野望に向かって！　新生徒会の日常！｜リアクション

野望に向かって！　新生徒会の日常！

「さて掃除も終わりですね。自由に模様替えしてください！　責任は私が持ちます！　どん！」
　胸を叩く梢。
「模様替え……良いわね。猫の写真も要るかしら？」
　風景の写真や、猫の写真を取り出す稀跡。
「ネコの写真？？」
　何故？　と思う楓香だが。
「窓際にハーブとサボテン置きます！　私も写真を飾りたい所ですが、今日はお預け！」
　会長自らハーブを取り出す様子に、楓香は納得する。
（結構自由なんだ？　ここの生徒会）
「私的には素敵な石も飾りたくなるけど、写真の方が馴染みそうだし。程よい和みや癒しは大切だと思うの」
　そう言って稀跡は、目立ちすぎないように写真を飾った。
　桜は室内装飾用に、布で作ったコサージュを飾り付けたりする。
「あら、綺麗ですわね。ご自分で作られたんですか？」
　七星に声をかけられ、桜は笑顔になった。
「はい。花の種類は春夏秋冬の季節ごとの花をモチーフにしたもので、実は寝子祭の家庭科同好会の企画で展示したものなんです」
「素敵ですわね。生徒会室が華やかになりますね」
「ありがとうございます」
　気を良くした桜は、その他にレジンキャストで作った琥珀糖やタピオカなんかを瓶などに詰めたりして飾ってみたりする。
　梢は楽しそうに皆の様子を観察していた。
（人の好みや考えを知るには、自由に模様替えしてもらうと見えてくると思います。まずはお互いの理解が大事だと思いまーす）
　そんな真意があった。

「あら、なぜこんなものが？」
　七星は習字道具の近くにあった丸い蓋つきの入れ物を見つけた。
「何ですか、それ？　誰かの忘れ物？」
　楓香が覗きこむ。
「香炉ですね。お香を焚くのに使います」
「去年は使ってなかったですよ？　もっと前からあるものだと思います」
　梢が言う。
「そうですわね、お部屋の香りは重要かもしれません。皆様が気軽に来ていただけるような空間の為にも、工夫いたしましょう。皆様はどのようなにおいがお好きですか？」
「好きな匂い、と言われても……」
　急に聞かれて戸惑う楓香。
「できうるかぎり好みを合わせたいですわね。だってここは、皆様が力を発揮する場所なのですから」
「私は、美味しいものの匂いが好きですわ。焼肉とか、お菓子の匂いとか」
　紫苑の発言に七星はちょっと驚いた。
「そうですか……焼肉のお香は聞いたことはないですが、でもフルーツ系の甘い香りもあります。今度何種類か持ってきますね」
　梢が賛成する。
「いい匂いがするっていいですよねー。火はダメって言われたら別の方法を考えましょー！」
　気を取り直して、七星はイグサのカバーを取り出して椅子の座面につける。
「そういう意味では、私のいすなども私の好みのようにしたいと思います。やっぱり私は和の雰囲気のほうが好きなので」
「それじゃ私は、パイプ椅子を改造します。クッションを装着して、肘置き付きの背もたれも後ろにつけて……会長椅子！」
　満足そうに会長椅子を眺めた梢。
「……と、そろそろ真面目に動きますかー」
「マイパイプ椅子ですか……どれが誰の椅子かすぐわかるのは良いかもですね。とりあえず、うちにあったクッションと寒くなってきたからタオルケット持ってきました」
　紫苑は、紫の花が刺繍された綺麗なデザインのクッションとタオルケットを取り出し椅子に置いた。
「ここまで模様替えして大丈夫？　後続を考えるともう少し手心を……」
　心配になる楓香だが。
　そこに足音が聞こえてきた。

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