暗闇メイドカフェ『BLACK＆WHITE』｜リアクション

暗闇メイドカフェ『BLACK＆WHITE』

●暗闇メイドカフェに誘われて

「暗闇、メイドカフェ……？」
　風に飛ばされてきたメイドカフェ『BLACK＆WHITE』のチラシを手に取った恵御納夏朝は、最近はフツウを壊す存在の警戒心が強い。
　このチラシもフツウ破壊をもくろむタイプの悪魔等の仕業……と思いたいが、何か怪しいと警戒してしまう。
　とりあえず、チラシは布鞄にしまおうとするが、もう少し見ていたくなったのでやめた。
　チラシをじっと見ていると、ここに行ってみたい……という欲求に駆られた。
「……な、何でだろう。何故か行きたくて仕方がない……！」
　これは神魂の影響……だと信じたい……！　と思いつつ、夏朝はチラシに書かれた場所に向かい始めた。

「……普通の店ね」
　クラスメイトから暗闇メイドカフェ『BLACK＆WHITE』の情報を聞きつけ、興味を持って来た楠瑠璃の第一印象はこれだった。
　店の外観は普通だが、元気いっぱいお友達感覚、ほんわかお姉さん、クールなインテリ系、ツンデレといった選り取り見取りなメイドがいるという情報も聞いた。
　そんなメイド達に本当の真心や思いやりに触れることができる、極上の癒しスポット。
　行ったことがあるクラスメイトの話では、一度行くと、もう一度行きたくなるのだとか。
　それはどんなおもてなしなのだろうかと、瑠璃は期待に胸躍らせた。
　とはいえ、ひとりで入るのはちょっと……と躊躇う。
　そんな時、夏朝が店の前に辿り着いた。
「君も……このお店に入ろうとしているの……？」
「え、ええ。入りたいんだけど、女の子ひとりで入っていいかどうか迷ってて……」
　だったら僕と一緒に入らない？　と夏朝が言うので、彼女と一緒なら大丈夫かもと入ることに。
　そんな訳で、２人は一緒に暗闇メイドカフェ『BLACK＆WHITE』に来店。

「おかえりなさいませ、お嬢様」
　出迎えたのは、お屋敷にいそうな礼儀正しいメイドだった。
「……た、ただいま」
　帰宅したわけではないのだが、夏朝はつい、こう言ってしまった。
　瑠璃は、こうやってお出迎えしてくれるのねとメイドを見ていた。
「ではお嬢様、こちらのアイマスクをお召しになってください」
「って、ここではアイマスク付けるの？」
　これを付けないと入店できませんので……とメイドがアイマスクの説明する。
　それなら仕方ないわね、と瑠璃はアイマスクを装着。
　夏朝は何故アイマスク……？　と不思議だったが、入店条件のようなので大人しく受け取り装着した。
「よ、よろしく……お願いします……！」
　緊張しながら貴重品を失くさないよう、夏朝はメイドの案内で周りを気を付けて進む。
　席に案内される際に「ご指名のメイドはどうなさいますか？」と訊ねられたが、初来店の夏朝には誰がいるのかわからない。
「お任せします……」
「私は、たまきさんをお願いします」
　自分好みらしいという情報なので、瑠璃は、たまきを指名した。
　
　ご指名のメイドが来るまで、２人はふかふかの椅子に腰かけてメイドが来るのを待つ。
　しばらく待つと、クールな雰囲気のメイドがやって来た。
「はじめまして、お嬢様。お嬢様のお世話をするあんなよ。よろしく」
「よ、よろしく……お願いします……！」
　冷たそうな人だけど大丈夫かな……と夏朝は不安に。
「ご注文は何？」
　アイマスクでメニューが見えないので、あんなが読み上げたものから何かを選ぶしかない。
「え、えっと……オムライス、を……」
「かしこまりました。少々お待ちください」
　フードにはすべてにゃんこがついていたのでどれにしようか迷ったが、いろいろ考えた末にオムライスに。

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