this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
この目の前にある手
<< もどる
1
…
2
3
4
5
6
…
7
つぎへ >>
【其処にあるのは未来の輝き】
今日は夏の日にしては、とても涼しい朝だった。日差しもある、青空もある。だが今、祖母の隣で縁側に座る
滝原 カノン
の側を吹き抜ける風は、とても心地の良いものだった。
空を見上げれば、純白の綿の切れ端を浮かべたような雲が眩しかった。
見ていると、心が沸き立つ。元気になる。少し遠いかなと思っていた未来に、手が届きそうな気がする。
「あのね、おばあちゃん。おれ、大きくなったら警察官になりたいんだ!」
カノンの言葉は唐突で。それでも、夏の日差しだけではない光を宿した瞳には、それを思い口にするだけの理由があるに違いない。カノンの隣に座っていた祖母は、カノンに微笑んでその先を促した。
「え、なんでって? ──あのね、おれが島に来る前の話なんだけどね」
カノンが寝子島に来る前の事情は、何よりもよく分かっていた。それを知り、祖母はカノンを引き取った。
それは、とても切なく悲しい話だ。
それでも『寝子島に来る前の話』と聞いた祖母は、その話を遮らなかった。
何故ならば、その話そうとするカノンの瞳には、過去の土砂降りような暗雲とは程遠い、未来の煌めきが宿っていたから。
眩しさを灯す心に理由を尋ねられたのは、とても嬉しくて、カノンは、過去を振り返りながら語り出した。
◆
それはカノンが祖母に引き取られて寝子島に来る、その前のこと。
『お荷物のくせに! どうして生きてんのよ、ねえ!?』
手の甲で、顔を払い打たれた。
『生きてるだけで、私の邪魔ばかり!』
お腹を蹴られて、全身が強く壁にぶつかった。
『生まなきゃ良かった。早く死ね』
カノンがうずくまる。身体中が痛くて、息することもままならない。
(おれはいないよ、おれはいないよ……)
身体が痛くて殆ど動かない代わりに、恐怖で心が歪に震えた。消えてしまいたかった。消えてしまわなければ、もっと『おかあさん』に酷い事をされてしまうから。
泣いても無駄だった。声を上げれば『その声が耳障りだ』と更に蹴られた。殴られた。
それから、予兆もないある日。
家に良く分からない男と来た母は、倒れているカノンを一度、これでもかと言うほどに強く蹴り飛ばして、男と一緒に家を出て行った。
意識の遠くで、ドアの閉まる音が聞こえた気がした──
それから目の端にあった遠くの窓が、数度、暗くなって明るくなった。
しかし、いつもろくな食事もとらせてはもらえなかったが、逆にこんなにも何もない時間は過ごした事も無かった。不思議に思ったカノンはふらつきながら立ち上がり、玄関のドアを開けようとして──それが、中からは開けられないようになっているのだという事に気がついた。
幼心にも分かった。閉じ込められたのだと。死ぬまで、見捨てられたのだと。
覚束無い足で、何度も玄関のドアを引っ張った。無駄な足掻きだった。側の窓を割ろうとしたが、そんな力などは残っておらず徒労に終わった。
そして、ついに立っていられなくなったカノンは、部屋の中央で転がるように横になった。
熱さや寒さなど、直接命を削るものはなかったけれども、空腹だけは如何ともしがたかった。
(……おれ、このまま死んじゃうのかな……)
出来ることはやり尽くしてしまった。
後はもう死ぬ以外の選択肢──否。選択ではなく、ただその事実が待ち受けているのみとなった時、
「誰か! 誰かいるんですか!?」
突然──強く、ドアを叩く男の人の声がした。
カノンの遠くにあった意識が、その瞬間、ほんの僅かながらも明るくなったような錯覚がした。
少なくとも──明瞭ではない意識ではあったけれども、ここで返事をしなければ、自分は本当に死んでしまうという確信があった。
「た──す……」
殆ど感覚のない身体で、声を上げようと息を吸いそれを言葉にしようとする。しかし、何日も話していない喉は、殆どその息を声にしてはくれなかった。
カノンは、眩暈のする身体で何とか立ち上がって、
何度も助けてを言おうと繰り返して、
玄関のドアの前で、ついによろけて転がって。それでもカノンは、最後の力を振り絞ってドアに叫んだ。
「助けて……!」
外から、内側から開けられないように、施錠されていたドアを破壊する音が響く。
霞んだ目で見たカノンの瞳に、開け放たれたドアからは眩しいまでの朝日が見えた。
警察らしい人が何人も飛び込んできた。
視線の先で倒れているカノンの姿に場の皆が驚いたが、その意識があるのを確認して、警察官の一人がほっとしたように微笑んだ。
『よく頑張ったね』
そう言って、警察官はカノンに手を伸ばして、その身を力強く助け起こした。
その時に掛けられた言葉は。カノンの今までの全てを報う言葉として、確かにその胸に焼き付いたのだ──
◆
「その時のこと、今でもはっきり覚えてるんだ。
だからね、おれ、警察官になりたい。
おれも困ってる誰かに手を伸ばしたいから」
──それは、とても明るいとは言えないものだった。心に残る生涯の傷となってもおかしくはなかった。
だが、カノンは告げた。
自分が受けた悲しみではなく、悲しみだけでなく『そんな己を、救い出してくれたような存在に、自分もなりたい』と──
……こう、話してくれた目の前の存在は、ここに来た当初よりも、今確かに、明らかな一歩を進むことが出来たのだ。
それら全てを、じっと耳を傾け聞いていた祖母は、心からの幸せと共にカノンの頭を撫でて微笑んだ。
「えへへ……」
その微笑みを見たカノンも、今自分の胸にいっぱいに溢れる嬉しさを肯定してもらえたような幸福に、満面の笑みを浮かべてみせた。
<< もどる
1
…
2
3
4
5
6
…
7
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
この目の前にある手
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
冬眠
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年01月21日
参加申し込みの期限
2019年01月28日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年01月28日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!