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花が届けるひとつの天啓
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【重なり合う音色の行方】
「おはよう、ましろ。今日もいい天気だな」
きらめく眩しいカーテン越しの光が、眠っていた顔にまで届く。
滝原 レオン
はそれを目にしながら、傍にいるぬいぐるみのましろに挨拶をして、一つ大きく寝起きの伸びをした。
馴染みのあるいつもの自分の部屋。しかしふと見渡してみると、その一角の机の上に、見覚えのない物が光に照らされて乗っている。
「なんだ、こりゃ……?」
レオンが机をじっと目をやれば、机の上は淡く青く輝いているように見えた。
足を伸ばして確認すると、そこには一房の青いワスレナグサが置かれている。
「布で、出来てる。こんなもん、いつ置いたっけかな……?」
レオンが不思議そうに首を傾げる。手芸には一角の才があるレオンだが、花をここに置いた覚えもなければ、まずこれがいつ作ったものなのかの記憶もない。
見つめていても疑問が深まるばかり。疑念を傍らに、レオンは改めて自分の記憶から確認する為、そのワスレナグサを手に取った。
とても馴染みのある布の質感。しかし、見れば見るほどこれを作った記憶はない。
レオンが訝しげに眼前に花を持ち上げる。すると脳裏に突然、魔法のように言葉が落ちてきた。
【誰かを思い浮かべながら花を手にして祈ると、
思い浮かべた相手が自分をどう思ってるかがわかる】
「え──?」
それとほぼ同じタイミングで、同じ屋根の下に住むレオンの弟、
滝原 カノン
が顔を上げた。
きっかけは、レオンと時をほぼ同じくして、カノンが目覚めた時のこと。
部屋の床に、花が落ちていた。その一房の中には、複数の小さくて青い可愛らしい花が付いている。
「なんだろう……?
あれかな、図鑑で見た気がするけど……ワスレナグサって花に似てる」
カノンは花の名前に心当たりを見いだして、落ちていた花房に手を伸ばした。
指でそっと茎を摘まみ上げてみれば、手には真っ先に植物の瑞々しさではなく、温かさとも思える布の手触りが伝わってくる。
「布でできてる……にーちゃんのかな?」
カノンの中で浮かんだ姿は、自分の兄であるレオンのこと。手が器用で、いつもカノンが見ている前で、ただの布から様々な物が魔法のように作り出されるのを目にしてきた。
これもその一端だろうか。そう思った矢先──声が聞こえた。
【誰かを思い浮かべながら花に向かって「教えて」と呟くと、
思い浮かべた人が自分をどう思ってるかがわかる】
「あ……」
文字通り、頭の中に降って湧いたような言葉。それを聞いてカノンが思い浮かべたものは、やはり兄であるレオンのことだった。
カノンにとってレオンは、いつも頼りがいがあって、本当に大好きな存在。今も、その顔が、姿がはっきりと心に映る。
でも──その兄は、自分の事をどう思っているのだろう?
