洞窟迷子救出作戦！｜リアクション

洞窟迷子救出作戦！

「おーい！　助けに来たぞ！　いるなら返事を……っどわっ！」
　豪のヘッドライトめがけて、キーキーという鳴き声と黒い影が大挙して押し寄せた。
「悪い、みんな……大丈夫か？」
「ちょっとびっくりしたけど、平気よ。あれってコウモリよね？」
「アカリも all rightデース。タカヒサがかばってくれマーシタ」
「あぁ、問題ない。それにしても、いくつになっても探検ってのは心躍るものだな」
　一行の心遣いに、豪はほっと一安心する。大声は落石やコウモリの嵐を招くから慎重に行かねば……と思いつつ、迷子が無事かと心配になって、つい先走ってしまったのだ。
「龍目さん、この先１０ｍ程行ったところで、二股に別れているみたい。左は進むと通路が細くなっていて、右には段差と広い空間……これは地底湖かしら」
　洞窟の床から手を離し、目を開けたマリエッタの言葉に、豪は地図と照らし合わせる。
「さすがだぜ、マリエッタ先輩！　地図の通りだ。まずは右の地底湖のルートから捜そうと思う。細くなる通路は、迷子には不安だろうし」
　三人が頷くのを確認し、豪はチョークで分かれ道の目印をつけながら進む。
　やがて、一行の前に立ちはだかったのは、２ｍほどの崖だ。
「ここは俺の出番だな」
　先頭に出た高久は、崖を一瞥して凸凹の位置を把握し、頭の中でルートを決めてから、ロープを銜えて挑む。
　両手足を使って慎重に体を持ち上げ、崖の上に到達したら、頑丈な鍾乳石にロープを結びつけて合図。ロープを体で支え、残り三人が登るのを手助けする。
　崖を登り切った前方には、大きな空間が広がっていて。懐中電灯の光に、水面がぼうっと浮かび上がるように見える。
　４つの光が闇を走る中、別の光がちらと動いたような気がした。
「モシモーシ、どなたかいらっしゃいマースか？」
　アカリが懐中電灯を奥へ向けると、小さな悲鳴と何かが壊れる音。
「おいっ、大丈夫か！」
　豪の声と共に、光が一斉に悲鳴の元へ。照らし出されたのは一人の男の子だった。
「ひゃぁああ！」
　彼は光を逃れて鍾乳石の陰に隠れてしまったが、すぐ傍には壊れたガラスのようなものがキラリと光った。
「あれ、ランタンじゃないかしら。あの子が持ってたのよ」
「oh……じゃあ、アカリが驚かせてしまいましたか。ごめんなさいデース」
　マリエッタとアカリは困り顔だが、ひとまず迷子は見つかった、と豪は安堵した。
「おーい、星幽塔から迷い込んだ子って君のことだろ？　俺たちは君を助けに来たんだ！」
「星幽塔のこと、しってる……？」
　豪の声に、男の子は少しだけ岩から顔を出した。しかし、その目はまだ不安そうで、時折背後に視線をやっている。
　高久は密かに地底湖のある空洞を観察した。

（湖に突き出した鍾乳石を伝って行けるだろうが……奥の方に続く通路があるみたいだな……そっちに逃げられたらすぐには追いかけられないし、怪我でもしていたら事だ）

　高久はアカリからノートとペンを借り、『星幽塔の体験を話して気を引けないか』と書いて豪に渡す。
　目を走らせた彼はこくりと頷いた。

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