携帯戦記カプセルギア　出現！チェスの駒とＫからの挑戦状｜リアクション

携帯戦記カプセルギア　出現！チェスの駒とＫからの挑戦状

【Kとユグドラシル】
　ギアマスター達のスマホから、おざなりな拍手の音が聞こえたのはそのときのことでした。
『おめでとう。合格だ。どうやら私は少し君達のことを甘く見ていたようだ』
　スピーカーから響くのは、Kこと海堂の声。
「……なんで……負けたくせに偉そうなの……？」
　スピカさんが腹立たしげに言いますが、Kはまるで聞く耳を持ちません。
『しかし、まだ私の理想とするギアの真の使い手としては力不足だ。またいずれ日を改めて次のテストを行わせてもらう。せいぜいそのときまでにもっと力をつけておくことだ。では――』
「待ちやがれです！」
　今にも通話を切りそうなKを呼び止めたのはマンモスさんでした。
「K、いや、海堂！　お前には色々と聞きたいことがあるのです！」
『……ほう。では、テストに合格したご褒美として、少しだけ質問に答えてあげよう』
　海堂は相変わらずの居丈高な物言いでしたが、一方的に通話を終えることはしませんでした。
「……では、まず一つ目です。ＣＧそしてAICOとは一体何なのですか？　これほど安価な玩具にどうしてこれ程の性能があるのですか？」
『まず前提からして違う』
「……え？」
　海堂の言葉にマンモスさんは目を瞬かせます。
『愛光がどんな説明をしているかは知らないが、少なくとも私はCGもA.I.C.O.もただの玩具などとは思っていない。CGは言うなれば――そう、神の現身（うつしみ）。そして、AICOは、神と我々が交信するためのツールだ』
　ざわ、と公園の空気がざわつきました。
「……それは……A.I.C.O.の部屋に表示されていた『RAKKAMI』と何か関係あるのですか？」
『……ほう。あれを見たのか？　なるほど。君達は私の思っていた以上に、神に近い場所にいるようだ』
　少し驚いたようなKの声がスピーカーから公園に響き渡ります。
「……質問に答えやがれです。『RAKKAMI』とおまえの言っている神とはどういう関係があるのですか？　そもそも、おまえは私達に何をさせたいんですか？」
『残念ながら、今の君達にこれ以上神について知る資格はない。これは君達のためでもある』
「……またそれですか。資質とか資格とか、おまえはいったい何様のつもりですか……」
　呆れたようにマンモスさんは言いますが、それ以上の追及はしませんでした。
『ほかに質問はないかね？　なければ、これで失礼させてもらうが――』
「あ、オレからもいいかなぁ？　もしかして、Kさんが突然出てきたのは、何か悪いやつらが動き出したから……なのかねぇ？」
　瑠樹くんの口調はふわふわでしたが、それはわりと核心的な質問でもありました。
『……ふふ。「悪いやつら」か。それはユグドラシルの連中を言っているのかな？』
「あ、Kさんも知ってるんだぁ。もしかして、Kさんはあいつらと戦おうと――」
『――私はかつて彼らと行動をともにしていたことがある』
「「！？」」
　さらりと言ったKの発言に誰もが息を飲みました。
『……もっとも今の私は彼らとは何の関わり合いもない。彼らが何を企もうと私の知ったことではないし、興味もない。だが、君達が愛光と同じ側の人間なのだとしたら、近い将来彼らとの衝突は避けられないだろう』
「えっとぉ……もう少しわかりやすく言ってほしいなぁ」
瑠樹の言葉に、Kは小さく息を吐いて笑い――
『質問タイムは以上だ。彼らのやり方が気に食わないなら、彼らに直接そう言ってやりたまえ。もっとも彼らが素直に君達の意見に耳を傾けるとは思えないが』
「あ、それとKさんは、今は、どこで何をしているかねぇ。何か愛光堂の人や海堂さんに伝えたいことがあったら――」
『――何もないよ。今の私が興味を抱いているのは君達の資質だ。いずれまたそれを確かめさせてもらう日も来るだろう。君達には期待している。くれぐれもユグドラシルのようなつまらない連中に負けることのないようにしてくれ。動かなくなった駒達は君達にプレゼントしよう。もっとも一体型のため、パーツどりには使えないがね』
　そう言って、今度こそ通話はぷつんと切られました。
「……切られちゃったねぇ」
　瑠樹くんがぽつりと呟くまで、誰も何も言えませんでした。
　あまりに唐突で、あまりに壮大で、その日のKの話を飲み込むには少し時間がかかりそうでした。
「……カプセルギアの開発者かぁ。あの人の目指す理想って……なんだったのかなぁ」
　円さんがぽつりと呟いた謎は結局宙ぶらりんのままでした。
　かくして、風の原の戦いは、静かにその幕を閉じます。
　しかし、それは次なる戦いへの序曲に過ぎないことを、そのときの彼らはまだ知る由もなかったのです。

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あとがき

担当マスター：水月鏡花
ファンレターはマスターページから！

というわけで、ご参加頂いた皆さん、お疲れさまでした。

MSの水月鏡花です。

そんな感じで、本当に突然なKからの挑戦状、いかがでしたでしょうか？

さすがの洋子ちゃんの叔父さんというべきか、人の話聞いてない感とか、変人感とかが凄かったのではないかと思います。

そんな変人からの挑戦にもかかわらず、今回も熱いアクションを送って頂き、本当にありがとうございました。

皆さんのギアへの想いが、少しでもリアクションに再現されていたなら、幸いです。

最後になりましたが、らっかみに関わる全ての方に深い感謝を。

それでは、また次回のあとがきでお会いできることを祈って。

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