野望に向かって！　新生徒会の日常！｜リアクション

野望に向かって！　新生徒会の日常！

（「女帝生徒会」……校内では新たに発足した新生徒会のことをこう呼ぶらしい。ということは会計である私は女帝に傅く女官……なのかな？）
　そんなことをぼんやり考えつつ、会計の水上桜は放課後の寝子高生徒会室へ向かう。
　生徒会室では、書記の巫部紫苑が大きな荷物を下ろし、つぶやいていた。
「私も生徒会の一員ですかぁ……まだ実感はないですけど、楽しそうな気はしてきましたね♪」
　そこへ顔を出した桜が挨拶する。
「こんにちは、会計の水上です。よろしくお願いします」
「書記の巫部です。よろしくお願いします」
　まずは皆に挨拶すると、それぞれに笑顔で返事が返ってきた。
　書記の八重崎壱都は、一年一緒にやっていく皆との親睦を深めたいと思っていた。
（そして、もう一つ）
　壱都には見極めたいことがあった。

「皆さん、そろいましたねー」
　生徒会室に集まった新生徒会役員たちの顔を見回して、生徒会長の屋敷野梢が言った。
　今日は生徒会室の掃除や模様替え等をやるということで集まっている。
「まずは大掃除、古い書類等の整理をして、部屋の模様替えで生徒会室のイメチェンを図りましょー！」
　会長の指示に、
「皆で部屋のお片付けや模様替えをするのって、なんだか楽しそうですね♪」
　紫苑がのんびり言う。
　副会長の雨崎楓香がさっと手を上げた。
「生徒会室に新しい風をいれることは大いに賛成です。ただ前の選挙でエコを掲げていたからには、私は極力モノの再利用、リユースする方向でいきたいです。でないと選挙の公約を守れない気がするので」
　役員として模範となる態度を心がけようと思う楓香である。
「そうですね。新しいものの搬入は皆様にお任せするとして、私は古いものの選別をしましょう。きっと古いものでも使えるものはあると思うのですわ」
　同じく副会長の天満七星も頷く。
「私もお手伝いします！　前役員の忘れ物は返却、不明の物は、ダンボールにいれてバザーなどで出せるように取っておきましょう。ゴミになりそうなものは極力分別、布類など洗えるものは洗って干すということで」
　せっかくだしクールな生徒会副会長になりたいと願う楓香は、さっそく作業に入る。
　
　壱都は、ふと、棚にあった小物入れに目を留める。
「あ、この千代紙の小物入れ、多分これ姉の手作りですよね」
「ああ、八重崎さんは去年お姉さんが書記だったんですよね」
　当時副会長だった梢が言う。
「はい。私と違い器用なので実家にいた頃も良く作ってたんですよね……少し懐かしい気持ちになります。その、模様替えという事ですがこれ、引続き部屋に置いても構わないでしょうか……その、実用性もありますし」
「素敵ですわね、まだまだ使えますわ」
　旧家に生まれ、古めなものが好きな七星が賛成した。　
「ありがとうございます」
（……先代の先輩方……姉達が一年使ってた生徒会室を今度は私達が一年使う為模様替えしていく）
　壱都は感慨にふけるのだった。

　会計の嘉渡洲稀跡は、生徒会活動の記録等過去の書類を探す。
（会計職として動くにあたって作業の流れや纏め方等を参考にできればと思って……今日はのんびり過ごしたいので見るのはまた後日、になるけれど）
　桜も書類整理へ向かう。
「生徒会出納帳……これですね。今後学校に予算を請求したりする場合や、部活の予算配分などで必要になると思うので、どういう財務状態かを確認しないと」
　一方、壱都は議事録等の文書を手にしていた。
（書類整理等、実務の方は……書記職である以上一年とは言え確り頑張らないと……って、あ……）
「書類に付箋……注意書き……ってこれ、姉さんの字」
　さらに付箋に書かれた自分の名前に、壱都は目を丸くする。
（助かる、んですけど……私名指しで激励の言葉迄書いてる……姉らしいというか……）

このページにイラストを設定する