暗闇メイドカフェ『BLACK＆WHITE』｜リアクション

暗闇メイドカフェ『BLACK＆WHITE』

●メイドのご奉仕

　あんなが席を立つと、楠瑠璃ご指名のたまきがやって来た。
「ご指名ありがとうございます、お嬢様。メイドのたまきです、よろしくお願いしますね」
「こ、こちらこそ」
　姿は見えないが、声を聴いただけでほんわか系お姉さんと直感する瑠璃は私好みだわ、と思った。
　瑠璃も、たまきにメニューを読み上げてもらってからオムライスを頼んだ。
「ご用意しますので、しばらくお待ちくださいね」

　たまきが席を立つと同時に、入れ替わるようにあんなが白黒にゃんこオムライスが載ったトレイを持って恵御納夏朝のところに戻ってきた。
「お待たせしました、お嬢様。白黒にゃんこオムライスよ」
「白黒にゃんこオムライス……猫さん……！」
　きっと可愛い白黒猫さんモチーフなオムライスに違いない。
　遮られる視界の中、夏朝は可愛いにゃんこオムライスを想像する。
「お嬢様、あーんして」
「あ、あーん……」
　恥ずかしいな……と照れつつ、こぼさないよう気を付け、あんなに食べさせてもらう。
（お、美味しい……）
　猫さんモチーフなオムライスの姿を見られないのが悲しい……！　と思うと泣けてくる。
　そう思いながら食べさせてもらったオムライスは、少し塩味がした。
「お嬢様、口にケチャップがついているわよ」
　そう言って、あんなは夏朝の頬についたケチャップをナプキンで丁寧に拭いてくれた。
　クールなインテリ系、口数は少ないが献身的に尽くす優しさと気遣いがこれで窺える。
（この人、クールだけど普通のメイドさん、なのかな……？）
　周囲からはお友達感覚だったり、ほんわか口調だったり、ツンデレっぽい喋り方な様々な声が聞こえる。
　いろんなメイドさんがいて楽しそう……と思っていると、あんなが「写真撮影しない？」とポラロイドカメラを持って来た。
「写真撮影……う、うん、お願いします」
　もしかしたら猫さん映るのかな……と淡い期待を。
「会計時に渡すから楽しみにしていてね、お嬢様」
「すごく楽しみだな……」
　自分がどんなふうに写っていて、猫さんメニューも写っているのかな……？　と期待する夏朝だった。

　その頃、瑠璃はたまきに白黒にゃんこオムライスを食べさせてもらっていた。
「お嬢様、あーんしてください」
「あーん……」
　気恥ずかしさもあったが、自分好みのメイドさんに食べさせてもらえるのが嬉しかった。
「美味しいですか？」
「美味しいわ」
　もう一口お願い、と瑠璃は、たまきに甘えるようにお願いした。
　お姉さんなメイドさんに食べさせてもらって幸せ……と、一口ずつ噛みしめてオムライスを食べる瑠璃だった。
　オムライスを食べさせてもらった後は、耳かきをしてもらうことに。
　たまきに膝枕をしてもらい、ゆっくり、優しくしてもらった。
「気持ちいいですか？」
「き、気持ちいいわ……」
　予想以上の気持ち良さだったので、瑠璃はつい、うっとりしてしまった。
（この店は思った通りね。これからも通い詰めるわ）
　夢見心地な気分で、次はいつ来ようかしらと考える瑠璃だった。

　メイドのサービスに大満足しながら、夏朝と瑠璃はお金を払って退店することに。
　お会計後、メイドが夏朝にあんながポラロイドカメラで撮った写真をくれた。
　そこには、可愛い白黒にゃんこオムライスと緊張してる夏朝。クールな表情を崩していないあんなが一緒に写っていた。
（……警戒して申し訳なかったかな。また来る時は、普通に来てみよう）
　想像通りの可愛いにゃんこオムライスを見て、他の白黒にゃんこさんなメニューも見てみたい……と次の来店を楽しみにする夏朝だった。
　瑠璃は、次はどのメイドさんをご指名しようか考えていた。

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