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七色の星、夢追い求めて
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【Colorless,Prism,Shine.】
色なし女王と七色の魔女のお話を耳になさったことは?
おや、ご存じでない?
よろしい! お聞かせいたしましょう。
北のレインボーシトラス王国を花芽吹く春の国へと変えた、奇跡の物語を。
そもそも王国は、雪の国と呼ばれておりました。純粋で混じりっけなし、真っ白な白氷鉄が採れることで有名だったのです。
吹雪のヴェールに閉ざされた、辺境に横たわる神秘の王国。数多の魔女が集う魔法のメッカ。
通年湿っぽい東の帝都などでは、憧れを抱く者も少なくありませんでしたけれど……実のところ雪の国の暮らしは、それはそれは過酷なものでございました。痩せた土はついぞ作物を育まず、寒さで牧羊もままなりませんでしたから。多彩な魔法の触媒こそ産出されても、食べるものがないのです。彼らは年に数度だけ、険しい道のりを越えてやってくるキャラバンを相手に、あり余る魔石と少しばかりの食べ物を交換することで、細々と生活しておりました。
その年の冬は、王国にとってことに厳しいものとなりました。
女王がおわす雪都シトラスにほど近いシュネールシュネール山脈のてっぺんに、雪竜が巣を張ってしまったのです。史上もっとも巨大とされたこの竜の吐息は、王国に吹き下ろす山風をさらに凍てつかせました。
雪の国では雪竜は神聖な生き物であると王国憲章にも綴られておりますから、王国の屈強な魔女兵団を派遣するわけにもまいりません。
竜の生態にお詳しい方なら、いかに危急の事態であるかを悟っていただけるでしょうか。雪竜はひとたび巣を張れば、そこで十年を出産と子育てに費やすのです。
激しさを増した吹雪が育てた氷晶が街道をふさぎ、キャラバンも雪深きネーベ平原の踏破を諦め、竜の卵が孵るのに必要な極低温によってもたらされたその冬の凍死者と餓死者は、数え切れないほどであったと伝わっております。
国中の魔女が王宮へと招集されたのは、そんなさなかのことでございました。
「うん?」
初め、そのお方は首を傾げたということです。
「呼んだのは、私かな?」
「はい! 七色の魔女、
ツクヨミ
どの。恐縮ながら、ホワイトパレスへお越しいただきたく存じます!」
稀代の魔女たるあの方もまた、やはり雪の国に出土する希少な魔石を求めこの地を訪れたのだそうです。
牙の魔女ルーネスや天秤の魔女フリドリッケ、星巡りの魔女アマリリア。雨の魔女シズメ……そんな名だたる魔女たちが口をそろえて最高峰の魔法の担い手と挙げるのが、七色の魔女ツクヨミでありました。
ツクヨミは、同行を願った王宮勤めの若い魔女の多分に羨望がこもった眼差しなどそしらぬように、肩をすくめました。
「お呼びとあらば馳せ参じようか。けれど何用かな」
「お話は女王さまの御前にて。ことは一刻を争うのです」
「ほう。それはそれは」
さて、白氷鉄が飾るサブリド様式の意匠も絢爛な真白き王宮ホワイトパレス、その大広間謁見室にて。雪に閉ざされた狭き王国であれど、国民にはそうそう目通りかなわぬ場所でございます。
最奥のいかめしい氷椅子に、女王は腰を下ろしておりました。
長い髪は月長馬のたてがみめいて白く、瞳は銀陶器がごとき白。肌さえも透けるような純白です。相貌は花の女神ゼオーラのように美しく、なれどそこにはなんら感情の色を見い出すことはできません。かの方こそが、雪の国を統べる
マシロ
女王でありました。
女王の傍らに控える初老の宰相どのが、御前に膝を突くツクヨミの頭を上げさせ、述べました。
「七色の魔女どの、よくぞお越しくださいました。ご存じのとおり、わが国は未曽有の時を迎えております。この苦難を乗り越えんがため、ツクヨミどのの慧眼と魔法の粋をお貸し願えればと」
「うん、それはやぶさかではないよ。私も含め、この国の魔石を好む魔女は引きも切らぬというものだからね」
「幸甚の至りにございます、魔女どの。さて」
恭しく翻った手のひらが控え目に指示したのは、他ならぬ女王その人でございました。
