氷と炎の悪夢｜リアクション

氷と炎の悪夢

　戦いが終わると、ギャラリーの観衆は拍手を残して散って行った。
　秋には似つかない熱気がちりちりと微かに残る中、エルモは傷口を押さえ立ち上がる。
「……負けたよ、アンタ達」
　傷だらけの顔に悔しさを滲ませ、呟くエルモ。
　それから何かを言おうとして黙り込む彼女を、意識を取り戻したコールは肘でそっと小突く。
「ほら、姉貴」
「分かってるよ」
　エルモは、ほんのちょっぴり気まずそうにした後、
「その……死ねとか言って、ごめん」
（子供か！？）
　そんなツッコミが聞こえそうなやりとりの後、双子の悪魔はサキリとティオレ、海の三人に手を振りながら、晴れ晴れとした顔で去って行く。

『さようなら』

　スケッチブックを大きく掲げて、ぴょんぴょんと飛び跳ねる海。
　サキリとティオレもまたノーサイドで手を振って、戦った相手を見送る。
　そうしてエルモとコールの背中が見えなくなった頃、シーサイドタウンはふたたびフツウを取り戻した。島に現れた悪魔との戦いも、ちょっとした日常の一コマとして、いずれ人々の記憶に埋もれていく事だろう。
「さて、僕もそろそろ帰るとするよ」
　サキリは野良猫のように、ぶらりとタウンの雑踏へ。
「私も戻らねば。ふふ、本当に寝子島は退屈しない」
　ティオレは商店街で買った食料品の包みを提げ。
『一件落着！　２人ともお疲れ様！』
　笑顔の海は、てきぱきと道具を片付けて。
　３人もまた、それぞれの日常へ帰っていく。

　本日晴天。
　寝子島のフツウは事もなし。

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あとがき

担当マスター：坂本ピエロギ
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寝子島に現れた双子の悪魔、エルモとコール。
皆さんの戦いによって彼らは負けを認め、島から去って行きました。
猪突猛進の女悪魔とクールな悪魔がこれから物語に関わっていくかは、まだ誰にも分かりません。

ですが、ひとまず――彼らとの戦いはノーサイドで決着を迎えました。
島には再び、平和なフツウが戻って来る事でしょう。

シナリオにご参加いただき、ありがとうございました。

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