それはある夜のこと。
友人との夕食を終えて、
志波 高久は寝子島で拠点としているホテルに帰った。コートもマフラーもそのままに、心地よい満腹感と共に体をベッドに投げ出した時。
ポケットのスマートフォンが振動した。
「なんじゃこりゃあ……?」
普段はアイコンが並んでいるはずの画面は、古いテレビのような砂嵐。時折途切れた時に、文字の羅列が浮かんできた。
『ここ、どこ……? 怖いよ』
『うちに帰りたい』
『父ちゃん、母ちゃん、助けて』
それ以降も不安いっぱいのメッセージが続き、合間には動画も流れ出した。
『寒い……あそこに入ろう』
それは、海原に突き出した大きな穴。高久も話に聞いたことがある、寝子島北西端にある洞窟だ。
どうやら、メッセージの送り主が見た光景がスマートフォンに流れているらしい。
高久が気になったのは、送り主の最後の言葉。
『ここ……もしかして、ネコジマ……なの?』
寝子島の住民ならば言うはずのない台詞。観光客もまた然りだ。
「ふぅん……送り主は星幽塔の住人かねぇ。小さな子みたいだし、初めての転移で事情が分からないのかもしれないな」
ならば、警察に通報するわけにもいかない。
しょうがないねぇ、助けるか、とベッドから立ち、リュックから懐中電灯を出したところで。
「うぉっ!? ……と。まさかここは……」
エアコンの効いたホテルの一室から、一瞬で冬の夜空の下へ。
高久は洞窟近くへ強制転移させられてしまったらしい。
「まぁ、いいさ。手間も省けた」
突発の事態にも不敵に笑い、高久は懐中電灯のスイッチを入れた。
皆さまこんにちは! 陣 杏里です。
今回は洞窟探検&迷子救出のシナリオをお送りします。
志波高久さん、ガイドにご出演ありがとうございました。もしご参加頂ける場合は、ガイドに関係なく、ご自由にアクションをおかけ下さい。
シナリオ概要
星幽塔から寝子島の洞窟(地図のB5あたり)に迷い込んだ男の子(NPC)を探し出し、保護するシナリオです。
◆迷い込むNPC――ティム・グロッタ(狐の獣人:7歳:男性)
茶色い髪と目に、同色の狐耳とふさふさ尻尾の男の子です。突然寝子島に転移してしまい、知らない土地に
一人だけで姿も(人の姿に)変わってしまうし、とても心細い思いをしています。
彼はもれいびではありませんが、神魂の影響で一時的に思考が電波に乗ってしまったようです。
PCやTVでもティムのメッセージは見られるでしょう。
出来ること(アクション)
シナリオは主に3つのパートで出来ています。ろっこんは、人目をはばかるなどの記述があれば、問題なく使用できます。
1:導入と探検のパート
洞窟は、入り口部分は海食洞、中身は鍾乳洞となっております。PCさんはガイドのように強制転送で洞窟に送られるもよし、「スマホが変になっちゃった!」という噂をねこったーで見て自発的に向かうかもしれません。友達に誘われたり、夜釣りの最中にティムを見かけたりして、後をつけてもいいですね。
強制転送された場合でも、服や靴など最低限必要なものは持っています。なので、入浴中に転送されても安心です。他に持ち物や服装の指定などがあれば、不自然でないものなら対応できますよ。
冬の洞窟は外よりは暖かく感じますが、コウモリの襲来や地底湖、狭い通路や登るのに難儀する落差もあるでしょう。くれぐれもお気をつけ下さい。
2:ティムを保護するパート
ティムは夜目がきき、すばしっこい男の子です。普段は物怖じしないタイプですが、知らない土地に独りぼっちという状況では、知らない人達(PCさん)が近寄ると、怖がって逃げてしまうかも知れません。
そのため『闇に光る目』とか『子供の泣き声』とか『砂嵐のスマホに届くメッセージ』なんて事態になって、PCさんにとってはちょっとホラーっぽく見えてしまうでしょう。
お菓子や食べ物で釣るなり、ペットを連れて行くとか、星幽塔の体験談を話すとか、何とか工夫してコミュニケーションをとってみて下さい。
3:洞窟からの脱出
何とかティムを説得出来たら、協力して洞窟を脱出しましょう。僅かでも明かりがあれば、彼が危険を教えてくれたり、ロープを結ぶのを手伝ってくれるかもしません。
アクションには以上3つのパートで、「どのパートで一番活躍したいか」「どんな風に困難を突破したいか」を書いてみて下さい。
これにてマスターコメントは以上です。
皆様、一夜の洞窟探検と迷子捜しに挑んでみませんか?
よろしくお願いします。