「魔女どのの眼識たれば、すぐにも悟られましょうが……我らがマシロ女王は、色を持たずしてお生まれになりました」
「確かに。そのようだね」
そう。女王はひと言も言葉を発することなく、ツクヨミの訪れに頬を緩めることさえありません。
決して、女王の高慢が故などではございません。女王マシロはいかなる試練か、創造主より色を授かることなくこの世に生を受けたのでございます。無論のこと、色を持たねば人は感情を露わにすることもかなわず、他者へ言葉を伝えることもできません。
「恐らくはお聞き及びのことと存じます……この苦難に我が王宮の力及ばぬことから、市井には色なし女王などと揶揄する者もあるのです」
「無知蒙昧も罪とはならないだろう? 彼らも生きるに難儀しているだけだよ」
「は。それは然りなれど」
悔しそうに歯噛みする宰相を、ツクヨミは制します。
「つまり、私に女王へ色を授けよと」
「左様でございます」
聞けば多くの魔女が王宮を訪れ、試みたのだそうです。けれど女王の肌が色に染まることは叶わなかったのでございます。
ツクヨミが七色の魔女たる所以は、虹がごとく色を操ること。とはいえ稀代の魔女とても、色なき者に色を与えた経験はありませんでした。
「まあ、私にできることはするけれどね。でも、それと国の危機にどんな関係があるのかな」
「雪竜でございます。魔女どの」
宰相は懇願と諦観の入り交じる眼差しをツクヨミへ寄せながらに、告げました。
「我が王国は太古の昔、雪竜を従えておりました。秘伝の魔法にて竜を調伏し、戦の要として用いたのです。今でこそ野の竜も数を減らし、その術は王家の血筋に伝わるのみとなりました」
「ふむ。つまり」
ツクヨミが瞳を見上げても、マシロ女王は身動ぎさえしません。
けれどツクヨミは、真っすぐに色のない瞳を覗き込みます。
「私が女王に色を授ければ、女王が秘法をもって雪竜を調伏する。雪の国にも虹がかかるやもね」
それがすなわち王国へ差し込む奇跡の輝き、その兆しでございました。
後に女王は自ら語ったのでございます。まさしくそれは奇跡の御業であったのだと。
色なき者とて、感情や言葉を宿さぬわけもありません。色なきが故に、それを伝える術を持たぬだけなのです。
幼少よりマシロ女王は、豊かな感性を心の内にたたえていたのだといいます。
(この人、なにをするつもりなんだろ? どうせ無駄だと思うけどなあ)
名高い魔女が魔法の準備を始めても、マシロは半信半疑。無理からぬことでございます。なにしろ幾多の魔女が御前にてとりどりの魔法を試行してもなお、女王に胸中の想いを吐露する術を与えてはくれませんでしたもので。
(魔女さんたちには感謝してるけど……きっともう、無理なんだ。雪の国は私の代でおしまい。みんなみんな、凍えて死んじゃうんだ)
もはや諦念に囚われていたマシロには、伝え聞く七色の魔女が織りなす魔法の手並みとて、希望を抱くには足りません。ただ己の無力を呪い、民草への懺悔を繰り返すのみです。
(……あれ?)
諦念が疑念へと翻ったのは、七色の魔女ツクヨミが魔法の手順を踏み始めた頃でございました。
「どれ、魔石の産地にふさわしい術式を用いるとしようかな」
歌うようにさえずり、ツクヨミが布鞄から取り出した物を、マシロは別段目新しくは思いません。それらは雪の国にも多く産出される、魔法の触媒たる鉱石や結晶たちでした。
けれど魔女が手にするは、七つ。二つや三つならいざ知らず、七つの魔石を同時に操る魔法など聞いたこともありません。
(七色の魔女さん……)
ツクヨミはマシロの座す氷椅子を中心に、七つの魔石を配してゆきます。
「北西にブラッドストーン。南にトパーズ。北東にソーダライト……」
外円に三つ。
「南西にスギライト。北にラリマー。南東にペリドット」
内円に三つ。
そして、
「中央にはルチルクォーツを。女王、これを持って」
女王は言葉なきままに手のひらで石を受け取りました。とくとくと脈動するかのように、橙色の石は熱を帯びておりました。
「さあ、始めよう」
(は、はいっ)
宰相や家臣たちが固唾を飲んで見守る中、ツクヨミが取り出したのは鳥羽から作った絵筆です。魔女はその素養により多種多様な杖を用いて魔法を行使するものですけれど、絵筆を杖とする魔女は聞いたことがありません。
マシロの瞳が瞬き、ツクヨミが絵筆をふりかざした……刹那に。
(……あっ!?)
