九夜山の麓にある大きな洋館。持ち主のいない手つかずのその館にある噂が流れていました。
『ハロウィンが近づくと洋館はお化け達が集まるパーティー会場になる』
寝子島小学校での最近の流行はもうすぐやってくるハロウィンの仮装のお話と、貰えるお菓子のお話と、ハロウィンにやってくるこわ~い彼らの噂話。
「それでね、こうもり伯爵が夜な夜な女の子をさらって洋館に閉じ込めちゃうんだって!」
「こわーい!本物のお化け屋敷なんだね、今度九夜山にいってみようかな」
「そんなの作り話だよ。あそこは危ないってお父さんもお母さんも言ってたもん」
小学生達の誰かが噂話を一蹴するとお友達と一緒に帰るために教室を出ました。
「本当なんだって! 僕は見たんだ! あの洋館の窓の近くに白いドレスを着た幽霊がいたんだよ!」
「お化けなんていないるわけないじゃん! 嘘つきリョウタ!」
「ち、違う。僕は嘘ついてない……本当だもん!」
どん!
背中に走った衝撃に思わず女の子は振り返ります。目を潤ませながらランドセルを背負って駆け抜けていくクラスメイトの
リョウタ君。
「……ちょっと可哀想かも」
「なんだありゃ?」
気ままに散歩をしていた
テオドロス・バルツァが、自分に近づいてくる猫をいつもの不機嫌顔で睨みつけます。
影のように黒い猫は突然テオの元へ駆けだし、どんとぶつかる寸前──もわもわとした黒い煙になって、消えてしまいました。
思わぬ出来事に何かを察したのか、テオが見上げるとそこは大きな洋館がありました。
影色の猫は塀に上り、空には白いシーツを被ったような変な物体がふよふよと浮かんでいます。
「あ、猫だ! おいでおいで、遊ぼうよ。僕リョウタっていうんだ」
テオが視線を向けると、洋館の開いた扉から小学生らしき子がテオに向かって手を振っていました。
「……誰かが起こしたのか」
テオは仕方ねえなと呟き、もれいび達の心に語りかけながら去っていきました。
「九夜山近くにあるでかい洋館にお化けがうようよいる。フツウじゃねえぞ」
「あーあ。猫いっちゃった。……いっか、くーちゃんの所に帰ろう」
洋館の中、お化け達のパーティーにリョウタ君は目をキラキラと輝かせていました。
「凄いや! やっぱり僕、嘘つきなんかじゃないもん。お化けがいっぱい! ありがとうくーちゃん!」
くーちゃんと呼ばれた『人』は割れた窓から入る風で揺れる白いカーテンを眺めていましたが、リョウタ君に声をかけられると振り返りにこりと笑います。キャスケット帽をかぶり直し。
「くーちゃんは嘘つかないっすもん。それにリョウタ君のお話も勿論信じてるっすよ。よし! 次はどんなお化けがいいっすか?」
図工の時間に使う画用紙を広げ、リョウタ君は次のお化けを考えはじめます。
(むむ。むむぅ。このままなのはいけないことだとは分かっているっすが……リョウタ君は楽しそうですし、くーちゃんは味方っす!)
はじめまして、新人マスターのしまみです。
皆様と一緒に寝子島でわいわいと楽しめるよう頑張ります!
ハロウィンの前にお化け屋敷での騒動を止めてください。
シナリオ概要
九夜山の麓にある大きな洋館にお化け?が溢れています。このまま洋館を放置していれば山だけではなく人の住む場所までこの現象が広がるとテオは危惧しています。
小さな子供が中に入っていったとテオは証言しており、誰でも入れる状態だともれいびに伝えました。
洋館内部を探索し原因となるナニカを止めてください。洋館の庭や部屋に漂っているお化けは以下の通りです。
・ふよふよおばけ
シーツを被ったようなお化けです。触れると笑い声を残した後消えます。いっぱい触るとその分視界がシーツを被ったような霞+ぼやけた状態になり、笑い声が絶えず聞こえるようになります。
・かげねこ
影のように真っ黒な猫。触れると「にゃん」といい消えます。いっぱい触るとその分影が纏わりつきにゃんにゃんと鳴き声だけが聞こえるようになります。
・かぼちゃおう
偉そうに喋る動けないジャック・オー・ランタンです。手を出すと甘噛みしてきます。噛まれると無性に甘いものが欲しくなり、持っていないと「トリックオアトリート」を周囲にしたくなる気分になります。
・がいこつ夫人&こうもり男爵
がいこつ夫人は男性を、こうもり男爵は女性見つけるとダンスに誘おうと甘い言葉で囁きます。華やかな衣装をその場に浮かばせPCさんに着せようともします。
どの幽霊も誰かを攻撃する、意地悪をするといった悪意は持っていません。
洋館に来た『お客様』に興味津々で、構ってもらえるかと近づいてきます。
NPC
リョウタ君(小学生/男子)明るく素直な少年。洋館の部屋で次に洋館に『いるお化け』の事を考えています。
くーちゃん(?/?)キャスケット帽を被った『人』。少し大人っぽい印象。リョウタ君と共にいます。
(PL情報)
・リョウタ君は自分が嘘をついたと言われた事に納得していません。
・くーちゃんはリョウタ君が悲しむことを避けようと考えています。