this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
フシギな力の使い途
<< もどる
1
…
4
5
6
7
8
つぎへ >>
【フシギを伴う姉妹の会話】
十二月の寒い中、入っているこたつが暖かくて気持ちが良い。うつ伏せになりながらその恩恵を享受していた
仙藤 蒼
は、手元にある漫画のページを捲っていた。
読んでいた少年漫画の週刊誌は、今はちょうどマンネリ期。どの掲載漫画も中身のない内容に、人気どころによっては二ヶ月にわたる同じ敵との戦闘シーン。さすがにそろそろ飽きてきた。
「ねぇ、お姉ちゃん」
蒼が両手をついて起き上がりこたつの方へと向き直る。
向かい側には、姉の
仙藤 紫
が同じく本を読んでいた。だが、こちらの漫画とは異なり、それは目に見えたタイトルからして難しそうな活字本だ。
同時に目に入る、こたつのテーブル上にいくつかあった中で、最後に残ったミカン一つ。
「この最後のミカン、食べちゃってもいい?」
「いいわよ」
紫の言葉に蒼が喜びに頬を綻ばせてミカンを手に取る。紫も蒼の様子に、読書から一息入れる様子で軽く上半身を伸ばした。
「お姉ちゃん、何読んでたの?」
「気まぐれにサスペンス小説を買ったのだけれども、だめね。先の展開が全部読めてしまって」
「ヘンなの、こっちと全然違う本なのに同じ感想とか」
しばらく紙の捲る音しかしなかった空間に、明るい談笑が混じる。やはりつまらない漫画などより、お互いに会話をしていた方がずっと楽しくて盛り上がる。
蒼が先程のミカンをいそいそと皮を剥きながら、その中の一つを口の中に放り込む。ジューシーな味がその中一杯に広がった。
「うん、おいしい! ――」
美味しいオレンジミカン味。ふと、思い浮かんだのは、自分のろっこんのことだった。
「そうだ、お姉ちゃんもろっこん使えたよね。
初めて使えた時、どんな感じだった?
私の時は――」
+‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+
――ある晴れた、昨年の夏休み。
それは大きなゲーム雑誌会社が主催している、横浜で行われた当時大人気だった格闘ゲーム大会でのことだった。
「――やったぁ!」
ゲームと言えど格闘ゲームの年齢層は高い。規制がされている訳ではないが、必然的に大人ばかりが集まっているその会場の中に、まだ中学二年だった蒼は単身躊躇いなく飛び込んだ。
そして、先の瞬間。並み居る大人たちを倒し勝ち抜き、ついには雑誌にコラムや攻略を載せているプロゲーマーへの対戦挑戦権を得ることに成功した。
わくわくしながら、対戦席に座る。嬉しさから勝利に浮かれるのはここまで。画面からの映像と流れてくる音の情報のみが蒼の精神とコネクトするように繋がり、未だに驚きを口にする外野などはもうどうでも良くなった。
『FIGHT!』の文字と共に、手が勝手に動き出す。
そこにあったものは、プロゲーマーとの互角の勝負だった。蒼は負けて相手の圧勝だろうと思っていた周囲から歓声が起こる。
三本先取を二本ずつ奪い合うように取り、これが本当に最後の勝負となった。だが、そこで――蒼は攻撃ボタンを押すタイミングを間違えた。
緊迫し緊張した格闘ゲームの試合の中における十分の一秒の誤差は、致命傷と言ってもよかった。
蒼はその瞬間『負けた』と確信し、実際に試合には敗北した。だが、周囲も対戦相手も、その健闘を称えてくれたし、やりきった心はまるで青空のように清々しかった。
涼しい夏風が吹くような心地の良い胸と共に、蒼はせっかくだからと横浜の街を、目的を決めずに歩いてみることにした。
横浜の代表的な、海に大きく面した見晴らしの良い公園を歩く。海ももちろん、各所にある煌めく水と緑のオブジェクトがある拓けた広場は、潮風が吹き抜けるたびに、その場にいる蒼の疲労感を呑み込んでかき消してくれるかのようだった。
「うーん! 気持ち良いか、も……」
