御代金は課題です｜リアクション

御代金は課題です

「洋服屋『白熊』？」

　落合まゆらが街角にいた女の子から受け取ったのは『白熊』という洋服屋のビラだ。そのビラを見てから本人にも解らない内に何か服を買おうかな？　という気分になっている。そして、その事に疑問を持っていないのだ。
　立ち止まりビラを見ていた視線を上げると、そこには『白熊』の看板があるではないか。

「うん、何か服を買っていこうかな？」

　どんな服が良いかなぁと考えながらまゆらはビラを片手に店へと入っていく。
　まゆらは結局気付く事はなかった。貰ったビラに店の場所の情報がなかった事に。

「へぇ。凄い、沢山服がある」

　外から見た店はそこまで大きいようには思えなかった筈なのに、中に入ってみれば随分と広い。
　沢山の服の間をゆっくりと吟味しながら歩いていると、店員らしき男性がまゆらの方へと近づいてきた。

「いらっしゃいませ、お客様。お楽しみ頂いているところ申し訳ありませんが、当店ではお代を先に頂くシステムとなっております」
「……はい？」

　服屋でそんなシステムは聞いた事がない。まゆらが目を点にして困惑するのも無理はない。

「えっと、それはどういう？」
「当店ではご来店頂いた方にファッションショーをして頂く事でお代の代わりとさせて頂いております」
「ふぁっしょんしょー？」
「左様でございます。こちらから指定した服を着て頂き、ステージの上でポージングをして頂くというものでございます」
「そ、そうなんですか。わかりました」

　突然の事で驚きはしたものの声優志望であるまゆらからすれば、最近の声優はモデル的な仕事をこなさなければならない事もあり、ファッションショーをする事は問題はない。覚悟を決めて承諾の返事と共に頷いた。

（な、何か段々衣装が露出度多目になってきてない……？）

　ショーが開始してから暫くは普通の衣装だったのだが、段々と様子が変わってきた事にまゆらが気付く。
　今着ているのは、赤いチャイナドレスだがスリットの切れ込みは深く腰に近いところまで上がっているし、胸元も開いたデザインになっていた。
　しかも指定されたポーズは左足を爪先立ちにした太ももを強調するようなポーズ。これではスリットから太ももが見え放題である。

（これ、恥ずかしいんだけど……）

　自らの太ももを見せつけるようなポージングに顔を赤らめるが、しかし、これはまだまだ始まりに過ぎない。

（次は……看護師さん？　いや待って！　こんな短いスカートとかおかしいでしょ！）

　今度の衣装は白の看護師のようだが、まゆらの言う通りにスカート丈が短い。
　ワンピースになっているのだが、マイクロミニスカートの中でも特に短いと思える程の長さ。それでいてぴっちりとしているので身体のラインも出ているし、これでもし屈みでもしようものならいとも簡単にスカートの中が露わになる事だろう。

（机？　でも、少し低いような……この机の上にある紙を取れって事？）

　それがどうやらこのナース服でのポージングの指令のようだ。
　どうやらこの服を着たまゆらを前屈みにさせる事が狙いのようだ。

（は、恥ずかしい……）

　スカートの裾を引っ張って少しでも隠そうとする。しかし、その様子がまた良い雰囲気を醸し出している事を彼女は気付いていない。

（今度は何？　え、嘘でしょ！？）

　次の衣装は白に青いラインの入ったレオタードのようだ。ナース服の時以上に身体のラインが強調され、まゆらの程良く育った胸やお尻がはっきりと解る。
　その上、ハイレグラインは際どいなんてものではなく太ももは完全に露出して、Vラインすらも明確だ。

（ちょ、ちょっと、こんなポーズをとらなきゃダメ？　やだ、恥ずかしい……！）

　ステージの上でうつ伏せになってから上半身だけ起こしステージ下の方を肩越しに振り返ったり、後ろを向いてちょっとお尻を突き出すような恰好をさせられたり。
　今までの中で一番と言えるセクシーポーズを要求され、まゆらはすっかりゆでだこ状態になりながらも何とか指令を熟すのだった。

「もう！　あんな事をさせられたんだから思いっきり良いの貰って帰るんだから！」

　無事にファッションショーを終えたまゆらはやった分だけの元を取り返そうと凄い剣幕で服を見ている。しかし、剣幕に反して吟味そのものはとても慎重だ。
　そうして最終的にまゆらが選んだのはベージュのスエードアウターの下に薄いグレーのレイヤードニット、白のデニムというコーデの商品であった。どうやら今回は少しばかり大人っぽさを重視しての選択らしい。
　その店の中で着替えて、まゆらはそのまま自宅への帰途に着くのだった。

このページにイラストを設定する

御代金は課題です

シナリオ

シナリオデータ

シナリオスケジュール

参加キャラクター一覧