野望に向かって！　新生徒会の日常！｜リアクション

野望に向かって！　新生徒会の日常！

（生徒会長の業務引き継ぎ、資料はまとめてたからあとは渡して説明するだけでいいかな。副会長だったから大まかにはわかってるだろうし……）
　前生徒会長の志波武道は、段取りを考えながら生徒会室にやってきたが。
「……何事！？」
　皆が椅子を改造したり、写真を飾ったりしている光景に驚く。
「あ、志波先輩。今模様替えをしてたとこなんでーす」
　梢の説明に、
「なるほど模様替え……新生生徒会の皆が使いやすいようにすればいいしね！」
　何か思いついた様子の武道は。
「ってことで俺がやるべきことはひとーつ！　アディオス！」
　と回れ右して生徒会室を出ていく。

　そこで旅鴉月詠とすれ違った。
「あれ、月詠ちゃん」
「武道、もう帰るのか」
「いや、また戻ってクルヨー」
　武道を見送った後、月詠は気配を殺して生徒会室の隅っこに座る。
「旅鴉様、どうしたんですか？」
　不思議そうな七星の問いに、
「絵を描きに来ただけだが。ああ気にしないで。話の邪魔をする気はないし」
　そう言いながら新しく役員になった者達を矯めつ眇めつスケッチしている。
「気にしないでと言われても……」
　楓香も気づいて近づく。
「ああ全く気にしないで。約束を果たしてもらいにきただけだから」
「約束？」
「肖像画だよ。生徒会長並びに役員が決まったら肖像画を描かなければならないという伝統があってね」
「伝統だったんですか？　初耳ですー」
　梢が言うと。
「私が伝統にする」
　と月詠はドヤ顔をした。
「前の役員も私が描いたぞ。良い出来だったろう？」
　部屋の上部には前役員たちの肖像画が飾られていた。
「確かに……」
　姉の肖像画を見つめて壱都が頷く。
「末長い伝統にしたいので大人しく描かれてほしい。折角この学校は芸術科あるのだから、写真アルバムに留まらない記録の残し方をだな。老いてから見るととても励みになると思うけどなぁ、若い頃輝いていた自分」
「老いてからですか……私は、老いても輝きますよ？」
　老いた自分など考えたくない、という風情の梢である。
「伝説になるべきだよ。ただ生徒会をやったという実績だけではつまらない。前の会長もとにかく服を脱ぐとかインパクトあったし、惡の道を突き進んでもいいと思うけどな。と、わるい魔女はのたまうのである」
　そんなことを言いながら月詠はデッサンを続けるのだった。
（そう、会長の『悪』発言は少し引掛るのよね）
　と壱都は危惧している。
（惡の道……とは別かもしれないけど、私なりに、皆に協力して頑張るわ）
　稀跡はそう思っていた。

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