両手を上に大きく上げて伸びをした瞬間――はっきり聞こえるくらいにお腹の鳴る音がした。
「――そ、そう言えば、お昼食べてなかったかも。どこか、適当にお店入ろうかな」
誰かに聞かれていたりしたらどうしようかと思わず周囲を見渡した。幸いにして、広い公園に人影は見られなかったが、とにかく自分が恥ずかしい。
慌てて、どこかに屋台とかはないだろうかと、辺りを見渡してみるが、この付近にその様子は見当たらない。
「う~……」
一度意識してしまうと、まったく消えようとしない空腹が切ない。その時、ふと自分の着ている濃い空色をしたパーカーが目に入る。
何かないかなと思ってポケットに手を入れてみると、幸いにもそこには飴玉が三つほど。
「飴かぁ……でも、空腹の足しにくらいはなるかな」
一つ何気なく包み紙を開いた、オレンジミカンのキャンディをひょいと口の中に放り込む。
じゅわっと口の中で広がる果実感がたまらなく美味しい。お腹は膨らまないけれども、気持ち的には十分にまぎれそうだ。
目には綺麗な空の澄んだ青色が見える。雲ひとつない世界は本当に眩しく見える。
ふと、そんな世界を目にしながら、顔を上げているせいもあっただろうか、蒼は口の中にある飴玉を何気なく奥歯で噛み砕いた。
「あ、噛んじゃった……でも、まだ飴はまだ二つあるし――って、え?」
瞬間、空から小さな固まりが降ってきた。
それは、コツンと頭に当たる。ポンと肩を叩くように落ちてくる。腕に沿ってかすめるように滑り落ちてくる……
「何これ……!?」
蒼を中心にして、ぱらぱらころころと何かが魔法のように降ってくる。蒼が両手で掬い伸ばすようにその中の一つを拾い上げると、それは無数の飴玉だった。
色とりどりの飴玉が降ってくる。数十とも、数えきるには難しい数が、空から虹色を再現するように降ってくる――
「え……なんで飴玉が降ってくるのっ!?」
首を傾げて、状況を見やればしばらくして飴玉の雨は静かに止んだ。
降って入ったのであろう、ポケットの中の飴が増えていた。
一粒勇気を出して舐めてみる。それは確かに飴の味だった。
+‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+
「そう、ちょうどこんなオレンジの味だったの。
お姉ちゃんの時はどうだったの?」
蒼の瞳が好奇心できらきらしている。
紫はその言葉になんと答えようと、思考を巡らせ自分のろっこんの始まりについて思い出そうとした。
「……」
だた、それよりも先に浮かんできたのは、当時の痛哀しい感傷だった。
総ては、過ぎたことだった。自らの手で終わらせたことだった。燃やした手紙に意味はあり、その想い自体は完全に終わらせたものだった。
だが、人の心は難解で、当時を振り返れば心に僅かな影を落とした。
+‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+
それは、制服が冬服に移り変わり、僅かに吹きつける風が仄かに冷たいと感じ始めた去年の秋のこと。
紫は一冊の文庫本を供に、窓際の席に腰を下ろしていた。
当時、高校三年生であった時分、本来ならば受験勉強で大わらわな季節であるが、紫は既にAO入試によって大学への入学を一足早くに決めていた。周囲には、紫とは対照的に参考書を片手に必死に手を動かし、呪文のようにぶつぶつと暗記をしている生徒たちが結構な数押し寄せている。それらを配慮し、紫は読書の場所として、窓から外を見渡せる代わりに本を置くスペースがない所に座っていた。
「……」
大きくスペースを取られた窓からの秋空が、見渡せる街の風景がとても心地良かった。だが、紫の手にある文庫の表紙が捲られることはない。
いつもならば、寝子島のスポーツセンターにいる時間。早くに大学入学を決めた紫は所属している水泳部を引退することなく、後進の指導などを含めて一緒に練習に参加している頃だ。
