながら抱き合う二人。
　体に染みついた穢れを新しい快感で上書きするかのように……彼女達の絡み合いは熱を次第に増していく。

「冬華ぁ、すごい、ここが……こんなにぃ……っ」
「言わないでぇ、だめっだからぁっ……んっ！」

　穢れを受ける度に二人はこうしてその記憶を別の愛の記憶で上書きする。それが彼女達の日常であった。
　二人はその行為に次第に溺れ、自ら穢れを欲しているようになりつつあるということをまだ知らない。

　そうして思い思いの生活へ人々は戻っていく。
　役場の被害者達はちーあとテオの計らいで今回の事態の記憶は完全に抹消された。これもフツウを守る為である。
　そうした日常の営みへ戻る寝子島を空から眺めている二人がいた。ディガードとイデラである。

「ふっ……人とは面白いものだな。あの事件を覚えているままの者も、忘れてしまう者もいる」
「理解に苦しむ。だが、奴らが普通と違うのは理解した。皮肉なものだな……『フツウを守る』為に『フツウではない力』を振るうとはな」
「そうだな、だがそれもいい。余興は面白くなくてはな。次の準備に入るぞ、まだ呼ばねばならぬ者がいる」
「主よ、まさか全員を……？」
「その通りだ、この島の中心である野々ののこ。あいつを手に入れる為には……今の戦力では厳しいだろうからな」

　誰にも聞かれていない不穏な会話をした二人はすうっと消える様にどこかへと去っていくのであった。

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