秋の夜長に……｜リアクション

秋の夜長に……

●ペットと好きな子と過ごす夜長

　八神修は犬は柴犬カーキー、シェパードのカール、ラブラドールのカエサル。
　白猫ミルク、黒猫ブラックといった猫、テオ似の子猫テオテオ、長毛種若猫ロング等を飼っている。
　他にもハムスター、兎、リスと同居しているので、修の部屋はちょっとした動物王国状態だ。

「まずは入浴だな。皆、お風呂の時間だぞ」
　暖房が入った大きめの浴室ということもあり、皆、慣れたものでお風呂が好きだ。
　特に犬は利口で、お風呂はぬくぬくになるということを良く知っている。
　シャツと短パンといった軽装に着替えた修は、まずカエサルから洗うことに。
　温度調整をしたシャワーを浴びせてから、犬用シャンプーを付けて全身を丁寧に洗っていく。
「気持ちいいか？」
　表情を見れば、カエサルが気持ち良さそうにしているのがわかる。
　大型犬なので洗うのは大変だが、大人しくしているので時間はかからなかった。
　洗い終えるとバスタオルでくまなく身体を拭き、ドライヤーで乾かしていく。
　短毛なラブラドールだが、全身を乾かすのは大変だ。
　カエサルが終わるとカール、カーキーの順に洗って、拭いて、乾かしてを繰り返す。
　乾かした後のブラッシングも忘れずに。
　犬が終わると、今度は数が多い猫達の番だ。
　犬同様にシャワーを浴びせ、猫用シャンプーで身体を洗い、洗い流してバスタオルで拭きながらドライヤーで乾かす。
「大変だったが、皆が気持ちよさそうだからいいか」
　犬猫すべてお風呂に入れるのは重労働だが、気持ち良さそうな皆を見ると疲れが吹き飛ぶような気分に。

　湯上りの皆が落ち着くまで、修はローテーブルで勉強を。
　居間もエアコンで暖かく、ファンヒーターの近くには丸まった猫達が固まっている。
「猫団子みたいだ」
　温かい紅茶で飲みながらクスリと笑う。
　和んだペット達を見たり、紅茶を飲んだりしているうちに疲れが取れてきた。
　先ほどまでのリラックスモードはどこへやら。やがて、ペットの皆が元気に遊び始めた。
　犬はローテーブル周辺を駆け回り、猫は修の膝の上に乗ったり、ローテーブルの上に乗ったりと邪魔を。
「俺が勉強できないだろう」
　勉強の手を止め、犬猫のブラッシングをしたり、爪を切ったりしてケアを。
　手慣れたもの、皆が大人しくしていたということもあり時間は入浴ほどかからなかった。
　ケアが終わると「邪魔しないでくれよ」と言い聞かせて勉強を再開、と思ったら、スマホの着信音が。
「この着信音は……」
　それを聞いただけで、七夜あおいからの電話だとわかった。
『もしもし、修君、今、電話しても大丈夫？』
「ああ、大丈夫だ。何か用か？」
『あのね、宿題を教えて欲しいんだけど。わからないところがあって』
「いいよ。どこがわからないんだ？」

　わからないところを教えてあげると、そのお礼にと、あおいはお菓子の画像を送った。
『上手く出来たの、見て』
　スマホに送られた手作り菓子の画像を見て、上手にできているなと修は微笑む。
「美味しそうなお菓子だな。今すぐ食べたいくらいだ」
『本当？　そう言ってもらえると嬉しいな』
　作って良かった、とスマホ越しに嬉しそうなあおいの声が。
　そのお返しにと、お風呂上りでふかふかになった猫達の写真を撮って送った。
　犬の写真を送らなかったのは、あおいが犬が苦手なのを知っているからだ。
『猫ちゃん達のポーズ、可愛い』
　送ったのは鳴いて膝に乗ってきて甘えてくる猫達。
　スマホ越しに、あおいが辛くなるほど悶えているのがわかった。
　そんなあおいの可愛さに幸せすぎて、修まで呼吸困難になりそうだった。

　楽しい会話は、もう少しだけ続きそうだ。

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