潜入！夜の寝子島マリンパラダイス｜リアクション

潜入！夜の寝子島マリンパラダイス

　彰尋たちがまず訪れたのは、クラゲコーナーだった。昼間訪れても、暗い部屋に展示されているクラゲは、半透明の個体を見やすくするためももちろんだが、夜行性の物もいる。
　そのため、通常では閉館後に部屋を明るくし、昼夜逆転させて昼間に活動するように調整する水族館も少なくない。
　しかし、今日はナイトツアーの日のため、クラゲには少々夜更かしをしてもらっているのか、まだクラゲの展示室は薄暗いまま。宇宙をイメージして作られているのか、小さな丸い水槽が幻想的に飾られてある。
「これなら怖くないだろ？」
　夜行性であったり、深海など暗い場所で活動している生き物となると、すぐに思いつくのはサメのような獰猛な物かグソクムシのように昆虫のような見目の物だ。昼間のように、華やかで綺麗な熱帯魚などが生き生きと泳いでいればいいが、夜だと休んでいる魚も多いだろう。
「ふわふわとキラキラがいっぱいだ～」
　弟の将尋は素直に喜んでくれたが、問題は妹の千里だ。
　どうやら昼の水族館を連想していたのか、お化け屋敷のように薄暗い水槽ばかり続いて少々ご機嫌ナナメのようだったのだが。
「リボンのついた風船みたいね。いろんな形がある！」

　晴れやかな笑顔で水槽に近寄っていく千里を見て、彰尋は安堵の息を吐いた。
「よし、じゃあ宿題のお絵かきが終わったら、次の水槽に行こうか」
「はーい！」
「ねぇお兄ちゃん、クラゲに目ってある？　クイズが載ってたんだ」
　思い思いに宿題のためのノートを広げ、クイズの効果か水棲生物に興味を示している。水族館を楽しんでくれていることがわかり、彰尋は二人の笑顔につられて顔が綻んでしまう。
　もしかしたら二人が見たいものは見せてあげられないかもしれないけど、その時は兄としてしっかりフォローをしなければ。仲良く楽しんでくれることを長いつつ、彰尋は次の目的地を考え始めた。

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