お化け屋敷でハロウィンを｜リアクション

お化け屋敷でハロウィンを

●おばけの庭

　朽ちた扉の向こう、庭はぼうぼうと雑草が生え小さな林の様になっていました。
　元々植えてあっただろう木々はお互いの葉が重なりあい、随分と手入れがされていないことが分かります。
　ふよふよおばけ達はその中を笑いながら駆け、かげねこは揺れるススキにじゃれついています。
「本当にお化けがいたんだ……」
　瀬莉の目の前で、おばけ達はくるくると踊って見せたり、自分の方へと近づいていきます。
『それでね、こうもり伯爵が夜な夜な女の子をさらって洋館に閉じ込めちゃうんだって！』
　クラスの誰かがしていた怖い噂話とは違い、何故だか彼らはとても楽しそうです。
「ね、ねこさん……こんにちわ」
　瀬莉がかげねこに呼び掛けてみると、にゃーんと鳴き返してくれます。
　いったいどういう事なんだろう。尻尾をぴんとたてたかげねこに近づいてみようと思った時……金髪の女の子が飛び出してきました。
「touch and cat！　デス！（にゃんにゃんにゃんにゃん」
　どこからか聞こえるにゃんという鳴き声と共にトワがかげねこに触ります。ぼわんと煙のように消えてしまったかげねこ。
「うわっ！　だ、大丈夫……？」
「トワは発見したのディス！　触れば触るほど増えるcatの鳴き声。つまりー（にゃんにゃんにゃんにゃん」
「つまり？」
「いっぱいさわレバー……Orchestra！　デス！（にゃんにゃんにゃんにゃん」
　えへんとトワが胸を張ると、ねこの合唱も讃えるかのように聞こえてきます。
「えっと。なんだか怖い事をするお化けじゃないみたいだね」
　すり寄ってきたかげねこをそっと撫で、消えてしまうそれを見ながら瀬莉は庭の向こうにあるお屋敷に目を向けます。
「お化けがHalloweenの時にpartyを開くお話は本当だったみたいデスマスね（にゃんにゃんにゃんにゃん」
　トワも小学校で噂になっていたお話を知っていたようでお屋敷へと視線を向けました。
「トコロデー……これどうやって止めるんデス？　にゃん？」
　にゃん？とかげねこは首を傾げ、ふよふよおばけは笑ったまま。二人は考え込みます。
　その時です。
『よくぞ我らの館を見つけたな、選ばれしもの達よ』
　ススキの向こう側から、はっきりとした声が聞こえました。
　よく周りを見てみると、人が何度か踏みしめたあとが出来ています。

『よくぞ参られた姫達よ！　このかぼちゃおうを讃えに来るがよい！』
　不思議な声の正体。それはきっと、あらたなおばけ。
「かぼちゃおう？……行ってみる？（にゃん」
「住民なら止め方もわかるでショーシ、喋るPumpkinに聞いてみまshow！（にゃんにゃんにゃんにゃん」

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