暗闇メイドカフェ『BLACK＆WHITE』｜リアクション

暗闇メイドカフェ『BLACK＆WHITE』

●未知なる暗闇メイドカフェ

「暗闇メイド喫茶……冒険の匂いがするな！」
　チラシをもらった龍目豪は、見ているうちになんだか行きたくなった。
　メイド喫茶は行ったことがないが、一度は行ってみたい。
　思い人の先輩には内緒だが、足を踏み入れてみたい。
　目隠しをしてれば恥ずかしくないだろうから思い切って行ってみるか！　とチラシを持って掲載されている場所へ。

　北里雅樹は来年は大学入試。今のところ、志望校への合格判定はＡ。
　気を抜くわけにはいかないが、根を詰めてこけてしまうのもどうかと。
　本来は追い込みをしなきゃならないのだが、根を詰めすぎるのもモチベーションが下がる。
　ということで気分転換をしに。
　そんなわけで、リフレッシュのために暗闇メイドカフェ『BLACK＆WHITE』に足を運ぶ。
　雅樹は３度目の来客なので、いわば常連だったりする。
　いざ暗闇メイドへ入店、というところで辿り着いた豪とばったり会った。
「お前、メイドカフェに入ったことがあるか？」
　1人で入るのは気恥ずかしいので、豪は雅樹に一緒に入ってほしいようだ。
「ここには３度目の来客だ」
「ということは、常連だな？　そいつは心強い！　俺と一緒に入ってくれ」
　突然の申し出に驚いたが、誰かと一緒に入るのもいいかと雅樹はＯＫした。
　来店すると、アイマスクを持ったメイドが出迎えてくれた。
「おかえりなさいませ、ご主人様」
　礼儀正しく挨拶したメイドは、2人にアイマスクを手渡す。
　これを付けないと入れないのはわかっていたが、何だか妙な気分だ。
「本日のメイドはどうなさいますか？」
　アイマスクを付け終えた雅樹は、今日は誰にしようかと考える。
　お姉さんなたまき、クールなあんな、天真爛漫なまりんと指名したので、まだ指名していないツンデレなさーやを指名。
「さーやで頼む」
「そちらのご主人様は、どうなさいますか？」
　どんなメイドがいるんだ？　と豪は雅樹に聞く。
　ほんわかお姉さんなたまきはどうだ？　と勧められたので、たまきを指名。

　しばらくすると、雅樹指名のさーや。豪指名のたまきがやって来た。
「ご指名ありがとう、ご主人様。さーやです」
　ツンとした挨拶の後、雅樹の手を取って席に案内する。
「はじめまして、ご主人様。メイドのたまきです。席までご案内しますね」
　見えないというのは結構構不安なもので、暗い洞窟探検を思わせる雰囲気に。
　洞窟探検の時は灯りを持っているがドキドキする。今の豪の心境は、まさにそんな感じだ。
　神経を集中して、感覚を研ぎ澄まして周囲を窺う。
（お、いい匂いがする……）
　たまきの髪からシャンプーの良い香りがする。それにちょっとドキッとする豪だった。
「俺は豪。よろしくな！」
「良いお名前ですね。こちらこそ、よろしくお願いします」
　年上の優しいお姉さんのような綺麗な声なので、外見もきっと綺麗な人なんだろうな。
　そう思うとアイマスクを外したくたくなる衝動に駆られるが、外すと退店させられそうなので我慢。

　席に案内されると、たまきが読み上げたメニューの中から何かを注文する。
「それじゃ、白黒にゃんこカレーとコーヒーにするぜ」
「かしこまりました」
　豪がたまきを待っている間、聞き覚えのある声に反応した。

「まりんちゃん、耳かきお願いします！」
　すっかりお店が気に入ったらしく、何度目かの来店の海原茂はまりんに耳かきをしてもらっていた。
「あれ、今の声、海原先輩？　なんか、あっちで先生に似た声が……」
　そこから少し離れた場所では、桐島義弘先生があんなにマッサージをしてもらっていた。
「き、気持ちいい～～」
　普段の真面目さはどこへやら……。

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