【星幽塔】第二階層　水道橋で流しそうめん｜リアクション

【星幽塔】第二階層　水道橋で流しそうめん

　すでにあちこちで上がっている鬨の声を耳にしながら、修もまたモンスターの対応に追われていた。
　事前に戦闘ブロックと食事ブロックを分け、安全に食事を楽しめるようにする。
　そして修は、食事ブロックにほど近い場所に持ち場を設定していた。
　水流に乗って移動する敵、動きは素早いだろうし、また移動範囲も自在。
　いかに前衛が奮起したとして、多少突破されてしまうのはやむを得ない。
　最後の防波堤として自らを心得ていた。
　
　暗くよどんだ水路に、ほのかな光のようなものがともる。
　水面がわずかに、夜光虫のような光を放つ。
「くず餅まで流れてくるのか。風流だな･･････」
　ふっと夏の終わりの情感にとらわれる修。
「･･････て、魔物か！」
　余韻に浸るには、まだ早い。
　一躍上着を脱ぎ、修は果敢に水路へダイブ。
　日頃から丹念を怠らない彼の泳法は力強く、急に変化する水流の中でも動揺することはない。
　そのままスライムの群れを突っ切る。
　交錯の瞬間、修の右手が強く発光、その光がスライムを貫く。
　修は光を投擲。放物線を描いて、それは食事ブースの方へ飛んでいく。
　氷魔法による氷の槍。それに串刺しされたスライムは、ご丁寧に紅白翠の三色に分かれ、ほどよく氷付けにされた絶妙なデザートになる。
　修は空中に、大小無数の槍を展開。それぞれでたらめな軌道を描き、スライムを串刺しにする。

　瞬く間に串刺しにされたスライムが、壁の上に届けられる。
　美しいスライム団子をみて、修は微妙な表情を浮かべる。
（作るには作ったが･･････）
　さすがに元がスライム。
　口に入れるのは、抵抗があるかも･･････。

「わー、おいしー！」
　歓声が上がる。
　まじか、と若干引き気味ながらも「そりゃ良かった」と答える修。
　乱れ飛ぶスライムを、次々と串刺しにしていく。一本、二本、三本！
「じゃあこれは？　青汁ゼリー串」
　エメラルド色の粘体の塊を投擲。「苦いから、気をつけて食べるんだ」
　