【演劇祭】Ｅｉｄ　Ｓｅｇｅｎ　そこに在る、対の少女の物語｜リアクション

【演劇祭】Ｅｉｄ　Ｓｅｇｅｎ　そこに在る、対の少女の物語

【あなたといる奇跡】

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　少女と対の旅は、とても長いものでした。
　しかし、諦めることのなかった願いは、ついに形になったのです。

　舞台袖では、金の髪を纏め仕舞って衣装を整えた『母』役を交代して、シルエットではない『対』の役割を受け持つ理沙が、準備を終えて待機していた。
（夏夜ちゃんの代わり、務めさせてもらうわ……！）
　二人の願いが叶うシーン、暗転とスモークが一斉に湧いた舞台に、理沙はゆっくりとその足を進める。
　そして、夏朝の隣へと降り立ったかのように、照明の薄明かりの中で客席にその姿を現した。

　少女と対は、願いを形として完全な個別の存在としてそこにいました。
　二人は、はっきりと目に映るお互いの姿を前に、感動で言葉を無くしました。
　冒険の前、平和な日常の中で少女が対につけた名前もありました。でも、それを呼び合うよりもずっと早くに、二人は抱き締め合い、確かに触れられるその存在に涙したのです……

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　そして、物語は元の世界に戻って来るフィナーレへと突入した。
　暗転の少しの間に、理沙がつい演技ではない嬉しさで涙が伝った跡に、そっと頬を押さえた。

「お帰りなさい！　この子もずっと待っていたのよ」
「これは、驚いた……！
　だが、そのようなことがあれば、二人とも私達の娘だ。お帰り。よく無事で……」
　舞台の上で『家族』の皆が勢揃いをする。
　裏方から、舞台に取って返して舞台に出た『父』の久隆の声も、歓びの台詞の中で、日常よりも僅かに揺れていた──

　元の世界に、家に帰ると『父』と『母』と、そして『弟』が迎えてくれました。
　あるべき娘が一人増え──正確には、在るべきして在った家族が皆ここに揃ったのです。

　こうして、対と少女は、その家族はいつまでも幸せに暮らしたのでした──

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　そして、最後に。
　舞台の最後に、皆で観客席へと並び一礼して、感謝と思いの丈を伝えていった。
　ホール内に、深くお辞儀をした夏朝の声が響き渡った。

「この物語を見てくれた皆にも……沢山の喜びが、希望が、奇跡が訪れますように！」

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