灼熱地獄ビュッフェで食べまくれ！｜リアクション

灼熱地獄ビュッフェで食べまくれ！

「と、とにかく食べなくちゃ、ね？」
　と、ごまかし洋二にほほ笑む碧南だったが……、洋二は少し固まっていた。
（やっぱり、はしたないことしちゃったかな？！）
　内心泣きそうになった碧南だが、洋二は丁寧な仕草で食事を始めた。
「うん、美味しいな。なんか、こう、食欲がわいてね。インスピレーションも浮かびそうだ。この熱気も、他のお客さんの『食べたい！』という気持ちの表れに違いないな」
　と、ポジティブな様子である。
（……よかった……）
　ほっ、とする碧南の横を流たちが通る。彼らも食の戦場へ挑もうと、動きだしたようだ。
「こっちは、こっちで楽しみながら食べるわ」
「あぁ、そうしてくれ。それに俺には秘密兵器もあるしな」
　流はにやっ、と笑い焼肉用のお肉を取りに行った。

「まずは！　小手調べね！」
　と遠海はかつ丼をチョイスした。しかも、大盛である。小手調べで大盛のかつ丼とは勇ましい遠海。一方の勘三郎はというと、ステーキを皿に盛ってもらい大張り切りだ。
「食うぞ、食うぞ！　ステーキは勿論焼肉も！　カニやトロの寿司も山ほど！　一度は食べたかったキャビアもな！！」
「天ぷらもおいしそうね！　ん～、このカツ丼すっごく美味しい！！」
　とぺろり、とカツ丼を平らげる。風味豊かなダシとふわふわな卵に包まれたカツはそれだけで口福である。その横の勘三郎もミディアムレアに焼かれたステーキをぺろり、と平らげる。ガーリックソースで旨味を増幅されたステーキでも、食欲旺盛な高校生ににかかればひとたまりもないらしい。
　そんな二人の様子を尻目に、冷静な様子（？）の蒼留人はサラダバーから攻めていた。シャキシャキしたレタスやタマネギなど、野菜の風味が食欲をそそる。
「栄養バランスは大事だな。まずはこれから！　次は寿司か？　生ものがいたみそうで心配なんだよな……」
　と、真面目な顔で食べる蒼留人の言葉に、遠海と勘三郎も「そうか！」と納得し寿司を取りに行く。
「元々たらふく食う気だったんだ。サウナ状態に負けてたまるか！」
　鴻は熱くなってしまった烏龍茶片手に焼肉を焼いている。キャベツと一緒にたれにつけて食べれば、豪快な肉独特の旨味が舌に広がる。それがまた白米にあって次の肉に箸が伸びる。その合間にサラダなど他の料理も口にしていた。
　鴻の向かいには流がいた。彼はふと、あたりを見て思う。
（仮に俺がギブアップする事になったとしても、俺のろっこんが効果を発揮すれば他の客の食い気を刺激して何とかしてくれる……筈！）

　……だからよ（食うのを）止めるんじゃねぇぞ……。

「「縁起でもねぇことよぎったのは誰だ！？」」
　思わず（小声で）言った鴻と蒼留人。反応があったことに思わずビクッ！　となる流。彼は彼で「食べ始める前からうっかりフラグをたてるとこだったぜ」と我に返ったようだ。
　そんな流が持つ切り札については……後にわかる。
「っと、気を取り直して焼き肉三昧だぜ！　おっさんもまだまだ食うだろ？　他の料理を取りに行きたいなら焼いておくぞ！」
「頼む」
　焼肉の肉を置いてある場所へ向き直る流に、鴻は目礼して別の料理を取りに行くのだった。

　寿司コーナー。サーモンやイカやらウニやイクラの軍艦巻きなどが並ぶ中、勘三郎は小さく歓声を上げた。
「おーっ！？キャビアの軍艦巻きとは豪勢だぜ！！」
　と皿にそれを乗せ、他にもあちこちお寿司をお皿に乗せていく。
「これぐらい軽い軽い！！　どんどん食うぞ……。俺は負けねぇ！！」
　勘三郎、君は誰と戦っているのだろうか……。己の胃袋となのか？
　それはさておき、彼の傍らでは遠海と蒼留人もまたお寿司を選んでいた。食べ物がいたまないか心配だった蒼留人だが、彼の目に映る範囲では食べ物に異常は見られない。
（だが、油断しない方がいいだろう）
　彼は早いうちに寿司を食べておくことにする。アナゴにタマゴにエビ、エンガワの他、ウナギに白子の軍艦巻きなど、普段は食べられないお寿司をチョイスしてみる。

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