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- 00月00日生 00歳
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補習危機一髪！ ～白い魔弾とウザイ奴～
【文系ちゃんと理系ちゃん】
鬼崎 あやめは焦っていた。
元々頭がそんなによろしくない彼女だが、数少ない得意科目のはずの日本史でも赤点をとってしまったのだ。
故に今彼女はここにいる。
しかし問題なのは補習自体ではない。
（このままじゃ、お兄ちゃんや可愛い義妹にも心労を掛けさせちゃう！）
あやめは頭の良い義妹が自分の赤点テストを見た時の顔が忘れられない。
あの、信じられないようなものを見る目。
姉としての威厳はガラガラと音を立てて崩れ去った。
（留年は、ダメ。留年なんかしたら……死ぬ！）
義妹は今中3、そして彼女が慕うお兄ちゃんは同級生だ。
つまり留年すればお兄ちゃんと別れ、義妹と同じ学年となってしまう。
あやめとしてはどうしても避けたい事態だった。
（だから、集中、集中……）
しかし、赤点を取ってしまったとはいえ得意の日本史や現国ではなく、最初から赤点が決まっていたとも言える教科。
約束されし赤点の使者こと英語と向かい合った彼女は高らかに叫んだ。
「なんですか、この文字。全く読めません！」
「鬼崎、そういう恥ずかしい事は口に出さないでおこうか」
「ひゃい！ す、すみません！！」
ウォルターが投げたチョークが頬を掠め、あやめは半泣きで再び英語と向き合う。
（うう、日本語を世界標準語にして下さいっ……もうＡＢＣなんてあいうえおでいいじゃないですかっ……！ ＡもＢもＣも嫌いっ……そしてっ！）
「……や・め・ろ」
『！？』
あやめは体をまさぐってセクハラ三昧をしていたサンマさんを黒いオーラを吐きだしながら牽制する。
落書きサンマさん相手にろっこんの効果は出なかったが、それでも彼女の黒い笑みには有無を言わせぬものがあった。
あやめの豊満な胸に顔を埋めていたサンマさんは、へこへこと頭を下げながら後退し、ポンッと音を立てて消えた。
「ふぅ、これでようやく集中できます。それにしても本当にアルファベットなんてブラのサイズさえ解ればそれで」
「よくないよね？」
「ひゃ、ひゃい……」
大きな独り言を再び咎められたあやめの額には白い魔弾がもれなく撃ち込まれた。
ガラリ。
至る所で落書きサンマさん達が鬱陶しい妨害をし、生徒らが密に応戦している中。
教室の扉が不意に開かれた。
ウォルターと何人かの生徒の視線がそちらに向く。
「あれ、大天使じゃない。どうしたの、君は別に補習とか必要ないと思ったんだけど」
扉を開いて教室にふらりと現れた生徒、大天使 天吏の姿を見てウォルターが首を傾げる。
天吏は喜怒哀楽の感情が表に出ることが殆どなく、何を考えているのかいまいちわかり辛い不思議な女子生徒だったが理系科目の成績は非常に優秀だった。
授業態度こそぼんやりしているように見えても申し分ない成果をだす彼女が補習に顔を出すのが余程予想外だったのか、ウォルターの顔は本当に不思議そうにきょとんとしていた。
「鳥がね、飛んでいったの。綺麗だったから」
「鳥？ ……まぁ、補習の邪魔しないように適当に空いてる席に座りなよ。他の生徒も気にしてるし」
そう言って天吏に着席を促してから窓を見遣れば、確かに尾の長い綺麗な小鳥が一羽止まっているのが見える。
「あれ、もしかして三光鳥……？寝子島は生息地域からずれてる気もするけど」
『ツキ、ヒ、ホシ、ホイホイホイ』
特徴的な鳴声で囀る小鳥をウォルターはサンコウチョウと呼んだ。
「先生、サンコウチョウってなんです？」
耳元でしょうもないギャグを連発してくるサンマさんに突っ込み疲れをしていた浅沼 柳司は、蚊を叩く要領でサンマさんを叩き潰した派手な音をごまかすように聞き慣れない鳥の名前を尋ねた。
「ああ、三光鳥っていうのはね」
「三光鳥、学名はTerpsiphone atrocaudata。スズメ目カササギヒタキ科に分類される鳥。くちばしと目の周りが青く、オスは体長の三倍ほどの長さの緒を持っているのが特徴。全長はオス45cm、メス17cm程度。繁殖の為に日本へ夏鳥として渡来する。本州以南の暗い林に主に生息。繁殖後はスマトラに渡って越冬する。囀声が月・日・星、と聞えることから、三光鳥と呼ばれている」
ウォルターが答えるより早く答えたのは席に着こうとしていた天吏だった。
柳司は面喰って目を瞬かせ、ウォルターは笑顔でぱちぱちと手を叩いた。
「その通り、完璧な回答をありがとう。ちなみに同じく三光鳥と呼ばれる鳥にイカルっていうのもいるんだよ。何にせよ、寝子島では普通お目にかかれない鳥のはずなんだけど。珍しいこともあるもんだね」
ウォルターに褒められても天吏は得意げな様子もなく。
三光鳥が窓から飛び立ったのを確認してから鞄から数学の本を取り出し、読み始めたのだった。
鬼崎 あやめは焦っていた。
