【寝子祭2nd】寝子高水泳部　真冬のかき氷屋さん｜リアクション

【寝子祭2nd】寝子高水泳部　真冬のかき氷屋さん

●寒さ堪えて

　水上桜は、テキパキと案内から給仕、かき氷の製作を淡々とこなしつつ、こたつでかき氷を食べている客に様子を見ている。
　客はこたつに入って温かい飲み物を飲んで温まったりしているが、背中に冷たい風が吹きつけられるのでそこだけ寒い。
　今のところ喜んで食べている、体調を崩している様子は見られないのでそれはそれでよしとしよう。
　それからしばらく経った頃、客の１人がブルブルと震え始めた。
「大丈夫ですか？」
　具合が悪そうだったので、温かいお茶を飲ませてから保健室に連れて行くことに。
「野々さん、私の代わりに注文聞きとかしてくれませんか」
　少し客が増えたので、野々ののこにも手伝ってもらおうと声をかけるが返事が無い。
　こたつを見渡すと、他の客と金たらいの器のたらいかき氷を食べて遊んでいるののこがいた。
「かき氷たのしーい♪」
　いつの間にか客に混じってたらいかき氷を食べていた。
（そういうことだろうと思いました）
　やれやれ、と肩をすくめる程度にとどめ、仕事も忘れないでくださいね、と客を保健室に連れて行った。
　
　客の中には体調を崩すだけでなく、唇が紫になったり、顔がやや青くなっている客もいた。
「んぁ？　唇が青くなってきてるお客さんがいるのだ。ののこー！　温かいのみものを運んでほしいのだ、よろしくなのだ！」
　唇が青くなった客に駆け寄り、李小麗は、ののこにそう頼むが一向に来る気配がない。
　お客さんと一緒に楽しんでいる場合じゃないのだ、と思ったが、このままでは客が倒れてしまいそうだ。
　小麗は「ちょっと待つのだ」と大急ぎで温かいお茶を取りに行った。
「これを飲んで温まるのだ」
　すみません……と謝りながら、客は小麗が持ってきたお茶をゆっくりと飲む。
　ののこは何をしているのだ？　と客のほうを見ると、たらいかき氷をあっという間に食べ終え、バケツかき氷に挑んでいる最中だった。
　見ているだけで寒くなったので、ののこを見ないように小麗は別の仕事をすることにした。
　他に具合が悪そうな客がいないか見張っている小麗だったが、今のところは大丈夫そうだった。

　保健室から急いで戻ってきた桜は、率先してかき氷を作っている雨崎荒太郎からできたものを受け取り、こたつに運ぶ。
「イチゴとメロン、お待たせしました」
　桜の衣装は春仕様のメイド服なので生地が薄いので寒い。それでも、客に喜んでもらいたい一心で頑張っている。
　注文を取ったり、出来上がった品を運んだり、後片付けをしたりと休む暇がないくらい動き回っているので次第に温まってきた。
　少し忙しくなったので、ののこに手伝ってと声をかけるが、相変わらず他の客と一緒にかき氷を楽しんでいる。

「よーし、チャレンジメニューいってみよー」
　荒太郎が作っているのは、ポリバケツが器のルーレットかき氷。
　ルーレットの結果、出来上がったものは激辛、激甘、激苦の三種混合。
（これ、食べられる人いるのかな……）
　と思いつつ、氷にシロップをかける。

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