携帯戦記カプセルギア　出現！チェスの駒とＫからの挑戦状｜リアクション

携帯戦記カプセルギア　出現！チェスの駒とＫからの挑戦状

【序盤戦】
「……ちょっと立ち寄るだけのつもりが参ったわね」
　とある用事を済ませる途中で公園にフラリと立ち寄っていた仙藤蒼さんは、Diablo Azulに両肩の240mm中距離用無反動キャノン砲を発射させながら言いました。
「とはいえ、5つのキングとクイーンをまとめて倒す。クリアしがいのあるバトルよね！」
　用事はそれほど急ぎのものではなく、むしろ蒼さんはタイムアタックにでも挑戦する気持ちでKの挑戦に受けて立ちます。
「敵とは中距離を維持。ガンガン行くわよ、Diablo Azul！」
　そんな蒼さんのすぐそばでは、猫屋敷姫さんがとある人物に電話をしていました。
「ヘーイ洋子博士、事情を説明してもらおうです」
　相手は、Kと同じ海堂の苗字をもつ海堂洋子ちゃん。
　猫さんは、Kの海堂という名乗りにピンときて、まずは最初に洋子ちゃんに連絡を取ることにしたのです。
　さて、姫さんが、状況を簡潔に説明し、血縁関係の有無を確認すると――
『――ああ。そのやりくちは、間違いなくぼくの叔父だね。まったく……。ぼくには何の連絡も寄こさずに何のつもりだい……』
　洋子ちゃんは、怒っているような、どこか悲しんでいるようで言いました。
「とりあえず敵は蹴散らすので、あらゆる情報を提供するです」
『音信不通の叔父について、ぼくが語れることは少ないよ。だが、あまりにこの唐突な展開、何か理由があると考えるのが妥当だろうね』
「では、バトルに勝って、その理由とやらを聞き出してやるです」
　そう言って、通話を終えた姫さんは相棒のナデシコにステルスを発動させ、自身も遊具の物陰に隠れるように密やかな行動を開始します。
「なんだか大変なことになったわね」
　三夜怜理さんは落ち着いた口調で言いつつ、相棒のサンダルフォンを取り出しました。
「司令塔をしているのがキングやクイーンの駒に似たカプセルギアみたいね」
　それなら、切り込み役は他の子に任せ、自分は後方支援に徹しようと怜理さんは考えました。
「サンダルフォン、ガトリングでまずは手近なポーンを迎撃。相手に近づかせすぎないようにね」
　そうして、怜理さんもまたギアバトルの渦中に飲み込まれていきます。

「なんかよくわかんないけど…売られたバトルは買うよ！」

　と、滝原カノンくんも相棒のキングニャーサーを走らせて、ポーンを倒しにかかります。
「まずあのいっぱいいるのを何とかしないと……！」
　カノンくんのキングニャーサーは体当たりを仕掛けてくるポーンを上手く回避しつつ、返す刃でポーンの数を減らしていきます。
（なんだこの状況！？）
　と、心の中で叫んだのは、女装兼変装姿で偶然に公園に来ていた滝原レオンくんでした。
　なにしろ女装姿ですので、男言葉を気をつけてはいますが、状況が状況なのでレオンくんもやや混乱気味。
（よくわかんねえが…ケンカ売られてるんなら、買うまでだ！）
　それでも、いいえ、だからこそ偶然に同じ場所に居合わせた弟のカノンくんと同じ結論に達したことはとても自然なことだったのかもしれません。
　レオンくんが取り出したのは、アタランテー。
　射撃を得意とするギアで、同じ射撃を得意とするルークに対し、スピードを活かした連射で攻撃を仕掛けていきます。
「GO！アタランテー！」
　銀の髪をなびかせるレオンくんの姿は今のところカプセルギアを愛する女の子にしか見えません。
　ところで、レオンくんは弟のカノンくんに女装の話をしたことはないようです。
　ちなみに、レオンくんはまだこの場にカノンくんがいることに気づいていないようですが……。
　はてさて、この戦いは色々な意味で、どんな方向に転がっていってしまうのでしょうか。

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