地下帝国、崩落！？｜リアクション

地下帝国、崩落！？

●裏寝子温泉でキャキャウフフ

「結局、女子更衣室の誕生と相成ったわけですなー」
　初島優が、みんなの話を聞きながらのんびりと湯に浸かっていた。
『そうなの。おかげで　みずぎに　きがえられて　よかった』
　海もようやく全身でお湯を楽しむことができ、笑顔がこぼれた。
　お湯はとても気持ちがよかった。
　優の仕事、メカナマズさん製造工場予定地への機材搬入はまだ半ばだが、お風呂からあがったらまた続きをがんばろうという気力が湧いてくる。そうそう、士にシャケバスのことも頼まれてたっけ。

「梨香せんぱーいっ！　お背中流しますー！」
　雑談広間で休んで復活した深民実々が、また梨香を追っかけまわしている。
　赤き湯三銃士たちも、お風呂に入って疲労回復、みごと復活を果たしていた。
「ふーっ。ほんとに疲れたけど、頑張って良かったっ。温泉でゆっくりできて気持ちいいー」
　赤き湯三銃士たちの疲労の原因、維都月茉菜は相変わらず天使の笑顔だ。
「眼福眼福～」
　復活した赤き湯三銃士のひとり、冴木竜司は、ゆるい口元を隠しもせず、水着姿の女性たちを見つめていた。どういうわけか赤褌姿で。
「竜司ちゃんセンパイ、よく似合っているのだ！」
　後木真央が、赤褌が入った段ボールの前で満足そうにしていた。真央は水着が要ると聞き、猫鳴館玄関に置いてあった赤褌を段ボールごと持ってきたのだ。タオル一丁しか持っていなかった竜司だが、真央の赤褌のお蔭でもう大丈夫。温泉を満喫し放題である。
「これは猫鳴館のだから誰でも自由に使えばいいのだ」
　だそうなので、男子諸君よかったら使ってください。

　その後真央はフィリアを見つけて、「星ヶ丘のパンツ泥棒！」と大騒ぎしたのだが、猫鳴館に敵対しない約束を交わしたと知り矛先を収めた。拷問官・桃原空音に至っては、猫鳴館のイメージアップのために、と拷問室に置いてあったコスプレ衣装をフィリアにプレゼントしようとしたが――どういう理屈か深く考えてはいけない――、苦笑いとともに丁重に断られた。

「この温泉の成分だけれど」
　邪衣士は、いいなの進言があったことは伏せて、温泉の成分がわかるかどうか梨香に尋ねた。梨香ははっきり専門的な調査をしたわけではないけれど、と断ったうえで、わかったことを教えてくれた。
「温泉成分として、とくべつおかしな点は見つからなかったわ。赤みがあるのは、鉄分のせいね。一般に含鉄泉は皮ふ疾患などに効能があるというから、もしかしたらここもそうかもしれないわね」
　入浴に問題はないということのようである。

　赤き湯三銃士のひとりとしてばったり倒れたときに転んで、ろっこん＜にょたいかっ！＞が発動したのか、難波辰はかわいい女の子姿で、温泉タマゴづくりに挑戦していた。
「沢山あるから皆で食べるでー！」

　そんなこんなで和気藹々。
　桃ライオンが見守る中、裏寝子温泉はこれからもみんなの憩いの場として賑わうことだろう。

このページにイラストを設定する