ファイヤー！　シーサイド激辛フェスティバル｜リアクション

ファイヤー！　シーサイド激辛フェスティバル

●甘そうに見えて実は激辛

　マーガレット・ライカーが辛いのが苦手なのは知ってるが、修業的なものを一人で黙々と食べるのも悲しいからと響蒼留人は何か食べるのを付き合ってもらうことにした。
　何がいいだろう……と屋台を見回して決めたのは、何これ？　激辛ハバネロパフェ。
　一見するとイチゴ味のパフェに見えるが、実は唐辛子味という意表を突く辛味スイーツである。
「このパフェ変わってるらしいんだが、食べてみないか？」
　マーガレットの食後の不機嫌そうな様子に、失敗したかなと思いながら勧める。
「パフェ？　そうですね、口直しにいいかもしれません。一口程度なら……」
　何故これを？　と聞かれたので「はは……まあ怖いもの見たさってやつかな……」と蒼留人は苦笑する。
「見た目だけ似てる別物だからな」
「たしかにそうですけど、辛いものには変わりないでしょう」
「……そう言われるとそうかもな」
　辛いものを食べ続けるのがしんどくなってきたので、ハバネロパフェに挑戦する前に口直しにと甘いものを買うことに。

　甘いものを食べると、１０倍カレーの辛さが少し和らいできた。
　和らいできたので「さあ、挑戦だ！」とハバネロパフェを買ってマーガレットの前にデン！　と置く。
「辛さ１倍だからマガレでも食べられると思うんだが」
　それなら……とマーガレットはハバネロパフェを一口。
「って、これ辛っ！　しかも、イチゴじゃない？　見た目はイチゴパフェなのに、イチゴ不在？」
　パフェを見ると、マーガレットがイチゴだと思っていたものはハバネロだった。
　一見すると細かく切ったイチゴのように見えるが、じっくり見ると、細かく切ったハバネロだということがわかる。
「響君……正直これは、いりますかね？」
　さすがにここで吐き出すわけにもいかないので、乙女の嗜みと口元をナプキンで拭った後、率直な感想を伝える。
　ちょっと静かな怒りに眉根が吊り上がっていたかも、というのが不安なところ。
「これはパフェに対する冒涜ですね。カレーライス、スープカレー、担々麺も辛いものですし、いくら辛くても許されるでしょう」
　脳がパニック起こすやつですよね、この激辛パフェ。と付け加える。
「しかし、激辛パフェ、これはどうなんしょうか？　パフェとは甘いものですよね？　甘いマスクの人畜無害キャラだと思ったら、鬼畜キャラだった。みたいなギャップ萌えは不要です」
　残すのは勿体ないと、残りのパフェは蒼留人が食べることに。
「甘いものが好きなのにとっては、このパフェは冒涜だろうな、たしかに。俺も、これはもういい」
　ハバネロパフェを完食したところで、買える前にお持ち帰りＯＫなものはないかと２人で探す。
「辛いやつはないかな、あいつの土産にするんだが」　
　あいつへのお土産にするものは当然、激辛メニューである。
　まだ我慢大会のことを根に持っているようで、と呆れながら、蒼留人のお土産選びに付き合うマーガレットだった。

　蒼留人達がお土産探しをしている頃、大江戸マンモスがハバネロパフェ１０００倍に挑んでいた。
「辛いぃぃぃ！　甘いもののはずなのに辛いぃぃぃ！　パフェを馬鹿にしてんじゃねーぞ！」
　絶叫しながら、すごい勢いで食べている。何がそこまでマンモスを駆り立てているのだろうか。
「１０００倍、食べている人がいるのね」
　少し離れたフードコーナーでハバネロパフェを食べていた伊藤佳奈と楡宮遠海が食べているものは１００倍。
　１０００倍ほどではないが、これもかなり辛い。
　遠海に牛乳と乳酸飲料をわけてもらった佳奈は、口直しをするとハバネロパフェを食べ続けた。
　遠海も負けられない、と食べ続ける。

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