野望に向かって！　新生徒会の日常！｜リアクション

野望に向かって！　新生徒会の日常！

「そうだ、レースのテーブル掛けを持ってきたんですが飾っていいですか？」
　テーブルクロスを取り出しながら桜が尋ねる。
「いいですよー」
　梢が言うと、壱都が声を上げた。
「それを飾る前に……書に携わる役職として『書初め』を提案します。汚れてはいけませんので、クロスはその後で」
「書初め、ですか？」
　きょとんとした様子の七星。
「新年には少し早いですが、生徒会の始まりに一年の抱負や目標を紙に認め額に入れて飾れば気も引締まるのではないでしょうか」
（……実際の所会長の考えをこれで推し測るという意図も内心）
　『悪』発言に少し引掛る壱都の目論見を知ってか知らずか、梢は手を上げた。
「はいはーい！　『革命前夜』にして、ドーンと飾っときましょー！！　毎日が革命前夜の心意気で！　他に案があるならそれでも！」
「書初め……面白そう。私も何か書こうかしら？」
　稀跡の言葉に、皆が考えている。
「それぞれ書きたいものを書いてもいいのではないでしょうか？」
「そうですねー、それじゃー書いちゃいましょう」
　最初に稀跡は『玉石平穏希楽』と書いた。
「これは、どういう意味ですか？　平穏を望む？」
　壱都が尋ねる。
「ええ、玉も石も＝色んな人が、平穏も希な事も楽しめるように、と考えたんですが……」
　首を傾げ、稀跡は思案する。
「わかりやすい方がいいかも」
　そう言ってもう一枚書き始める。
　習字が得意な楓香は達筆で力強く書き上げる。
「これしかありませんね」
　そこには『自由』と書かれていた。
「楽しそうですねぇ……何書きましょうか？　う～ん……」
　迷っていた紫苑も書き上げた。
「生徒の皆さんが楽しく過ごせて、ご飯も美味しく食べて欲しいから『楽食』です♪」
（野望があるのは、悪いことではないのでしょうが……）
　そんなことを思いながら壱都は『温故知新』と書き上げる。
「姉や先輩から受継いだものを生かしつつ、新しい生徒会を作っていけたらなと」
　書きなおしたものに、稀跡は署名を入れた。
（無理はせず、無理を強いる事なく……時には真剣に、時にはのんびり気楽に……）
『できる事をしていきたい　嘉渡洲稀跡』
「そうですわね、私はこれです」
　七星はほっこりと笑んで、『信頼』と書いたのだった。
　
　書初めを壁に貼り、習字道具を片付けた後、桜はテーブルにレースのクロスを敷いた。
　模様替えを終えて、部屋を見回すと、全体的に可愛らしくまとまっている。
（なんだか生徒会室じゃない気がする。この部屋で『野望に向かって悪だくみ』かあ）
　桜は思わず笑ってしまった。
「どうかした？」
　その様子に気づいた楓香が尋ねる。
「いや、可愛いなーと思って」
「そうね、こういうのもいいよねぇ」
「さて、いい時間ですし今日はそろそろ終わりにしましょうか」
　梢の言葉に、武道が立ち上がり部屋を見渡す。
「お疲れー！　いやぁいいな素敵だな！　せっかくだから写真とっていい？」
「どうぞどうぞー」
　許可を取り、武道がスマホで新しい生徒会室を撮影する。
「これからも部屋の様子は変わっていくと思いますし、楽しみですねー」
　嬉しそうな梢に、武道は引き継ぎ書類を渡した。
「梢ちゃんお疲れ様、はいこれ。今日はもう時間だし、説明はまた明日にでもするけど……生徒会室の模様替え、俺は思い浮かばない案だった。どんな生徒会になるか、とても楽しみだよ。後をよろしく頼む、生徒会長」
「任せてください！」
　梢がドヤ顔で胸を叩く。
　武道は他の役員たちのほうへ向き直った。
「それじゃ、新生生徒会のみんなー！　がんばろーぜぃ！」
「はい！」
　皆が声を合わせ、解散となった。

　後日。
　生徒会室には中古の戸棚が運びこまれ、生徒会の予算を遣わずに済んだ。

　その日生徒会室に最初に入った梢は目を瞠った。
「あ、これ……」
　そしてにんまりと笑みを漏らした。
　梢が注目したのは戸棚ではない。
　それぞれの椅子に置かれた額縁に、梢の目は釘付けになっていた。　
「こんにちはー。えっ？！」
　次に入ってきた桜が吹きだした。
　それぞれの席に並んだ油絵は、月詠が描いた肖像画だった。
　とても良く描けていて、ずらりとそれぞれの席にならんだ様はなんだかユーモラスな光景だったのだ。
「写真撮りましょうかー」
「いいですわね」
　七星がオレンジの香りのお香を焚きながら言う。
　揃った役員たちは満足し、スマホで肖像画の写真を撮ったのだった。
「さて、今日も革命前夜。はりきっていきましょー！」　
　肖像画を定位置に飾った後、梢の音頭で、今日も会議が始まる。

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あとがき

担当マスター：天村花海
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ご参加ありがとうございました。お待たせしてすみません。
個性豊かな生徒会のメンバー＋αの皆さまのアクションのおかげで、楽しく書かせていただきました！

革命前夜の生徒会、これからいろいろな困難もあるかもしれませんが、きっと力を合わせて乗り越えていかれることと思います。
今後のご活躍に期待しております！

それでは、またご縁がありましたらシナリオでお会いしましょう♪

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