(……本当は、おれのこと嫌いかもしれない)
ふつり、泡のように浮かんだ言葉は、鉛のように重たかった。
(
おかあさん
みたいに、おれのこと邪魔だって思ってるかもしれない)
『そうじゃない』──今までカノンは、レオンの優しさを受けて、何度となくその疑念を一人で潰してきたけれども。
(そうじゃないって、思ってた。思いたかった)
だが、それを兄に直接確認するには、カノンにはあまりにも荷が重すぎた。
もし母と同じ事を言われたら。それはカノンにとって、存在の終わりにも等しかった。カノンには、声に出し言葉にして兄にそれを確かめるのは、あまりにも怖ろしいことだった。
(花を手にして祈れば、相手がどう思っているのか分かる……)
レオンがそのひらめきを聞いて、無意識に近く呼吸するように思い浮かべたのは、弟カノンのことだった。
事情で幼い頃に互いに離ればなれになった、大事な、そして大切な弟──
(……カノンは、喜んでくれていたけれども)
再び会えたとき、弟は自分との再会を喜んでくれた。
しかし──レオンの心に陰が差す。
(……もしかしたら本当は、俺のことを嫌ってるんじゃないだろうか)
心のどこか、片隅でずっと燻るように引っ掛かっていたその思い──意識をすれば、それは浮かぶ弟の笑顔を曇天のようにくもらせた。
過去、二人には離ればなれにになる前に誓った約束があった。
『ずっと一緒だ』
だが、大人の影響力の大きさに呑まれた子供には、それは守れない約束でもあった。
望まずも、はかなく破られた二人の約束。離れた後の弟を取り巻いた環境は、聞いただけでもレオンには辛く苦しく、心が破れそうになるものだった。
……約束を守ってやれなかった。傍にいられれば、せめて自分が弟を守ってやれたかもしれないのに。
(本当は、恨んでいるんじゃないか)
今更、確認なんて出来なかった。ただ……それが怖かった。
──しかし、この花は教えてくれるという。
今更、そして怖くて聞けない、この思いに。
「……教えて」
カノンが、ぽつりと花に伝える。
出されるかもしれない答えに怯え、それでも知りたいと願う想いを寄せて。震える声で、押し出すように。
レオンが、手を添え花へと祈る。
瞳を閉じて握る指は硬く、意志は強く、それでも思いに縋るように願いを掛けた。
──沈黙が訪れ、互いの存在を想い合う時間だけが過ぎた。
「……」
どのくらいの時間が経ったのか。
どちらからともなく、その沈黙に諦めの色を示す。
伝えても祈っても、やはり何も起こらない。ついたため息は、距離を経ても二人同時のものだった。
「気のせいだったのかな……」
「……やっぱり、気のせいか」
数枚の壁を挟んだ向こう。その距離では、期待に失望したお互いの様子も、声も聞こえる筈もない。
だが、
「え──?」
瞬間、二人は確かに互いの声を耳にした。
【大好きな弟、大事な家族。俺のいちばんの宝物】
カノンの元に、その声はまるで、頭を撫でられているかのような温かさを伴って。
【一緒にいられてうれしい。これからもずっと一緒だといいな】
レオンの元へは、それはまるで陽の光をはらんで吹いた春風のような柔らかさを寄り添わせて。
「今の、声……!」
互いに慌ててドアを開けて周囲を見渡した。
今まで同じであった出来事は、我に返った僅かな時間の差を挟んで、ここで顔を合わせることはなく。だが、もし顔を合わせたとしても、互いに聞こえた声は、そのタイミングはもちろん、ドア越しでは決して有り得ない程に明瞭であったことに、すぐ思い至るだろう。
そのような、いてもいなくても、疑問を避けられなかった不思議な感覚を伴って、レオンとカノンはそれぞれ自分の部屋に戻ってきた。
そして、耳だけではなく、互いの心に焼き付いた声を振り返る。
「──これからも、ずっと一緒……か」
その耳に、心に、はっきりと響いた大切な弟の言葉。
レオンは、胸が熱くなるのを抑えて、その場で手に花を持ったままに目を閉じた。
「──大好きで、いちばんのたからもの……
にーちゃん、おれのこと嫌いじゃなかった……!」
今も温かく響いている、大好きな兄の声。
それを口に出すと、カノンの瞳がじわりと温かさで揺れた。嬉しくてそれ以上の思いが浮かばず、カノンの目からはいくらパジャマの袖で拭いても間に合わない程の、大粒の涙が零れて落ちた。
しばらくの時間が流れて。カノンは朝食に向かう前に、洗面台で顔を洗いながら自分の様相を確認していた。
あの言葉を思い出すだけで、胸は、表情は、幸せに溢れて笑みが零れる。
ただ気になったのは、鏡に映っていた赤い目じりと涙の跡。カノンにとっては本当に心嬉しいことであったから、気にすることではないとは思うものの、このままレオンや祖母の前に顔を見せればきっと無用の心配を掛けてしまうだろうから。
