ドネルケバブ『Gule gule!』｜リアクション

ドネルケバブ『Gule gule!』

●はじめてのケバブ

　御巫時子は、美味しそうな香りに誘われ初めて見るケータリングワゴンに、何があるのかと悩む。
　ワゴン前を去る客の会話からケバブとドンドルマを売っていることがわかったが、食べたことがない。
　食べようかどうか悩んでいたら、五十嵐尚輝先生にばったり。
「御巫さん、こんにちは。どうしたんですか？」
　何か悩んでいるようなので、五十嵐先生は自分でよければ相談に乗りますよと言ってくれた。
「尚輝先生、一緒に昼食を食べませんか……？　あそこで売っているケバブを食べたいんですが……」
　好きな人に会えると思ってなかったので嬉しい気持ちに。
「僕も、あのワゴンのケバブを食べてみたいと思っていたんです。よかったら一緒に食べませんか？」
「いいんですか……？」
　コクンとうなづく五十嵐先生と一緒にお昼を食べることも、すごく嬉しい時子だった。

「よう、いらっしゃい！」
　バルシュ・コルテュルクの大きな声にちょっとびっくりした２人だったが、何にしようか考える。
　どれにしましょうか、と悩む時子と五十嵐先生。
「尚輝先生は何にしますか……？　どれも美味しそうで悩みます……おすすめを聞いてから選びましょうか……」
「それがいいですね。店員さん、おすすめは何ですか？」
　そうだな……と顎に指を添え、バルシュは少し考える。
「今日のオススメはガーリックソースだな！　暑い日には、身体を冷やしてくれるヨーグルトがいいぜ」
　ヨーグルトベースにニンニクが香るちょい辛ソースだ、とソースの説明もしてくれた。
「では、僕はおすすめのソースで。御巫さんはどうしますか？」
　私も同じもので、と言いたいが、ニンニクが臭いそうなのでやめた。
「私はドルネケバブのトマトソースを……」
「ありがとう！」
　
「ドネルケバブ、ガーリックソースとトマトソースお待ちどう！」
　ありがとうございます、とケバブを受け取った２人は代金を支払った。
　ワゴンの近くにベンチがあるので、そこで並んで座って食べることに。
「トマトソースもお肉も美味しいです……合いますね……。ボリュームもあって食べ応えがあります……」
　時子はソースが頬に付かないよう、気を付けて一口ずつ味わって食べる。
「ガーリックはキツいイメージがありますが、このお店のソースはそうではないようです」
　ヨーグルトの酸味が絶妙で美味しいですという五十嵐先生の感想に、時子は私も頼めば良かったかな……と思った。
　美味しそうにケバブを食べる五十嵐先生の食べる姿を、嬉しくてつい見つめてしまった。
「僕の顔にソースがついていますか？」
　時子が顔を見るので、どこかにソースがついたのかと五十嵐先生は心配に。
「い、いえ……どこにも……。尚輝先生が美味しそうに食べているので……つい……」
　つい見惚れてしまいました……とは言えず。

　ケバブがおいしかったので、２人はあっという間に完食。
「暑いですね……トルコアイスもいただきましょう……。尚輝先生もいかがですか……？」
「いいですね、食べましょう」
　ワゴンに再び行き、ドンドルマのカップを買ってベンチで食べる。
「かなり伸びますね……」
　時子はスプーンで混ぜてから上に伸ばしてから、楽しんで食べる。
「バニラ味で美味しいです……」
　不思議な食感は、時子にとって新しい食感だった。
「尚輝先生はケバブやトルコアイスは食べた事があるんですか……？」
「トルコアイスは食べたことがありますが、ケバブは初めてです。おいしかったです」
　五十嵐先生と一緒にお昼を食べられたことで、時子のお腹と心は満たされた。

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