うみねこで鍋を｜リアクション

うみねこで鍋を

●心も体も温めてくれる鍋

　三折部朝衣が満足気に『うみねこ』を出た時、店に入ろうとした誰かにぶつかった。
「あ、すみません」
　ぶつかった相手は、探検部の仲間と一緒に鍋を食べに来た龍目豪だった。
「大丈夫よ。あなたも、ここのお鍋を食べに来たの？」
「はい。前も食べに来たんですけど、今日は部の奴らと一緒に食べようと思いまして」
　大勢で食べる鍋は美味しそうね、と朝衣は忘年会当日が楽しみになってきた。
「お鍋、楽しんでね。じゃあ」

　平日は、夕飯時になると会社帰りの社会人や家族連れといったお客さんが来店する。
「すき焼き、お待たせしました」
　楡宮遠海は、今日も忙しいわねと思いつつ一生懸命、接客をこなしている。
　総悟は休日のみのアルバイトだが、ハルコに忙しいから手伝ってほしいと要請されたので来ている。
　鍋が予想以上に好評なこともあり、忙しくなりそうなのは承知していたので要請に応じた。
「こんばんは。今日は部の仲間を連れて食べに来ました」
「いらっしゃい、豪くん。今日は友達と一緒に来たんだね。ゆっくりしていっておくれ」
　ここの席に座りな、とハルコは空いたテーブルに豪達を呼ぶ。
「ここの鍋、美味いぜ。スープもいろいろあって、シメもある」
　食べても食べ終わっても楽しめるぜ、と仲間達に楽しそうに説明する。　
　何度も『うみねこ』に足を運んでくれるお客さんもいるので、ケンゾウは作り甲斐があると厨房で忙しそうにしている。

　営業時間はあっという間に過ぎ閉店時間に。
　店の清掃、厨房の後片付けが済むと『うみねこ』の遅めの夕食時間だ。
「嬢ちゃん、今日の賄いはこれでいいんだよな」
　ケンゾウが遠海のために用意した賄いは、4人分のすき焼きだった。
　初めて大盛りの賄いをお願いされた時は清楚なお嬢様然な容姿な少女がたくさん食べられるのか心配だったが、その心配をよそに残さず綺麗に食べたくれた。
　最初は驚いた魚戸夫妻だったが、今では慣れたもの。
「たくさん食いな。いつも頑張ってくれているご褒美だ」
「ありがとうございます、ケンゾウさん」
　いただきますと手を合わせてから、少しずつすき焼きを食べる。
　猫舌なのでフーフーしながら、心底美味しそうに、綺麗に食べていく。
「遠海ちゃん、本当に美味しそうに食べるね」
「すき焼き、美味しいです。あの……シメに雑炊を食べたいんですけどいいですか？」
「いいよ。遠慮しないでお食べ」
　そう言って、ハルコはご飯を持ってきてくれた。
　仕事中は身体が温かくなったが、終わると寒くなってきたので賄いが鍋なのはありがたい。

　翌日。
　朝衣は仕事納めの日に大衆食堂『うみねこ』で忘年会が行われることを報告。
「うみねこさんの貸し切りが決まりました。温かいお鍋を振る舞ってくださるそうです」
　飲んで食べて楽しみましょう、と寝子島町役場総務課の皆に楽しそうに言った。

（まーちゃんと食べたお鍋、温かくて美味しかったわ）
　忙しい仕事の合間、深倉理紗子は深林真瞭と一緒に食べた『うみねこ』の鍋のことを思い出していた。
　久しぶりに真瞭に会って、話をして、ご飯食べてといった時間は、とても楽しかった。
（りさちん、少しは元気になってくれたかしら）
　星ヶ丘の高級マンションでヴァイオリンを弾きながら、真瞭は理紗子のことを思う。
　これから更に忙しくなりそうなので、休める時に休んで、楽しめる時には楽しんでほしい。
　それが『うみねこ』で出来たかしら、とも思った。
　
　豪は探検部の皆と食べた鍋の味を思い出しながら、また食べに行きたいなと思った。

　『うみねこ』の鍋は食べた人の身体を暖めるだけでなく、心も温めてくれたようだ。

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あとがき

担当マスター：カターレ
ファンレターはマスターページから！

カターレです。

リアルタイムでは少しずつ気温が高くなってきていますが、まだ寒い日が続いています。
寒い日に食べる温かい食べ物は何だろう……と考えた結果、お鍋となりました。
お肉や魚、野菜たっぷりのお鍋、美味しいですよね。最近ではスープの種類も増えてきましたし。
大衆食堂『うみねこ』のお鍋、お味はいかがでしたでしょうか。
参加してくださった皆様が美味しそうに召し上がっていたので、私も食べたくなってきました。
リアクションを読んでホカホカ気分になっていただければ幸いです。

ありがとうございました。

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うみねこで鍋を

あとがき

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