元々頭がそんなによろしくない彼女だが、数少ない得意科目のはずの日本史でも赤点をとってしまったのだ。
故に今彼女はここにいる。
しかし問題なのは補習自体ではない。
（このままじゃ、お兄ちゃんや可愛い義妹にも心労を掛けさせちゃう！）
あやめは頭の良い義妹が自分の赤点テストを見た時の顔が忘れられない。
あの、信じられないようなものを見る目。
姉としての威厳はガラガラと音を立てて崩れ去った。
（留年は、ダメ。留年なんかしたら……死ぬ！）
義妹は今中3、そして彼女が慕うお兄ちゃんは同級生だ。
つまり留年すればお兄ちゃんと別れ、義妹と同じ学年となってしまう。
あやめとしてはどうしても避けたい事態だった。
（だから、集中、集中……）
しかし、赤点を取ってしまったとはいえ得意の日本史や現国ではなく、最初から赤点が決まっていたとも言える教科。
約束されし赤点の使者こと英語と向かい合った彼女は高らかに叫んだ。
「なんですか、この文字。全く読めません！」
「鬼崎、そういう恥ずかしい事は口に出さないでおこうか」
「ひゃい！ す、すみません！！」
ウォルターが投げたチョークが頬を掠め、あやめは半泣きで再び英語と向き合う。
（うう、日本語を世界標準語にして下さいっ……もうＡＢＣなんてあいうえおでいいじゃないですかっ……！ ＡもＢもＣも嫌いっ……そしてっ！）
「……や・め・ろ」
『！？』
あやめは体をまさぐってセクハラ三昧をしていたサンマさんを黒いオーラを吐きだしながら牽制する。
落書きサンマさん相手にろっこんの効果は出なかったが、それでも彼女の黒い笑みには有無を言わせぬものがあった。
あやめの豊満な胸に顔を埋めていたサンマさんは、へこへこと頭を下げながら後退し、ポンッと音を立てて消えた。
「ふぅ、これでようやく集中できます。それにしても本当にアルファベットなんてブラのサイズさえ解ればそれで」
「よくないよね？」
「ひゃ、ひゃい……」
大きな独り言を再び咎められたあやめの額には白い魔弾がもれなく撃ち込まれた。
ガラリ。
至る所で落書きサンマさん達が鬱陶しい妨害をし、生徒らが密に応戦している中。
教室の扉が不意に開かれた。
ウォルターと何人かの生徒の視線がそちらに向く。
「あれ、大天使じゃない。どうしたの、君は別に補習とか必要ないと思ったんだけど」
扉を開いて教室にふらりと現れた生徒、大天使 天吏の姿を見てウォルターが首を傾げる。
天吏は喜怒哀楽の感情が表に出ることが殆どなく、何を考えているのかいまいちわかり辛い不思議な女子生徒だったが理系科目の成績は非常に優秀だった。
授業態度こそぼんやりしているように見えても申し分ない成果をだす彼女が補習に顔を出すのが余程予想外だったのか、ウォルターの顔は本当に不思議そうにきょとんとしていた。
「鳥がね、飛んでいったの。綺麗だったから」
「鳥？ ……まぁ、補習の邪魔しないように適当に空いてる席に座りなよ。他の生徒も気にしてるし」
そう言って天吏に着席を促してから窓を見遣れば、確かに尾の長い綺麗な小鳥が一羽止まっているのが見える。
「あれ、もしかして三光鳥……？寝子島は生息地域からずれてる気もするけど」
『ツキ、ヒ、ホシ、ホイホイホイ』
特徴的な鳴声で囀る小鳥をウォルターはサンコウチョウと呼んだ。
「先生、サンコウチョウってなんです？」
耳元でしょうもないギャグを連発してくるサンマさんに突っ込み疲れをしていた浅沼 柳司は、蚊を叩く要領でサンマさんを叩き潰した派手な音をごまかすように聞き慣れない鳥の名前を尋ねた。
「ああ、三光鳥っていうのはね」
「三光鳥、学名はTerpsiphone atrocaudata。スズメ目カササギヒタキ科に分類される鳥。くちばしと目の周りが青く、オスは体長の三倍ほどの長さの緒を持っているのが特徴。全長はオス45cm、メス17cm程度。繁殖の為に日本へ夏鳥として渡来する。本州以南の暗い林に主に生息。繁殖後はスマトラに渡って越冬する。囀声が月・日・星、と聞えることから、三光鳥と呼ばれている」
ウォルターが答えるより早く答えたのは席に着こうとしていた天吏だった。
柳司は面喰って目を瞬かせ、ウォルターは笑顔でぱちぱちと手を叩いた。
「その通り、完璧な回答をありがとう。ちなみに同じく三光鳥と呼ばれる鳥にイカルっていうのもいるんだよ。何にせよ、寝子島では普通お目にかかれない鳥のはずなんだけど。珍しいこともあるもんだね」
ウォルターに褒められても天吏は得意げな様子もなく。
三光鳥が窓から飛び立ったのを確認してから鞄から数学の本を取り出し、読み始めたのだった。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2013年08月26日
- 参加申し込みの期限
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- 2013年09月02日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2013年09月02日 11時00分
