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花が届けるひとつの天啓
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【そこにある海】
心地良い秋風が吹く日。しかしそれとは裏腹に、
志波 武道
の心は溢れかえる落ち込みと僅かに滲む諦念で染め上げられていた。
「なんだろー、過ごしやすくはなったけど……」
学校帰りに、ずっとそれについてを振り返り、下宿先である旧市街商店街内の米屋『美咲』の玄関を潜っては深いため息をつく。
本日、武道はここしばらくでは稀に見る程のミスを繰り返してきた。
授業では数式を間違え、苦手科目の漢文では教科書を取り違え……その他にも、数え切れない失態の数々。
それ故に、せめて手伝いだけでもと、気を入れ直して下宿先の手伝いを始めたのだが──
「わっ──! すみません!」
そこで起こった事は、もう何度謝る言葉を口にしたかも覚えていないような有様だった。
「今日はどーもダメダメ……きっとそういう日なんだろうなー……
……ん? 何だろ、これ」
しょんぼりと肩を落として自室に戻ってくると、武道は見慣れぬ光景にふと自分の机の上に目を向けた。
そこには置いた覚えのない、一輪の花が置いてあった。
「これは……何で花が? 綺麗だけど何処から……」
武道の目には、最初は自然の花のように見えたが、じっと見ていると、青紫の鮮やかな花びらや茎、その細部に到るまで、その全てがお祭りで見掛けるような飴細工で出来ている事に気がついた。
その花びらが、夕方の窓の光を受けとめて、つやめき燦めいている。
(これは──)
武道がこの物体をどうしたものかと考え込んでいると、突如ひらめきのように言葉が浮かび上がった。
【思考をめぐらせじっと見つめていると、
花びらを食べた時、感覚が研ぎ澄まされる】
「食べる?
──って、あー神魂がらみか! それだったら……」
武道は納得と共に頷いた。
神魂効果はいつかは切れる。この位の小さな変化ならば放って置けば、明日辺りにでも勝手に無くなっていることだろう。
しかし、
(感覚が研ぎ澄まされる、とか言ってたっけ……)
武道の今日の原因は、ぼんやりしてしまっていたが故のミスの可能性もある。
もしその感覚が研ぎ澄まされるのならば、これは気分転換程度にはなるかも知れない……今回はそんな武道の好奇心の方が勝った。
武道は花を手に取って、花びらを一枚、崩さないよう根元からぺきと小さな音を立てて折り、そのまま口の中に入れてみる。
「──!!」
刹那、武道は自分の身に起きた現象に、意識から声を出すことすら掻き消えた。
この場にある身体は動いていないのに、感覚と神経だけが、どこかに引き寄せられたかのような錯覚がする。
窓の外から、まるで武道の隣に人がいるかのように聞こえてくる誰かの話し声。足元から穏やかに漂ってくる、まるで張り替えたばかりのように香る畳の気配。僅かに身じろぎすれば、日常意識もしない着ている服の肌触りが伝わってくる──
武道が驚き、手に持っている花を目にすれば、それは先程よりも遙かに鮮明で、その飴細工のきめまでが意識していないのにはっきりと目に留まった。
度重なる、常に何かが精神にぶつかってくる感覚。
武道が驚愕に近い思いで花びらの飴を呑み込むと、それらは一瞬にして消え去った。
「なるほど……!
って、気分転換というには余計に疲れるなこれ!?」
確かに精神は研ぎ澄まされた。だが、その効果は抜群すぎて、気分転換どころではない。
「んー、だけど神魂で生まれたものだから何かきっと意味が……」
武道は軽く俯き、顎に手を当ててしばし考えを巡らせた後、ふと名案を思いついた様子で顔を上げた。
「……。なるほど、つまりこーゆーことか」
武道は受けたそのひらめきの使いように、これならばという確信に近い思いを伴って。タオルとサンダル、そして一枚花びらを消費した飴細工の花を持って、夕暮れが深まる中を再度出掛けることにした。
「さすがにこの季節で夕方近いと、人は少ないよなー」
季節は冬に差し掛かろうとしている。訪れた太陽が落ち掛けた寝子ヶ浜海岸には、人影は殆ど見えなかった。
武道はズボンを膝までまくり、スニーカーからサンダルへと履き替えて、波打ち際へと向かう。
「冷たっ! でも慣れると気持ちいいかも」
そこから足先に波が掛かる場所から、足の甲が浸るくらいの距離まで足を進めて立ち止まる。
「さて、と」
そして武道は全身を引き伸ばすように大きく組んだ両手を上にあげて、取り出した飴細工の花びらをまた一枚口に含んだ。
次の瞬間、静かな凪だと思っていた海は、自分の足に寄せ返す波にあわせて、はっきりとした潮の満ち引きを奏でていた。
波音と共に海水がすり抜けていく足先から迫る波は、武道へと時折その足首までをも包んで、冷たくも凛とした存在感を伝えてくる。
そこから水平線まで意識を向ければ、海は日常において武道が海岸をランニングしているときに広がるその存在を、より強く潮の香りに乗せて届けてくる。そして、夕日が沈もうとしている遠くの波色は、下敷きにした濃紺の上に橙を乗せて、燦々と輝きながら武道の目に飛び込んで来た。
「──」
世界が鮮烈になる。日常の比にならないほどに、色鮮やかに、輝いて見える。
先程までには無縁であった、全身で触れる、心が瑞々しく感じられるような情景。
「……うん」
癒やされる──これはきっと、今のようなときにこそ相応しい言葉なのだと思えた。
武道の失敗に傷んだ心も、いつしかとても軽いものになっていた。
「さって、帰ろうかなっ!♪」
こくんと花びらを呑み込んだ。五感の全てが元に戻るが、心の清々しさだけはそのままだ。
武道は浜辺に戻ると、濡れた足を拭いて元の靴に履き替え、足取り軽やかに歩き出した。
その帰り道の途中、飲み物の自販機が目に入る。
「あ、五感と言えばそーいや味覚試してないな。
缶スープ買お、きっと美味しいよな!」
味覚が鋭敏になれば、その分スープの味もずっと美味しくなるはず。
武道は小銭を入れて、手に温かな缶スープを手に取った。
さっそく花びらを口に入れて、缶スープを口に含むと──
「アッチィ!!
──あー温度も感覚か!」
武道は慌ただしくしながらも、すぐに状況を理解する。
熱さの方が勝って味覚は分からなかったが、武道は花びらを呑み込んで、再び缶スープに口を付けた。
「でも……うん、おいしー!☆」
これならば、明日からまた元気に頑張れる。
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担当ゲームマスター
冬眠
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シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年10月16日
参加申し込みの期限
2019年10月23日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年10月23日 11時00分
参加キャラクター一覧
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