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七色の星、夢追い求めて
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【夏の海空】
なんだかんだと人間だ。時には喧嘩もするだろう。
楢木 春彦
はまず、星ヶ丘へ足を向けた。
目に飛び込んでくるのは白。どこもかしこも白い壁で、確かにこれは地中海風なのだなとあらためて納得したりする。白い街並みはやけにぎらぎらとまぶたの裏に痛く、まぶしく思えた。
なんとはなしに訪れた星ヶ丘寮はさらにぎらついて見えた。白をとおり越し、もはや純白とさえ思える。石畳や緩やかな坂に連なる階段、窓枠までもが春彦の目を打った。
顔見知りが窓から顔を出すのが見えたので、早々に退散することにする。
はあ、と息を吐く。
星ヶ丘駅から寝子電に乗ることにした。高級住宅街が車両の窓の外に流れ去るとなだらかなシーサイドタウンの広がりが目に付くが、春彦はもう一度ため息をついて目をそらした。
我ながら狭量だなとにわかに自分を責める。悔いても仕方がないと分かってはいても、胸にわだかまる黒い熱は、吐息のように吐き出されてはくれない。
寝子島駅で降り、旧市街をそぞろ歩く。
参道商店街の熱気は今日も健在だ。肉はどうだ魚はどうだと次々にかけられる営業攻勢に、春彦は乾いた笑みを返す。白くはないが、彼らの笑みはひどくまぶしかった。
逃げるように歩を進めていると、腹の虫が鳴いた。そういえば食事もとらずに飛び出してきたのだった。
この時の春彦をたまたま見かけていたクラスメートは後に、捨てられた大型犬のようだったと彼を表現した。さぞ言い得て妙であったろう。春彦は苦笑いすることになる。
さておき、今は腹の虫だ。目に付いたラーメン屋へ逃げるように入り、醤油トンコツチャーシューメン大盛り野菜マシマシ背脂多めを頼んだ。立ち込める熱を孕んだ湯気に喘ぎながら濃い味のスープをすすり、汁をたっぷり含んでしんなりした野菜もろとも太ちぢれ麺を吸い上げるように食す。ごろりとしたチャーシューはもはや肉塊と評するにふさわしいが、箸で分けるとほろほろと崩れスープを良く吸い込んだ。麺と具を全て片付けてなおやや物足りず、ライスを追加注文する。スープの中へぶち込めば淡雪のように、何かが溶けていく気がした。
なんだか、ジャンクな物が食べたい気分だった。濃厚で半ば暴力的でやけくそな、つまりはそんな気分だったのだ。店を出て春彦は満足げにほうと息をついた。
とはいえ少し、もたれそうだ。
「……なにやってんだか」
図らずもつぶやく。寮の食堂で夕飯を入れるには、もう少しカロリーを消費しておく必要があるだろう。
顔を合わせるのだって、きっと気まずい。胸の熱はいくらか引いてはいたが、持ち帰るには重たい気がした。
春彦は駆け出した。
大盛トンコツパワーは春彦に尽きぬスタミナをもたらした。などと言うと大げさだが、事実彼は旧市街から寝子ヶ浜海岸までを走り通した。
そこで彼はこの、泣きそうなほど青い空に気づいたのだった。
琥珀色の砂へ腰を落とす。切れた息が整うまでそうしているつもりだった。しかし肩の上下が落ち着いても、彼が動くことはなかった。
風のない日だった。太陽は直上に鎮座し、春彦をこんがりと焦がしにかかる。けれど波は穏やかだ。エメラルドグリーンのとろけた宝石が足元まで打ち寄せ、シューズの爪先を冷たく濡らした。
遠くで小さな恋人たちが指を絡め、同じように空を眺めている。飛行機雲へ手をかざしている。女の子は爛漫に笑い、男の子は頬を赤くして顔をそらした。
水平線から滲み出た雲の行く末を見届けたくなり、春彦はまんじりともせず眺めつづけた。少年少女が去ってしまっても、飛行機雲がすっかり解けてしまっても、春彦は動かなかった。ただ、行く末を見届けたくて。
そこになんのヒントもないと分かっても、特に落胆することはなかった。熱はもうずいぶんと逃げていたから。
磯から迷い込んだらしい小さな蟹がちょこちょことやってきて、ふと目が合った。春彦はゆっくりと口角を上げた。
大いにやけくそ気味だった昼食はやはり少々エネルギー供給過多であったのか、まだ舌の上がいささかにくどい気がする。なにかさっぱりとしたものが食べたいな、などと考える。すっぱいものなんていいかもしれない。
空を見上げ、そんなふうに思った。どこまでも青く、深く、なんだか泣けてきそうな、この空の下で。
その一片でも取り込もうとしてか、肺を空気でいっぱいにし、カラになるまで吐き出した。
「はあ」
思わず吐息が喉を滑り出た。春彦の身体は春彦のことを、実に良く分かっているのだろう。本日何度目かのため息だが、それが内包する意味はずいぶんと変化しているように感じられた。
「なーんつって、謝っかなぁ……」
理由はくだらなければくだらないほどいい。元に戻るための力も少なくて済む。漏れた言葉に反し、羽のごとくとは言わないまでも、春彦は肩の軽さを噛み締めた。
「……っし!」
立ち上がり、砂を蹴り出す。
やがて点々と残された足跡を、佇む小さな蟹だけが見つめていた。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年06月10日
参加申し込みの期限
2019年06月17日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年06月17日 11時00分
参加キャラクター一覧
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