お化け屋敷でハロウィンを｜リアクション

お化け屋敷でハロウィンを

●呼びかけ

『九夜山近くなのは不幸中の幸いって所か……』
　テオが呼びかけをしている時聞こえた"九夜山近く”という単語に小学校の廊下を歩く佐藤瀬莉の足が止まりました。
　首を少し傾げ考えます。
（もしかして、みんなが噂しているお化け屋敷のことかな？）
　クラスの子が話していた『ハロウィンが近づくと洋館はお化け達が集まるパーティー会場になる』というお話。
　そして、先程背中からぶつかって走り抜けていった少年。
「さっきのはリョウタ君だよね。関係あったら……大変かも」
　テオの呼びかけはもう聞こえませんでしたが、ちょっと気になります。
　喧嘩でもしたのか、それともいじめか……一部始終を見ていたわけではありませんでしたが、とても悲しそうな姿だったと思い出します。
　瀬莉の星ヶ丘の自宅に向かおうとした足は小学校の校門を出た後九夜山へと向かっていました。

『……成程どちらも自覚がなかったのか。そういうわけだ、フツウを守ってくれ』
　シーサイドタウンの隠れ家的カフェでのデートの帰り道。
　塀の上にちょこんと座る猫、テオドロス・バルツァの姿と響く『声』に二人は反応します。
「ねえ、ヒュー。聞こえた？」
「聞こえたよ、水樹」
　テオはしゅたっと塀から飛び降り、にゃあと鳴きます。
　そして城山水樹とヒュー・ヒューバートの間を駆け抜けどこかに消えていきました。
「私達の周りで起きていた不思議な事、それに不思議な力……フツウを守る、か」
「さっきの猫さんが教えてくれた通りならふたりでいってみようか」
　テオは呼びかけに反応した自分達二人にもれいびやののこの存在、フツウを守ることを喋り去っていきました。
「話を聞くとお化け屋敷になっているみたいだけど。ま、いってみましょうよ」
　お化けが本当に沢山いるなら、なんだか楽しそうじゃない？
　水樹は恋人にウィンクをしてサインを送ります。
「はは。ハロウィン前のちょっとしたデート……になるといいね」
　ヒューは仕事道具のカメラを取り出し、隣の恋人と共に早速九夜山へと向かいました。

「お化けが集まるお屋敷！　それは面白そう」
『おい』
「はは、冗談だよ♪　この季節にお化けといえばハロウィンみたいだね。よし、準備しよう！」
　響タルトはテオの呼びかけから想像を膨らませます。黒猫に宙を浮かぶのはきっと幽霊。
　ハロウィンにぴったり？な出来事に相応しいものといえば。
「ふっふ～これくらいあれば十分だよね」
　水筒とあるものを袋に詰めて、タルトは元気よく九夜山へと向かいます。

このページにイラストを設定する