【演劇祭】少年座　『カマル王子とブドゥール姫』｜リアクション

【演劇祭】少年座　『カマル王子とブドゥール姫』

　幕が下りる時。
　豪華なドレスを身に纏ったブドゥール姫であるアカリとハイヤート姫である遊琳が王冠を戴いたカマル王子である彰尋に寄り添っている。

　あれからカマル王子はブドゥール姫の元へと無事に戻ったのだ。再会した時にカマル王子が男装したブドゥール姫に気付かないなんて一幕もあったりしたが。
　そして、ブドゥール姫は愛する人の妻に戻り、それをハイヤート姫は同じ女性として、そして同じ秘密を共有した親友として素直に喜んだのだ。

　幾つかの揉め事はあった。だが、それも彼等が翻弄されたそれまでの出来事に比べれば何でもないようなもの。
　ブドゥール姫とハイヤート姫は、カマル王子が帰還するまでに結束したその固い絆を持ってカマル王子を支えた。
　それを現しているのがこの最後のシーンである即位式と婚儀である。

　きっとカマル王子と二人の姫君はこれから幸せな未来を築いていく事だろう。
　二人の姫君が薄っすらと浮かべる涙を見た観客達はそう確信したのだ。それだけの説得力を持ち合わせるものだった。

　幕がゆっくりと降りていき、舞台を全て覆い隠す。
　万雷の拍手。観客席の有りとあらゆるところから壇上へ向けて拍手が送られている。
　勿論、その拍手を送っている観客の中には志桜里とあおいの姿もある。

（凄い、凄かった！）

　志桜里の中には無数の感情が渦巻いている。それは役者達の演技によって引き起こされた感情移入によるものだ。
　注目せざるを得ないところはそれこそ沢山あった。

　御守りが白い巨鳥に奪われた際のあのカマル王子の鬼気迫る様子。伴侶であるブドゥール姫の大事なものを取返そうと必死なのがはっきりと解った。
　帰れなくなると解っていながら、庭師の葬儀を優先させたカマル王子の気持ち。墓へと奉げる祈りはあまりにも真摯なものだった。

　ブドゥール姫がカマル王子の代わりを果たそうと決意するシーン。その決意の眼差しは恰好良いと言う他ないもので。
　ハイヤート姫がブドゥール姫に秘密を打ち明けられるところは、月光の中にいるブドゥール姫も美しかったがその上、彼女の手を取り全てを包み込むような笑みを浮かべるハイヤート姫もまた尊い美しさを魅せていた。

　この劇の中で見た様々なシーンが志桜里の中でリフレインする。反響する。拍手を繰り返し繰り返し送れば送る程に。
　そして、それは志桜里だけではない。誰もが同じ様子であった。
　それは何時までも何時までも途切れる事はなかった。

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あとがき

担当マスター：昂祈
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昂祈です。
【演劇祭】少年座　『カマル王子とブドゥール姫』のリアクションをお届けいたします。

何かを演じたものというものはテレビのドラマとか映画とか舞台とか様々なものを見た事がありますが、自分がした経験というのは学生時代に一度だけあっただけだったりします。
そういうのもあってか今回のこのシナリオに関しては、どのように描写すべきか少々悩むところがあって、時間がかかってしまいました。

ただ、執筆としてはかなり良い経験になったのでこれをこれからの執筆に活かせていければ良いなと思ったり。
さて、今回はここまでという事で。
それでは、この度のシナリオにご参加頂きありがとうございました！

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