色を帯びた風の奔流が、謁見広間を吹き荒れました。
マシロは呆けたように口を開きます。ツクヨミが絵筆を振るうたび、魔法は七色に輝く光の粒子を弾けさせ、そこから生まれた虹が織布めいて伸び、
(虹が、私を……!!)
マシロの胸を打ちました。しゃら、きらりと。鼓動が暁鐘のごとく早まるのを感じます。
赤。青。黄。緑。藍。紫。橙。七つの帯があたかも遠方に語られる宙泳ぐ神蛇のようにうねり、くねり、やがて、
「仕上げだ」
魔女の絵筆が導くまま、帯たちはマシロの胸へと打ち込まれました。
(鳴ってる。虹が……私が、鳴っている)
鐘の音はマシロにとって、他ならぬ福音となりました。
「さあ、女王。石に宿る七色の精霊たちの力を借りて、あなたの内にこもったままの色をノックしてみたよ。どうだろうか?」
「……あ……」
マシロの肌には健やかな赤みが浮かび、これまで一度も音に震わすことの無かった喉からは、堰を切ったように想いがあふれ出しました。
「話せる。笑える。私……伝えられるよ! 私、私……笑えるよ!」
色を得た女王の美しい面差しが宿した始まりの表情は、泣き笑いであったそうです。
さあ、これにて物語はおしまいでございます。
お楽しみいただけましたか、お姫さま? ふふふ♪
え? 雪の国は、女王と魔女はどうなったのかって?
もちろん女王さまは雪竜を従えて、吹雪を自分のものとして、やがて雪の国へ春をもたらしたんだよ。その後彼女は崇敬を込め、白の女王と呼ばれることとなったのだ~。
ふふ……なんだか懐かしいな。今でも思い出すんだ。
豪雪吹き荒れる険しい山へ分け入り、雪竜と対峙したあの時。春の訪れと、国中にグラシアオレンジやハッカレモンを植えて回ったあの頃。ふと笑い合ったあの表情。
艶やかなる花と果実の王国レインボーシトラス。白の女王の国造りの傍らにはいつも、彼女を助ける七色の魔女の姿があったのだ……なーんてね。
柑橘の香りを包み込んだあたたかいこの風は、あの人のところへも届いているのかな。
いつかまた、会いに来てくれたら嬉しいな。虹のかけ橋を渡って……ね。
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あとがき
担当マスター:
墨谷幽
ファンレターはマスターページから!
墨谷幽です。『七色の星』のリアクションをお届けいたします。
祝・らっかみ!七周年!
ということで、私もこのようにシナリオの執筆という形で七周年のお祝いに携わることができまして、大変光栄でありました。
もちろん八周年、九周年、そして十周年! と、皆さんといっしょに迎えていけたなら、こんなにも嬉しいことはありません。
らっかみ!のこれからの発展を心よりお祈りしております~!
さて、今回はイラストからリアクションを仕上げるというシナリオでした。
年始のカレンダー企画でも同様のスタイルで執筆させていただいておりましたけれど、今回は個別描写が多く、おひとりおひとりをじっくりと書かせていただくことができまして、新鮮かつ貴重な体験でありました。
それぞれ、ちょっとずつ違ったスタイルで描写させていただくのも、大変楽しかったです。
皆さまにもお楽しみいただけておりましたら幸いです~。
なお今回は、墨谷にしては珍しく、個別あとがきのほうもお送りさせていただきました。
(いつもは無くってごめんなさい……!)
それでは、今回もご参加いただきまして、まことにありがとうございました。
また次の機会にも、お目にかかれますことを心よりお待ちしております~。
お疲れさまでした!
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年06月10日
参加申し込みの期限
2019年06月17日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年06月17日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!