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落城が近づいている。
いやとうに、落ちたというべきなのかもしれない。
用をなさなくなった兜を捨て、片足をひきずるようにして
鴻上 彰尋
は進み続けた。
暑い。息が荒い。脇腹の包帯ごしに血がにじみ出している。刃こぼれした太刀はもう、武器ではなく杖にすぎない。鎧に突き立った数本の矢を、抜く余裕があろうはずもなかった。
足をもつれさせ、どっと前のめりに倒れた。
しばしそのままでいたがやがて、彰尋は歯を食いしばって立ち上がった。か細いうめき声はまるで幽霊のそれだ。
顔を上げた。はっきりと死相が出ている。
けれど彰尋の目には希望、口元にはふてぶてしいまでの笑みがあった。
「自由だ!」
彰尋は大声を張り上げた。
「俺は、自由だ!」
剣を握ったまま雄々しく両腕をひろげる。目に涙がにじんでいた。
ゆっくりと幕が下りていった。
喝采がやまない。
彰尋は正面を向いたままだ。びっしり満員の客席に、たった二人の姿を探している。
すぐに見つかった。
周囲の大人と競うかのように、激しく両手を打ち合わせている幼い子の姿があった。
隣には目頭を押さえている母親――
七夜 あおい
の姿が。
拍手はごく自然に、アンコールを求める手拍子へと変わっていく。
ずっと憧れていた大きな劇場、ついに彰尋はその舞台に、主演として立つことができた。本日は二週間つづいた公演の千秋楽だ。戦国時代にタイムスリップした現代人、という設定のオリジナルの芝居である。立案時こそ危ぶまれたものの、チケットが販売されるやスポンサー企業の予想を超えた大入りとなり、演劇誌や新聞のレビューも上々、これを受け年明けには、一ヶ月に拡大した追加公演も決定している。
全身全霊でやりきったという充足感、緊張の糸が切れた心地よい疲労感とともに、彰尋はタオルで汗を拭っている。それでも彰尋は、
「お疲れ様でした」
と、通りかかったスタッフに一人ひとり、声をかけ頭を下げているのだった。主演は自分かもしれないが、助演俳優や裏方の尽力がなければ舞台公演はできない、そのことを彰尋は知っている。
役者になるという夢を、彰尋は比較的容易に叶えることができた。
しかしそこからが長かった。いわゆる下積み時代が何年もつづいたのである。たまに入る仕事は役名もないような端役ばかりで、収入のメインは深夜や肉体労働のアルバイトだった。けれどその日々に彰尋は感謝している。たくさんの副業で得た経験が、自分の演技を深くしてくれたのだから。
まだ夢を見ているような気分だ、と思う。
ある舞台で演じた脇役が話題を呼んだのが二年前、準主役としてポスターに顔が載るようになったのが昨年のことだから、そんな気持ちになるのも当然かもしれない。
「奥さんと息子さん、おいでになっていますよ」
若手スタッフのひとりに呼びかけられ、彰尋は我に返った。
ふりかえるとそこに妻のあおいと、彼女に手を引かれた息子の
光人
(あきと)が立っている。
彰尋に気付くや光人はたたたと駆け出し、
「おとうさん、かっこよかった~!」
と、膝にすがりついた。
「かっこよかった? ありがとう」
四歳になる息子の頭をなでながら、彰尋は目を細めている。たぶん四歳児には難しい筋書きだったと思う。でも、『かっこいい』という幼いなりの解釈が嬉しかった。
「良かったよ! 私最後泣いちゃった」
「うん、見えてた」
「見えてたの!?」
恥ずかしいなあ、とあおいは照れ笑いを浮かべた。
あおいは看護師で、入籍後も『七夜』の姓を使い続けている。認知症患者のケアが主な仕事であるため、混乱させないため苗字を変えたくなかったという。もちろん彰尋はその決定を心から支持した。現在の彼女は仕事に加え、母親としても多忙を極めているが、「こういうのが夢だったんだよね」と愚痴のひとつもこぼさない。
「そうそう」
あおいは光人の肩に両手を置いた。
「あきちゃんからお父さんに、言いたいことがあるんじゃなかった?」
すると光人はするりと彰尋から離れ、あおいの背後に隠れたのである。
「おかあさん、いって」
恥ずかしいのか、顔をあおいにうずめている。
偶然だが彰尋もあおいも、生まれた息子に『あき』と読む『光』の字を付けることを考えていた。『あきひろ』と『あおい』の子なので『あ』からはじまる文字というだけではなく、まだ新生児室にいるときから、まばゆいばかりに明るい子だったからだ。泣いている周囲の赤ちゃんも、光人を観ると穏やかな表情で泣きやんでしまう。まるで光の源であるかのように。
光だ。俺にとっても。
光人がうまれてから一気に役者のステージを駆け上がっていったことを思い合わせて、彰尋はしみじみ思うのだった。
「自分の口で言わないと。ほらほら、お父さん待ってるよ」
あおいにうながされ、光人はつま先立ちで前に出てきた。いささか恥ずかしそうに、けれどしっかりした口調で言う。
「あきちゃんね」
「うん」
「おとうさんみたいな、はいゆうになりたい!」
俳優、という言葉はあおいが教えたのだろう。
「本当に?」
「うん」
無邪気ながら強い意志を感じる。彰尋はくすぐったい感情を胸に抱いた。
かつて、と回想する。
かつて自分も、父親にそう告げたことがあった。
けれど戻ってきた言葉は、冷たく乾いた否定と拒絶でしかなかった。
だから、俺はあのとき言ってもらいたかった、してもらいかったことをこの子にしたい――。
「そうなるといいね。応援するよ」
彰尋は膝を折ると、両腕で光人を抱きしめたのである。
「きっといつか、二人一緒の舞台に立とう」
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年08月24日
参加申し込みの期限
2019年08月31日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年08月31日 11時00分
参加キャラクター一覧
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