秋の夜長に……｜リアクション

秋の夜長に……

●流星群と仲良し3人組の夜長

（今日は、流星群が見られるみたい）
　小山内海は、今、見ているニュースでそのことを知った。
　橘千歳と御剣刀を誘って3人でちょっと見に行こうと思い立ち、ニュースの内容を千歳と刀にメールで伝えた。
『今日は流星群が見れるみたい。3人でちょっと見に行かない？』
　一緒に行ってくれるかな？　と期待する海。
「もちろん！」
　ニュースで流星群を見た時はタイミングを合わせて窓から眺めようかと思っていた刀は、3人で見たほうがきっと楽しいと即座に返信。
「いいわね、行きましょう」
　同じくニュースを見た千歳も、3人で一緒に見たら楽しそうと行く、と返信した。

　誘ったのはいいが、場所をどうしようかと思った時、海はそういえば、とふと思うことが。
　刀と千歳、それぞれと私のお気に入りの場所につれていったことはあるが、3人一緒に海のお気に入りの場所に行ったことはなかった……はず。
　だから海は、今回は自分のお気に入りの場所に行こうと提案してみた。
　彼女のお気に入りの場所は、細い路地を抜けた先の急な階段を登りきったところにある小さな空き地だ。
『流星群だけど、私達3人しか知らない秘密の場所で見てみない？』
「海ちゃんのお気に入りの場所？　そう言われてみれば、まだ3人で一緒に来たことはなかったわね」
　そこで見たいという海の要望に、千歳と刀は、そこに行こうと賛成した。

　流星群を見に行く場所が決まったので、待ち合わせ場所を決めてから刀は早速、見に行くための準備をし始めた。
「温かいお茶とお菓子を用意して、と。地面に直に座らないようレジャーシートもあるといいな」
　11月の夜は結構寒いだろうからと、コートまでしっかりと着込んで防寒対策。
「外は寒いから、毛布も持っていこう。1枚あればいいか」
　良く見るために双眼鏡とかあるといいのか？　と思ったが、天体望遠鏡のほうがもっと良く見えそうな気がすると思いつつ、それも追加。
　各々の準備が終わった3人は、待ち合わせ場所に集合してから海お気に入りの高台の空き地へ。
　自分のお気に入りの場所に皆一緒に行けるので、海は楽しそうだ。
　登るのはちょっと大変だが、それでも先にあるものを思えば軽いもの。
　そう思いながら、海は笑みを浮かべながら千歳と刀と一緒に歩き始めた。
「海がお気に入りの場所だけど、確かに3人で行ったことは無かったな」
　細い路地を抜け、刀は量が多い荷物を持ちながら階段を上っていく。
　いつも通り3人一緒の行動だが、時間帯のせいか。一緒にいる彼女たちのせいか。
　刀はちょっとワクワクしてきた。

　流星群が始まるまでには、3人はどうにか高台の空き地に辿り着いた。
　空き地に着くなり、刀はレジャーシートを敷き、お茶や毛布を用意して海と千歳に一緒に寛ごうと準備を整える。
「はい、温かいお茶」
　用意していたお茶とお菓子を広げるのも忘れない。
「って、刀君、それって……レジャーシート持ってきたの？　花見みたいね……」
　これはこれでお月見みたいねとクスリと笑い、ピクニック気分で星を見上げるのも悪くないわねと千歳はレジャーシートに座る。
『気が利くね、刀。お茶、ありがとう』
「せっかくだし、流星群が見えるまで座って、お茶でも飲んでゆっくりしましょう。あ、お茶は私が淹れてあげるわね」
　さすがに夜は冷えるから、暖かいお茶がありがたいと刀に感謝して千歳は3人分のお茶を用意する。
「毛布もあるから。寒さ対策はバッチリだぞ」
　3人でくるまるとあったかいぞと刀が言うので、刀を中心に3人並んで毛布にくるまった。
　女の子の体温を身近で感じたので、刀は急速に温かくなった。

このページにイラストを設定する