街を目に留める紫の心が、しくりと痛んだ――心が陰鬱になった時、水泳部での時間は貴重な気分転換となっていた。
だが、今日は部活が休みの日。心に滲み始めたそのしみは紫の中に消えずに音も立てずに少しずつ広がっていく。
そして、しみは綻んだように、ほつれて心に決して小さくはない穴を開けた――
浮かび上がるのは一ヶ月前のとある夏の日。そこにあったものは喪失の記憶。
恋をした。脇目も振らない情熱ではない。ただ、しんしんと降る雪のような恋だった。
恋人らしいこともした、一緒に出掛けもしたし、一年近く前に誕生日に触れた優しいキスも、心に残ったままなのに。
それでも、少しずつ、降り積もった雪は溶けていった。新しい雪は降らないままに、少しずつ、綺麗な雪を削り溶かしていく。いつしかこの景色は終わるだろう。互いがそう思いながら過ごし、そしてついに汚れた地面が見えた。
恋が終わって『既に』一ヶ月――それでも『まだ』一ヶ月。
痛みに変わるほどの感覚はなかった。ただ、そこにあったのは、胸に風が吹き抜ける虚無感だけ。
――本来ならば、まっすぐ家に帰るという選択肢もあった。だが、このような心を抱えて、誰かと顔を合わせるのも辛いと思えて――紫はいつしか、此処にいたのだ。
過去を振り返るのをやめられないまま、手元の文庫本のページにようやく触れた。
しかし捲ってみると、本に何か事故でもあったのか、文字が擦れたり潰れたりしていて、認識こそすれども、その内容はまったく理解のできない物だった。
「……?」
不思議に思い奥付をめくる。かなり古い本であるらしく、もしかしたら余りに古すぎて、貸し出し中水に浸っていたなど何か問題があったのかも知れないと思い至る。
思わず、嘆息が零れた。心が重いのに気まぐれに文庫本を読むのさえ侭ならない。
紫は零れた吐息と共に、気持ちとして重たくなった目蓋を閉じて、擦れた部分を含む文章の一部を指で辿るようになぞった。
【もしも、あなたがまだそこにいたのなら】
不意に、脳内で文字が浮かび上がる。紫が驚いて目を見開けば、指でなぞった擦れて読めないその一文は、前後の文脈と合わせると、確かに浮かんだ文言が綺麗に収まった。
驚きに他の文章でも試せば、同じように読めない文章がまるで解読でもされるようにすらすらと理解ができた。
「……ろっこん」
思わず紫は口に出して呟いていた。
噂には聞いていた。だが、今まで興味も湧かなかった事柄に、こうして不思議現象が自分にも起こると思うと『薄気味悪い』という心情が優先される。
どうやら、今日は到底読書という気分にはなれそうにもない。
紫は、静かに手元の文庫を閉じて、本の状態を伝えに図書室のカウンターへと向かっていった――
+‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+
ふわりと、思い出した過去から戻る。
「ねぇ、お姉ちゃんはろっこん使った時、どうだった?」
無邪気な瞳を隠すことなく、蒼が問い掛けてくる。
紫はしばらく考えて、こう答えた。
当時は、気持ちの悪いものだと思えた。だが――
「今はまあ……悪くないかもね」
少なくとも、姉妹で互いに秘密無しで己の出来事を語れるのだから。
この時間は――確かに、悪くない。
<< もどる
1
…
4
5
6
7
8
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
フシギな力の使い途
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
冬眠
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2020年01月29日
参加申し込みの期限
2020年02月05日 11時00分
アクション投稿の期限
2020年02月05日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!