職業体験学習でお仕事しよう！　セカンドシーズン｜リアクション

職業体験学習でお仕事しよう！　セカンドシーズン

●魚屋で職業体験

　高級レストランの賄いとか、お菓子食べ放題の店を期待していた白石龍樹だったが、ないのでガッカリ。
　憂鬱な気分で体験先を歩き回っていると、魚屋『魚新』の前でちくわを配っている着ぐるみを見た。
（ん？　なんだあの着ぐるみ？　ちくわがちくわ配ってる）
　ちくわな着ぐるみに興味を示したので、ここで職業体験をしようかと思った。
　体験学習の前に、店主に「あのちくわの着ぐるみ、何だ？」と聞くと、マスコットの『ちくわくん』だと教えてくれた。
「へー、ちくわがマスコットなのか。面白そうだからここにしよう！」
　面白いことになりそうだと思うと、龍樹は楽しくなってきた。
　職業体験を頑張ったら、『魚新』のちくわを食べ放題だよ、と店主が言った。
「ちくわ食べ放題？　やった！　さっそく、ちくわ食べてもいいか？」
　どうぞ、と言っているかのように、ちくわくんが配っているちくわを差し出す。
「いただきまーす！　あちっ、ちくわって熱いのか？　うん、うまい！」
　出来立てホヤホヤだから熱いんだと『魚新』の奥さんが教えてくれた。

　ちくわを食べた後は、店で売っている魚についての説明を聞いた。
「魚っていろいろあるんだなー。骨が多いのは苦手だけど、魚は好きだぜ」
　店先に並んでいるのは丸ごとだが、売る際には三枚おろしにしたりと捌くことが。
　店内では、料理が得意そうな中学生のお姉さんがサバの三枚おろしに挑戦していた。
（あのお姉さんさすがだなー。あんなふうにやればいいのか）
　うちのかあちゃんより手つきいいぜ、と感心する。

　買い出しに来た奥様方が『魚新』にやって来た。夕飯のおかずにと、魚を買いに来たのだろう。
「よし、おれも客引きやってみるぜ！　いらっしゃいいらっしゃい、安いよ安いよ！」
　元気がいい客引きだと、店主は自分も負けていられないと客引きを。
「そこの綺麗なお姉さん、魚、買ってってよ、おまけしちゃうよ！」
「あらやだ、お姉さんだなんて。お世辞がうまいのね坊や」
　それじゃあ、サケの切り身ちょうだいと家族分のサケをお買い上げ。
「まいどあり！　もう１匹サービスしちゃうぜ！」
　やったー、売れたぞ！　と大喜びだったが、店主にサービスしすぎだよと窘められた。
「え？　サービスしすぎ？　それなら、次のお客さんからその分のお金取るぜ！」
　過剰なサービスやお金を取るのも良くないと再び窘められた。
「駄目？　難しいなあ」
　売ればいいってもんじゃないんだなと反省した龍樹は何事もほどほどに、ということを学んだ。

　気を取り直して客引きを、と思ったら、野良猫が魚を狙っていた。
「こら猫！　あっちいけ！」
　走って追い払おうとしたが、何かにぶつかってつまづいた。
「うわあ！」
　つまづいたのは、魚のアラが入った水入りバケツだった。その拍子で服が濡れてしまった。
　奥さんがタオルを持ってきてくれたので、それで服と腕とかを拭いた。

　職業体験の時間が終わった時、お土産にちくわをもらった。
「失敗もしたけど、お店は楽しいな！　もらったちくわ、かあちゃんにあげよう！」
　これで何か作ってもらうぜ！　と、足取り軽く家路につく龍樹だった。

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