顔をきちんと洗った後、そのまま何回か目蓋に冷たい水を当てる。そしてふわふわのタオルで顔を拭けば、鏡の向こうにはいつも通りのカノンがいた。
「うん、これならだいじょうぶ」
そうして、心に残る感動にも似たじんわりとする想いを抱えながら、カノンは朝ご飯を食べに居間へと向かった。
「おはよー」
居間に入ると、既に並べられた朝食が美味しい香りを漂わせている。そして、いつもの席には既にレオンが座っていた。
「おう、おはよう」
こちらを向いて、兄がいつも通りの挨拶をしてくれる。そして、カノンはもう、それが『嘘でも建前でもない』ことを知っている──
今日、何度目かも分からない充足した想いに、カノンはいつしか、そのようなレオンの姿に、どこからともなく表情を崩して、大きく笑顔を浮かべていた。
「どうしたんだ? 何か嬉しいことでもあったのか」
少し不思議そうな表情を浮かべてレオンが訊ねる。
「んー? 別になんでもないよ?」
今は、その兄の声一つ一つも、全部素直に受け止められることが、カノンの心に幸福をあふれさせて仕方がない。
でも起きたことを包み隠さず話すなど、恥ずかしくて出来そうにないから、カノンは笑ってその場を誤魔化すことにした。
レオンはしばし考える。
(カノン、何かあったんだろうな)
カノンはまだ小学生でとても分かりやすく、レオンにもそこまでは理解が出来た。しかし、やはりそれ以上は分からない。
(今日の出来事と関係……ないか)
一瞬、レオンは今朝自分に起きたことが、カノンにも起きたのだろうかと考えたが、カノンが何でもないと言っている以上、真相は闇の中だ。
だが──その笑顔は、もう『嘘でも建前でもない』ことを、レオンは知っている。
(恨まれてもいない。俺のせいで苦しんでもいない……)
その上で、こちらに向けてくれる屈託のない笑顔。ならばそれで十分ではないかと……そう思えば、レオンは感情の端、いつしか口許にはこっそりと微笑が添えられていた。
お互いに不可思議すぎて、しかも内容は相手に込み入りすぎていて、その出来事を深く話すことでもない。
しかし、胸の内が、あれは『事実であり、本当なのだ』という確信を与えてくれている。
ならばどうして、この心の至福を誤魔化す必要があるだろう。
今も、今朝の出来事と同じように、互いの姿が心に響く。
浮かべる微笑みの度合いは違えど、心にある想いは同じ。
「いただきます」
嘘偽りもなく、心にわだかまりも何もない。大切な想いだけがある存在と一緒に食卓を囲む。
それは、二人にとって、目に映る世界が変わって見える程に、全てが愛しく感じられるものだった。
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あとがき
担当マスター:
冬眠
ファンレターはマスターページから!
ご参加いただきました皆様、最後まで読んでくださった皆様、誠に有難うございました。MSをつとめさせていただきました冬眠と申します。
今回のシナリオは花についてと、ひらめきや天からの囁き的なものをテーマにさせていただきました。
それだけですと物足りないかなと思い、せっかくなのでおまかせ要素と致しまして、過去に少し触っていた『占い』をリアクション内容に混ぜ込ませていただきました。
思いの外、おまかせを多くいただけまして、そちらもとても嬉しい思いで執筆させていただきました次第です。
占った結果『え、本当にこれお任せなの?』という内容(占ったMS本人が思うようなもの)もございましたが、逆に占い結果でなければ、勇気がなくてとてもお伝えできなさそうなものばかりでしたので、たまにはこういうものもあると、お気軽に見てやっていただければ幸いでございます。
この度は、個別あとがき等は事情によりお届け出来なかったのですが、どちらのアクションも、全て例外なくどきどきしながら執筆の程を行わせていただきました。
今回も素敵な機会をいただきまして、本当に有難うございます。
それでは、この度は有難うございました。
ご縁とご機会がございましたら、またお目に掛かれますことを心より願いまして。
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担当ゲームマスター
冬眠
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年10月16日
参加申し込みの期限
2019年10月23日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年10月23日 11時00分
参加キャラクター一覧
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