携帯戦記カプセルギア　第五話「対決！シルエット・オブ・ギア」｜リアクション

携帯戦記カプセルギア　第五話「対決！シルエット・オブ・ギア」

【竹馬の友】

　鈴島クミさんはシルエットの登場に少し興奮気味に言いました。
「ニセモノだよ、ゲンジ！　漫画でよくある、ニセモノ！　私達もユーメー人だね、ゲンジ！」
　幼馴染の陸堂源次くんの袖を引っ張りながら、クミさんが自分のギア「ガラクタくん」と源次くんのギア「カラミティダイバー」をわくわくした瞳で見つめます。
「こっちとまったく同じギアなんだ。へー」
　それに対し、源次くんは特に嬉しそうなわけでもつまらなさそうなわけでもなく、ただのほほんと相槌の声を打ちます。
　そんなあまり緊張感のない二人に対し、シルエットのガラクタくんとカラミティダイバーは容赦なく襲い掛かります。
「あ、なんか動きが速いよ、ゲンジ！」
「見た目は同じだけど、性能は違うってことか。――でも、俺達が動かさなきゃ意味ないよね」
　源次くんがスマホをすっと取り出せば、クミさんもにっこりと笑ってA.I.C.O.を起動。
「うん！　行こう！」
　クミさんの指示で、ガラクタくんはがしゃしゃと黒いガラクタくんに接近！
　どことなく酔っぱらいのオジさんを思わせる頼りない動きで、右腕の「高周波振動式無銘刀」を手にニセモノへと接近します。
　しかし、その瞬間、カラミテイダイバーのシルエットが「108式複合小銃」を連射してガラクタくんの動きを妨害。
「……っ！　負けるな、ガラクタくん！」
　銃撃でじわじわとHPを削られ、弾が当たるたびにグラグラと足元が揺れているガラクタくんに声援を送りながら、クミさんはニセモノとの距離を詰めます。
　そして、すれ違いざまに居合いで一閃――しようとしたのですが。
「あっ……。避けられた……！」
　黒いガラクタくんは本物のガラクタくんよりも安定した動きでそれを回避。
　避けられてよろける本物に、黒い「高周波振動式無銘刀」で反撃を仕掛けます。
「ダイバー、クミを援護しよう」
　そこに源次くんのカラミティダイバーがサポートに入ります。
　ローラーダッシュしながら、「108式複合小銃」を巧みに操って援護射撃。
　性能の上では有利なはずの黒いダイバーは源次くんのダイバーの動きに対応できず、クミさんへの攻撃を中止させられてしまいます。
「ありがと、ゲンジ！　でも、ニセモノもなかなか強いね！」
　助けて貰ったお礼を言いつつ、ちょっと嬉しそうなクミさん。彼女は『ニセモノだってカプセルギア』と考えているため、黒いガラクタくんに対しても敵対心はなかったのです。
　とはいえ、これはバトル。
　そこで――。
「というわけで、ちょっと作戦があるんだけど」
　ちょいちょいと源次くんを呼び寄せて、クミさんがごにょごにょと作戦を耳打ちします。
「……いいんじゃない？　うん。やろう。俺達にしか出来ない戦い方を見せてやろう」
「そうこなくっちゃ！　私もガラクタくんの強さは性能じゃないってところを見せちゃうよ！」
　幼馴染二人の目にはすでに勝利への明確なビジョンが浮かんだようでした。
　かくして、クミさんとガラクタくん、そして源次くんとカラミティダイバーにしか出来ないトンデモ大反撃が始まるのです。

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